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本研究では、温室効果ガス(GHG)緩和戦略の評価のために、森林副産物を利用した世界規模での新しい大規模発電(30Mwe以上)の可能性について評価を行った。研究対象としては、高度に発達した電力供給システムと、持続的に管理された森林資源が存在することから、先進国だけを想定した。森林資源の持続的管理は、バイオマスが化石燃料を代替する、長期的に見てCO?中立な燃料であるかについての必要条件である。 本研究の主要な目的: ・ 森林資源を充分に有する5つの先進工業国において、林業とエネルギー産業について評価する 主な要素 分析に含まれる主要素は表Tに要約されている。 表T 主な研究結果 2000年において先進国で利用可能と評価された森林副産物から、推定で200TWh/yから275TWh/yの電力を生み出すことができる(表U)。最も大きな可能性を持つのは北アメリカで、石炭との同時燃焼技術を利用することで最大155TWh/y(全世界トータルの55%)の潜在的可能性がある。 表U 対応する温室効果ガス(GHG)排出(枝条の収集、輸送、前処理と燃焼過程から)は43.7から45.1の範囲となる(年あたりのCO?換算・単位100万トン:Mt CO? e/y)。森林副産物から得られた電力が石炭火力発電所(出力500Mwe)からのエネルギーを代替することを考慮すると、地球規模での回避されたGHG量は、推計で116から178 Mt CO? e/yの範囲に落ち着くことになる(表V)。石炭同時燃焼が、GHG緩和に関し最も大きい可能性を持っている。 表V 図Tと図Uでは国と世界のGHG排出回避の費用曲線が示されている。$0課税標準ラインは、従来型の500Mwe石炭火力発電所からの税に関するインセンティブがないとしたときの発電のしきい値費用を示す。CO?(相当)コストの供給曲線は図VとWで示されている。 表UとVおよび図TからWの全てで、以下のことは視野に入っている。すなわち、(@)電力のための林業副産物の収集、輸送、前処理そして転換によるGHG排出の可能性;(A)異なる国と地域で発電に林業副産物を利用した場合のGHG緩和の可能最大レベル;そして(B)林業副産物を利用した発電およびGHG排出と軽減における技術の影響。 図T 図U 全ての技術においてGHG緩和のコストが最初小さい(曲線の横軸部分)のは、木材加工で残ったものを使用することを表わしている。コストの変化(図TとUではc/kWh、図VとWでは$/tonne CO?回避)が示すのは、電力供給において、またエネルギー関連のGHGの緩和戦略において、林業副産物利用が技術的、経済的そして環境的に実行可能であるかを反映している。 図V 3種類の技術、つまり燃焼ボイラー、流動床とガス化は、最も安価であると考えられる木材加工時の廃材を利用する場合でも、税制上の優遇措置が必要となる。全ての木材加工廃材に対して、全ての国で石炭同時燃焼、既存の石炭と既存のHRSGを利用した場合の方が、現行の石炭よりもGHG回避コストは低くなった。石炭同時燃焼、既存の石炭と既存のHRSGでの森林廃材の利用割合は、フィンランド、スウェーデン、ニュージーランドでは閾値を下回ったが、カナダとアメリカでは廃材の輸送距離の増加に伴い、たいてい閾値を超えていた。曲線では示されていないが、木材加工廃材からの発電(つまりGHG緩和)のコストの大半は設備投資、操業と維持が占める。残材の中に競争力を持たないものがあるが、これは長い輸送距離による(カナダとアメリカでそれぞれ最大510km、980km)。 図W 発電における森林副産物の利用についてさらに研究を進めるならば、特定の国における化石燃料とバイオマスの代替に影響を与えるような、石炭を加えた詳細評価の因子に加え、生物エネルギーの枠組みをガス技術と比較する必要がある。この分析を通じて、石炭火力発電所、輸送網および送電システムなど既存インフラを考慮に入れた資源の位置と、バイオマスの利用とを適合させることができる。国別の研究により、資源量、インフラ、費用、市場とCO?排出に関して位置を最適化するバイオマス発電所の配置の効果について評価することができる。これは、発電コストとCO?排出の両方に関して原材料の輸送距離の影響を際立たせる発電所の中央集中とは対照的な考え方である。 「本報告書の著者について」 「目次」 「表のリスト」 「図のリスト」 「謝辞」 「用語解説」 発電 BFB 沸騰流動層ボイラー
1.0 Introduction 数多くの研究によって、バイオマスは発電に重要な燃料としての潜在的な可能性があることがわかってきた。しかし今なお多くの先進国におけるエネルギー生産としての木質バイオマス燃料は、発電源としてではなく、主として家庭用・プロセスヒート用の熱発生源として利用されているにとどまっている。とはいえ、エネルギー政策の国家間の違いを見ていくと、バイオマスに由来した発電はかなり増えてきていることはわかる。アメリカを例にとって見れば、(バイオマス)発電は1979年の200メガワットから1992年には約600メガワットに増加してきている(Turnbull.1996)。 電力プラントにバイオマス燃料が利用される欠点として、一般的に代替石油供給源(ことに石炭や天然ガス)との競争に勝てないことが指摘されてきた.バイオマス由来の火力プラントは、50MW程度の小規模なものが多く、熱効率は低い(25%以下)。また燃料の集荷・輸送費用や他の木材加工産業との競合によって、バイオマス燃料価格は相対的にしばしば高くなってしまうことがある。また天然ガスが廉価で利用できるため、ある限定的な状況においてのみバイオマス廃棄物燃料は競争力があるといえる。限定的な状況としては、(化石燃料価格と比較して)バイオマス燃料がディスカウントされて輸送される場合や、バイオマス燃料使用者に対して補助金が支払われるケースなどが挙げられる。 しかしながら、グローバルな温暖化、とりわけ二酸化炭素の影響に対する懸念が高まっている中で、世界規模での環境・経済におけるバイオマスエネルギーの可能性は、引き続き再評価されてきた。また発電用としても利用できるバイオマスは、他の化石燃料とは対照的に、純二酸化炭素発生量がゼロもしくは相対的に見て低くて済む。 本報告では、林業・木材加工業から発生する廃棄物を、発電利用することの可能性を検討し、温室効果ガスに対する潜在的な効果を評価する.なお本報告では、林業において副次的に発生した廃棄物のみを用いた計画と、石炭や天然ガスと混合した場合の計画も紹介する。なお林業における廃棄物とは、伐採時に生じる廃棄物(低商品価値の幹、枝、樹冠部および葉)と同様に、丸太から製剤、パルプ、パネル製品に加工する段階で生じる廃棄物(樹皮、おがくず、削りくず、やすりくずなど)も含まれている。 本報告では、先進国における発電に対する可能性にのみ焦点をあて議論する。先進国では、電力分配ネットワークが高度に整備されていて、電力需要に制約がかかる事態は生じなかったからである。また長期的な二酸化炭素排出量が0であるバイオマス燃料を生み出す森林資源を、先進国は持続的に管理してきた。それに比べ途上国では、森林が集中的に存在する地域では電力需要は小さく、また電力供給システムも脆弱である。 1.1 目的 1.2 本報告が対象とする範囲 1.3 前提条件 前提条件は以下の通りである. IEA GHGによって提案され同意された5つの国は以下の通りである. これらの国は上述した基準を満たすものである. 1.4 報告の構成 エネルギーは全ての先進国とって、経済活動を支える重要な資源である.エネルギーは温室効果ガスの多大な排出源として考えられてきた。温室効果ガスを緩和する手段としてバイオマスを活用されるか否かは、現在・将来のエネルギー戦略に大きく左右される。その理由としてエネルギー戦略が費用・政策実行に向けた実現可能性に大きく影響を及ぼすからである。本章では、5カ国のエネルギー部門を概説する。具体的には、適切な情報が入手できた範囲で、総一次エネルギー供給、エネルギー利用、発電、将来電力トレンド、エネルギー政策、バイオマス産業の規模に関して議論する。 最終的には、本説に掲載される情報と、森林副産物を利用した新たな発電に関する情報を比較検討する。 2.1 カナダ カナダでは都市集中がかなり進み、国土のおよそ0.2%地域が都市域であるにもかかわらず、全人口の80%が都市部で生活しており、さらに100万人以上の都市が60%の都市人口を抱えている。 エネルギー部門はカナダ経済の重要な位置を占めている。エネルギー部門には30万人以上の労働者が雇用されており、GNPの7.4%を、また投資の16.8%を占めている。カナダのエネルギー生産と需要は化石燃料によって主に占められている。1995年には、国内で生産された原油/液化石油ガスと天然ガスの約50%は、輸出されている。1993年における総輸出エネルギー量は、1603TWhにも及んだ(WEC.1995)。 カナダにおける総エネルギー供給量は2746TWhで、主な燃料供給は、石油、ガスであり、それぞれ33,29%をしめる。他の重要な供給源として、水力(13%)、石炭(11%)、原子力(10%)、が挙げられる(図2-1)。総国内エネルギー生産量は1993年において、3680TWhであり、60%の生産は、石油とガスによる。 カナダの石油産業は西部に集中的に位置している。過去20年以上にわたって、原油生産は年間5-7億バレルの範囲にあった。商業向け軽油の生産量が減少分は、過去10年で倍増したオイルサンド生産によって相殺された。カナダにおいてオイルサンドから発掘可能な瀝青炭量は、30億バレルにも及んでおり、オイルサンドと重油生産はさらに増大する見通しである(WEC.1995)。 アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州およびサスカチュワン州は全てのカナダ産天然ガスを供給し、なかでもその82%をアルバータ州が占める。旧来の採掘場所からの天然ガス供給は増加傾向にある。主要なガス採掘地は、フロンティアや内陸部で発見されてきたが、これらの資源は近未来において利用されることは期待されていない(WEC.1995)。また、カナダには瀝青炭が豊富に埋蔵されている。アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州、サスカチュワン州の3州で全石炭生産の94%を占める。石炭は電力部門でもっとも多く消費される。 2.1.2 エネルギー需要 電気部門は同国で最も発展している部門の一つである。1995年において、原子力(320TWh)、水力(298TWh)が主要な供給手段で、総エネルギー供給量(912TWh)の約67%をしめている。他の資源として、石油、天然ガスおよび再生可能資源が挙げられる。再生可能資源は総需要の僅か0.3%を占めているにすぎない。 工業(39%)および運輸(27%)部門は最も大きなエネルギー消費部門である(Environment Canada.1997)。家庭部門は21%を超えるに過ぎず、商業部門は13%である。なお工業部門には全製造業、林業、建設業、鉱業が含まれる。工業部門による総エネルギー需要は351TWhである。工業部門に対して、天然ガスと電力は主要なエネルギー供給となっている。バイオマスを中心とした再生可能資源は、パルプ・製紙産業に利用され、かなりのシェアを占めている。6つのエネルギー集約産業(パルプ・製紙、鉄、スチール、精錬、化学、石油精錬およびセメント)は、総産業生産の15%のシェアしかないにもかかわらず、全産業エネルギー需要の約60%を占めている。 2.2 フィンランド エネルギー集約的な加工産業がその高い比率を占め、また暖房需要が大きいため、一人あたりの総エネルギー消費量は、OECD諸国の中でも最も大きい国の一つである。質の高い化石燃料が国内で生産できないために、フィンランドのエネルギー消費は、輸入エネルギーに頼っている。主に石油や石炭を輸入しているが、天然ガスや電気核燃料も輸入している.
輸入エネルギー供給の大半は、原油と石油製品である。天然ガスは国内のエネルギー需要の9.5%をまかなっているが、これも輸入されている。 フィンランドにおける主要な国内エネルギー資源は水力、木質、木質廃棄物、パルプ溶液とピートである。フィンランドのピート埋蔵量は、世界最大である。国内燃料自給は、およそ20%である。原子力エネルギーは4つの発電所から生産されており、Loviisaに2つの445Mweの発電所が、またOlkiluotoに2つの710Mweの発電所がある。 2.2.2 エネルギー需要 フィンランドの電力は約370個の発電所によってまかなわれており、そのうち130個は企業もしくは市町村所有となっている。発電所の多くは、中小企業によって経営されていて、水力もしくは火力とCHP(熱伝併給プラント)から成る。総電力供給能力は約14750MWであり、その内訳はCHP(熱伝併給プラント)が34%、水力が19%、原子力が16%となっている。 電力消費量は1975年当時の2倍以上になっている。1975年には29TWhだったエネルギー消費量は、1996年には70TWhまで増加した。1997年にはエネルギー消費量は73.5TWhまで増加した。1996年には、CHP(熱伝併給プラント)による電力生産は22.2TWhで、その56%は市町村の熱プラントから、残りの44%は工業コジェネレーションとなっている。 電力需要が著しく増加し、現在の70TWhから2025年には102‐118TWhまで増加すると仮定すると、どのように将来のエネルギー需要を賄っているかとということは非常に憂慮すべき問題である。一部の将来電力需要は工業や他の小規模の生産者によって賄われるかもしれない。しかし化石燃料とバイオマス燃料との混合によってまかなわれていることが最も可能性があるとはいえ、予測される電力供給源の大半はいまだに見通しが立っていない。電力生産によって利用される一次エネルギー源は図2‐6に示される。木材・木質燃料による総電力供給能力は重要で、約1350Mweとなっている。 部門別電気消費量は図2‐7に表されている。 生活用のエネルギー需要は総エネルギー供給の25%を占めている。この部門において、地域熱供給が重要な役割を果たしている。これはほとんどの都市で地域熱供給が利用可能であることや数百万単位の家庭や公共施設で用いられるからである。地域熱供給はエネルギー市場の44%をしめており、大都市に限っては80%以上となっている。 CHP(熱伝併給プラント)由来の熱生産は1996年には27.6TWhであった。フィンランド地域熱供給の約80%は、CHP(熱伝併給プラント)で生産されている。CHP(熱伝併給プラント)および地域熱供給の両者において、36%が石炭、25%が天然ガス、21%がピートから生産されている一方で、石油やその他の廃棄物燃料は9%にとどまっている。地域熱供給で木質エネルギーが使われる割合は6%である。フィンランドには約200地区の地域熱供給施設があり、約250の市町村によって経営されている。 2.3 ニュージーランド 現在の人口はおよそ366万人であり、2000年までに375万人にまで増加するものと予測されている。またさらにその後の20年後には、422万人まで増加することが推測されている。85%のニュージーランド人は都市で生活しており、住民のほぼ3分の1は北の島の北部に集中している。 経済は天然資源と輸出に依存している。農業、水産業及び林業は、生産加工業の基幹産業となっている。一般的に農業国としての知られているニュージーランドだが、2つの製鉄工場、一つのアルミ精錬、合成石油プラント、セメント、パルプおよび製紙工場などの重工業も存在している。またプラスティック、梱包、whiteware、エンジニアリングなどの洗練かつ多様な製造部門も存在している。 1996年において電力、ガス、石炭は全て国内で自給しているが、石油の自給率は36%である。一次エネルギー供給は石油、ガス、水力、地熱、石炭および他の再生可能な資源によって供給されている。燃料別の相対的な内訳は図2.8に示される。 総一次エネルギー供給は1980年から96年の間に増加してきており、とりわけ1995年と1996年の間で、温室効果ガスの顕著な増加が観察され(年率4%増加率)、193TWhに達した。こうしたエネルギー供給の著しい増加の原因として、天然ガス生産が14%、国内石炭生産が5%、輸入石炭が19%、それぞれ増加したことが挙げられる(Ministry of Commerce.1998)。 2.3.2 エネルギー需要 ニュージーランドにおける主要なエネルギー利用は国内の運輸と工業部門利用で、それぞれ38.8%、33.7%を占めている。総エネルギー供給の13.3%家庭利用であり、商業及び農業はそれぞれ8.7%、5.4%となっている(NZ Ministry of Comemrce.1998)。 2.3.3 将来エネルギー需要 発電は再生エネルギー資源によって主にまかなわれており、降水量の影響を受けるにもかかわらず、水力発電は、年間電力需要の約70-80%を占める。地熱は6%で、風力などの他の再生可能資源や、木材を使ったコジェネレーションが以下に続いている。需給のバランスは、化石燃料発電(主に天然ガス)によって調整されている(Ministry for Environment.1997)。2020年までにさらに2600MWの電力が経済的に供給可能であると予測されている。2000年までに追加的な電力需要にもっとも貢献するのは、天然ガス・コンバインドサイクルプラントである。 2.4 スウェーデン 1996年におけるスウェーデンの総エネルギー供給量は485TWhで、1970-96年の平均は440TWh/haだった。総エネルギー利用量は、2010年までに増加することが見込まれており(485-515TWh)、その多くは輸送・産業部門によるものである。こうした数値は、総地熱生産よりも原子力プラントからの発電について記述しているスウェーデン統計書を基にしている(NUTEK.1997)。 燃料別の内訳は、過去25年で大きく変わってきた。1970年当時、原油および石油が総エネルギー供給の77%を占めていたが、1996年までにそれらの割合は45%にまで減少した(図2-10)。その他の大きな変化として、原子力を導入したことや、水力発電が増加したことが挙げられる。1996年において、原子力発電はおよそ72TWh/an(16%)、水力発電が64TWh(11%)となっている。またコークスや石炭は6%、バイオ燃料やピートは18%である。 2.4.2 エネルギー需要 総最終消費電力のうち、家庭・商業・工業用部門に利用されたエネルギー量は、国内運輸部門と比較して相対的に低くなってきている。工業部門の割合は、1970年から96年にかけて41%から37%に落ちてきており、また家庭用部門のそれも同時期に44%から42%に減少してきている。対照的に、国内運輸部門は同時期に15%から21%にまで上昇してきている。スウェーデンにおけるエネルギー利用の内訳は図2‐11にまとめた。年間総エネルギー利用量に大きな影響を与える主な要因として、経済・気候条件が考えられる。暖かい年には、家庭・商業部門で利用されるエネルギー量は平年よりも少なくて済む.1996年の総最終エネルギー利用料は、総供給量の82%にあたる170TWHであった。総最終エネルギー利用量のうち、170WTh(42%) が家庭・商業部門で利用されたが、その115WThは、暖房、給湯に利用された。他の主要な利用先として、国内利用目的の電気や、建築物サービスシステムのための利用が挙げられる。家庭・商業・サービス部門における燃料別のエネルギー利用状況は図2‐12に表される。 1996年当時、工業部門によるエネルギー利用は147.2TWhであった。このうち27TWhは石油、16.3TWhは石炭とコーク、50TWhは電力でまかなわれていた。天然ガスと地域熱供給の利用はそれぞれ3.8TWh、4.3TWhであった。バイオマス燃料や、ピートなどは48.7TWhで、それらのうち、78%は、木材加工産業によるものであった。主要なエネルギー利用団体は、パルプ・製紙部門(45%)、製鉄工業(15%)、化学工業(6%)となっている。工業部門によるエネルギー利用に影響を与える主な要因として、工業生産高、生産される製品の種類、技術革新、燃料代替政策やエネルギー政策が挙げられる(NUTEK.1997)。 1970年から96年に書けて、石油から電気への重要な利用転換が見られた。またこの時期に電力利用は21%から34%に増加した。1996年から2010年にかけて、工業部門による総エネルギー利用は147TWhから165TWhへと増加することが予想される。 電力の大半は、水力と原子力発電によってまかなわれているが、これはこれらの資源が現時点でもっとも廉価であるからだ。電力生産用に用いられる他の資源として、背熱発電(back-pressure generation)、熱・動力混合発電(combined heat and power generation)、oil fired cold condensing plant、ガスタービンまたは風力発電が挙げられる(NUTEK.1997)。1996年において、電力は136TWh生産されたが、水力が38%、原子力が52%、oil fired old condensing plantが3%、CHPが7%となっている。バイオマス燃料も電力発電に若干用いられた(3TWh)。そのうち、1TWhはCHPプラントにおける木質燃料から、1TWhは工業背圧発電から、残りはパルプ回収黒液(digester liquors)から生産された。 2.4.3 エネルギー政策 バイオマスを活用した電力生産を促進するプログラムは、1991年エネルギー政策法の可決後の、1992年に設立された。このプログラムの目的は、バイオマス燃料を用いた電力生産の効率性を上げることと、環境的への負荷を改善することにあった。そしてバイオマス燃料を用いた電力生産の技術を発展し、実用化することが強調された(Second National Communication Document)。電力市場は、ノルウェー湾、バルティック海の近隣諸国の市場における価格に影響を受けてきている。さらに国内電力市場に関しては、EUの指導にも影響を受けている。こうした状況のもとで、競争力のある国内地域市場に限らず、他国のより競争力のある電力も、将来的に国民は利用することが可能になる。 天然ガス・コンバインドサイクル技術は現段階で、もっともすぐれた代替技術である。ノルウェー半島の国口に天然ガスを供給することを所与とすれば、スウェーデンにおける電力発電に利用されるエネルギー量は増加し、それらは他の近隣諸国における天然ガスによって賄われるおそれもある。 温室効果ガス排出 他の国とは対照的に、スウェーデンでは電力部門改革によって、温室効果ガス排出を抑制することは困難である。これは化石燃料を利用した電力発電が5%以下だからである.こうした点を鑑みると、再生可能な資源に対する財政負担、エネルギー節約、そして他の支援方法が強調されることになる。またスウェーデンでは他の国と協力して温室効果ガスを削減する政策実行にも関心が持たれている。ヤナギ類(Salix)の植林もまた重要になってきており、生産は年々増加して16000haにまで達している。Salixの植林は二酸化炭素を減少する一手段であり、化石燃料に代替する可能性をも秘めている。 2.5 米国 石炭は主要な資源で、全米エネルギー生産量の31%を占める。アメリカの石炭埋蔵量は、世界最大である。数百億トンにものぼる国内石炭生産のうち、90%は電力発電に用いられる。石炭火力発電所は、全米電力発電の52%を占めた(1997年)。 石炭火力発電所は環境に深刻な影響をもたらす温室効果ガスを排出する。1996年において、石炭燃焼から発生した二酸化炭素量は5億トンにものぼり、他の燃料資源から排出される総二酸化炭素量の36%にもあたる。米国における最も廉価な化石燃料は石炭である。 原子力エネルギーは、石炭に続く2番目に主要な電力発生源であり、約20%を占める。水力、バイオマス、地力、風力、太陽熱などの再生可能資源は、1次エネルギー生産の10%を供給している。50%以上の再生可能資源は、発電用に利用される。水力は発電に利用される全ての再生可能資源の80%を占めており、総電力発電の10%をしめる。電力発電用の燃料資源の内訳は図2‐14で表される. 米国の電力は、家庭部門で最も多く利用され、続いて工業部門、商業部門となっている。電力供給市場の性質もまた、急速に変わってきており、非公共団体電力生産者(すなわち個人の電力生産者やコジェネレーター)による電力生産の占める割合が大きくなってきた。 2.5.2 エネルギー需要 米国のエネルギー利用の約26%は運輸部門が占め、この部門だけで全ての石油利用の3分の2を占めている。工業部門は、エネルギー消費の約37%を占めており、混合燃料に頼っている。石油及び天然ガスは、工業燃料の主要な燃料源であり、これら2つが直接消費の70%を占めている。工業部門で利用される約3分の2のエネルギー生産は製造用である。残りは鉱業、建築業、農業、漁業、林業に利用される。工業部門におけるエネルギーの最終利用は主に製造過程中の熱利用であり、その他に機械動力、施設暖房、換気、空調が続く。 家庭部門は総1次エネルギーの約21%をしめており、このうち約半数は、暖房利用である。また電気機器の利用も家庭部門の総1次エネルギーの17%を占めている。総1次エネルギー消費の16%が商業活動によって、消費されている。 2.5.3 エネルギー用のバイオマス利用 バイオマスを電力として利用することは急速に発展してきているが、このきっかけとなったのは、公共団体規制政策法(Public Utilities Regulatory Policy Act)が導入された1978年以降のことである(PURPA.1978)。この法律は、小規模の電力生産者を保証するもので、具体的には公共事業体が電力を生産せずに済んだ機会費用と同価格で、公共事業体が小規模生産者の電力余剰を買い取ることを目的とした。 この規制によって、電力出力は、1979年の200MWから1989年には6GWに変化した。しかし買い取り価格が低くなったこと、工業部門における不確実性がたかまったこともあり、1989年以降の実質的な成長は緩やかになった。 バイオマス由来の7GWの出力は、総発電出力の約1%を、また公共事業体以外による電力発電の約8%を占めている。500箇所以上のプラントが木材・木質廃棄物を利用して電力を発電している。出力の大半は、CHPによるもので、工業部門(とくにパルプ・製紙・板紙部門)で生産されている。電力を発生させるために自家発電施設は、非専属的な廃棄物を主に利用している。具体的には、林産物産業や都市木材廃棄物、使用済みの木質パレット、建築物や解体建築物から発生する廃棄物、剪定・収穫・加工から生ずる農業廃棄物から購入した木質廃棄物などが挙げられる。 直接燃焼ボイラー/蒸気タービンの技術によって現在の全出力がなされている。バイオマス電力プラントの平均的な大きさは20MW(最大で約75MWに達する)で、平均的な電気効率は20%である。これらの小さなプラントだと、キロワットあたりの出力費用が高くなり、またキロワット時間が小さくなるにつれて、雇用者1人あたりに生産される稼動費用も高くなってしまう. 低効率によって供給原材料の価格変動に左右される度合いが大きくなることもあいまって、電力費用はキロワットあたり8‐12セントとなっている。自家発電バイオプラントの次世代型モデルは、高コストと非効率性を実質的に改善する。工業部門では、現存する石炭火力発電所において、バイオマス火力発電を併用することで、効率性が著しく改善することが期待される。その他に、高効率な気化混合サイクルシステムの導入や、燃料を乾燥したり、大規模稼動による高性能な蒸気サイクル利用を通じた直接燃焼システムによって、効率性が著しく改善することが期待される。現在は研究開発段階にある技術、たとえば全木エネルギー統合ガス化(Whole Tree Energy integrated gasification), 燃料電池システムとモジュラーシステムは将来的には利用可能になろう。 2.5.4 エネルギー政策の問題点 1980年以降途上国におけるエネルギー需要は著しく増加し、それにともなって途上国の中には急速な経済成長を遂げてきた。アメリカの政策立案者は、この問題を石油供給の安全保障に対する潜在多岐な危険性と認識してきている。とくに60%以上の石油埋蔵量はペルシャ湾に集中していることには問題である.一地域に頼って増加する世界的な石油需要を満たすとすれば、石油輸入国は、供給の破綻や価格の変動に対して脆弱になってしまう恐れがある。米国戦略的石油埋蔵量を意地・強化する政策が発展することであろう。天然ガスと石油産業の規制緩和に続いて、国家政策は電力市場の卸売り、小売の規制緩和も継続してきている。相対的に高い電力割合を占める州では、積極的に電力市場に競争原理を持ち込んできたが、多くの州の場合、競争原理を導入して価格を下げる政策を試行的に始めた段階である(US Department of Energy. 1998)。 1997年12月に世界的な会議で協議された、気候変動に関する京都会議議定書では、先進国が温室効果ガス排出を削減する数値目標が掲げられた。80%以上の人為的な温室効果ガス排出の80%以上がエネルギー由来で、エネルギー消費が増加しつづけることを所与の条件とすれば、エネルギー政策は新たなかつ重要な役割を持ってくる。京都会議議定書では、米国が2008年から12年の排出レベル(ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄について基準調整が施される)を1990年レベルよりも7%削減することを要求している。全ての削減がエネルギー部門によって成される必要はないとはいえ、この数値はかなりの排出削減を要求している。しかし米国は、途上国も気候変動問題の重要な参加者にならない限り、京都議定書を承認しない姿勢を見せている。 こうした問題を議論し、将来のエネルギー発展の枠組を提供するべく、包括的国家エネルギー戦略(Comprehensive National Energy Strategy)は、5つの重要な鍵を提案してきた。具体的には、(1)エネルギーシステム効率の改善(2)エネルギー危機に対する安全保障(3)エネルギー生産の促進および健康・環境的な価値を重視したエネルギー利用(4)将来のエネルギー選択肢を増やすこと(5)エネルギー問題について国際的に調整をとっていくことが、挙げられている。これらの5つ目的は長期的視点を持った枠組であり、国益のみによってエネルギー政策の決定がなされることに抵抗するものだ。それぞれの目的は、目標や戦略を遂行することでも支持される。 2.5 電力見通し予測 米国における総エネルギー消費は1996年から2020年の間に、27572TWhから34788TWh(26%の増加)が予測されている。電力価格の下落によって、家庭部門・商業部門のエネルギー消費は2015年までに4%の増加が見こまれている。石炭の消費は1996年から2020年の間に、6130TWhから7509TWhまで増加する(年増加率0.9%)ものの、マーケットシェアは減少するであろう。 再生可能資源の利用は2020年までに0.5%が増加することが予想される。2020年には、再生可能資源の51%が電力発電用に、残りが暖房・冷房、工業利用および運輸燃料の一部に利用される。バイオマス燃料利用の成長は、他の廉価な燃料によって制限をうけるだろう。 電力消費は2020年までに年1.4%の割合で増加するだろう。たとえ効率性が改善しても、電力化の増加傾向や新たな電化製品の浸透によってその効果は相殺される。原子力発電は、発電所の閉鎖によって、1996年の101GWから2020年までには49GWに減少するだろう。 天然ガスと石炭の両者による発電は2020年までに顕著に増大し、電力需要の増加や原子力発電減少を補うことになろう。産業界がより資本集約的でないガス技術を好むために、石炭由来の発電は減少するであろう。天然ガス火力による電力発電は、1996年から2020年の間に9%から30%と3倍強の増加になるであろう。 2.6 まとめ
エネルギーは全ての先進国とって、経済活動を支える重要な資源である.エネルギーは温室効果ガスの多大な排出源として考えられてきた。温室効果ガスを緩和する手段としてバイオマスを活用されるか否かは、現在・将来のエネルギー戦略に大きく左右される。その理由としてエネルギー戦略が費用・政策実行に向けた実現可能性に大きく影響を及ぼすからである。本章では、5カ国のエネルギー部門を概説する。具体的には、適切な情報が入手できた範囲で、総一次エネルギー供給、エネルギー利用、発電、将来電力トレンド、エネルギー政策、バイオマス産業の規模に関して議論する。 最終的には、本説に掲載される情報と、森林副産物を利用した新たな発電に関する情報を比較検討する。 2.1 カナダ カナダでは都市集中がかなり進み、国土のおよそ0.2%地域が都市域であるにもかかわらず、全人口の80%が都市部で生活しており、さらに100万人以上の都市が60%の都市人口を抱えている。 エネルギー部門はカナダ経済の重要な位置を占めている。エネルギー部門には30万人以上の労働者が雇用されており、GNPの7.4%を、また投資の16.8%を占めている。カナダのエネルギー生産と需要は化石燃料によって主に占められている。1995年には、国内で生産された原油/液化石油ガスと天然ガスの約50%は、輸出されている。1993年における総輸出エネルギー量は、1603TWhにも及んだ(WEC.1995)。 カナダにおける総エネルギー供給量は2746TWhで、主な燃料供給は、石油、ガスであり、それぞれ33,29%をしめる。他の重要な供給源として、水力(13%)、石炭(11%)、原子力(10%)、が挙げられる(図2-1)。総国内エネルギー生産量は1993年において、3680TWhであり、60%の生産は、石油とガスによる。 カナダの石油産業は西部に集中的に位置している。過去20年以上にわたって、原油生産は年間5-7億バレルの範囲にあった。商業向け軽油の生産量が減少分は、過去10年で倍増したオイルサンド生産によって相殺された。カナダにおいてオイルサンドから発掘可能な瀝青炭量は、30億バレルにも及んでおり、オイルサンドと重油生産はさらに増大する見通しである(WEC.1995)。 アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州およびサスカチュワン州は全てのカナダ産天然ガスを供給し、なかでもその82%をアルバータ州が占める。旧来の採掘場所からの天然ガス供給は増加傾向にある。主要なガス採掘地は、フロンティアや内陸部で発見されてきたが、これらの資源は近未来において利用されることは期待されていない(WEC.1995)。また、カナダには瀝青炭が豊富に埋蔵されている。アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州、サスカチュワン州の3州で全石炭生産の94%を占める。石炭は電力部門でもっとも多く消費される。 2.1.2 エネルギー需要 電気部門は同国で最も発展している部門の一つである。1995年において、原子力(320TWh)、水力(298TWh)が主要な供給手段で、総エネルギー供給量(912TWh)の約67%をしめている。他の資源として、石油、天然ガスおよび再生可能資源が挙げられる。再生可能資源は総需要の僅か0.3%を占めているにすぎない。 工業(39%)および運輸(27%)部門は最も大きなエネルギー消費部門である(Environment Canada.1997)。家庭部門は21%を超えるに過ぎず、商業部門は13%である。なお工業部門には全製造業、林業、建設業、鉱業が含まれる。工業部門による総エネルギー需要は351TWhである。工業部門に対して、天然ガスと電力は主要なエネルギー供給となっている。バイオマスを中心とした再生可能資源は、パルプ・製紙産業に利用され、かなりのシェアを占めている。6つのエネルギー集約産業(パルプ・製紙、鉄、スチール、精錬、化学、石油精錬およびセメント)は、総産業生産の15%のシェアしかないにもかかわらず、全産業エネルギー需要の約60%を占めている。 2.2 フィンランド エネルギー集約的な加工産業がその高い比率を占め、また暖房需要が大きいため、一人あたりの総エネルギー消費量は、OECD諸国の中でも最も大きい国の一つである。質の高い化石燃料が国内で生産できないために、フィンランドのエネルギー消費は、輸入エネルギーに頼っている。主に石油や石炭を輸入しているが、天然ガスや電気核燃料も輸入している.
輸入エネルギー供給の大半は、原油と石油製品である。天然ガスは国内のエネルギー需要の9.5%をまかなっているが、これも輸入されている。 フィンランドにおける主要な国内エネルギー資源は水力、木質、木質廃棄物、パルプ溶液とピートである。フィンランドのピート埋蔵量は、世界最大である。国内燃料自給は、およそ20%である。原子力エネルギーは4つの発電所から生産されており、Loviisaに2つの445Mweの発電所が、またOlkiluotoに2つの710Mweの発電所がある。 2.2.2 エネルギー需要 フィンランドの電力は約370個の発電所によってまかなわれており、そのうち130個は企業もしくは市町村所有となっている。発電所の多くは、中小企業によって経営されていて、水力もしくは火力とCHP(熱伝併給プラント)から成る。総電力供給能力は約14750MWであり、その内訳はCHP(熱伝併給プラント)が34%、水力が19%、原子力が16%となっている。 電力消費量は1975年当時の2倍以上になっている。1975年には29TWhだったエネルギー消費量は、1996年には70TWhまで増加した。1997年にはエネルギー消費量は73.5TWhまで増加した。1996年には、CHP(熱伝併給プラント)による電力生産は22.2TWhで、その56%は市町村の熱プラントから、残りの44%は工業コジェネレーションとなっている。 電力需要が著しく増加し、現在の70TWhから2025年には102‐118TWhまで増加すると仮定すると、どのように将来のエネルギー需要を賄っているかとということは非常に憂慮すべき問題である。一部の将来電力需要は工業や他の小規模の生産者によって賄われるかもしれない。しかし化石燃料とバイオマス燃料との混合によってまかなわれていることが最も可能性があるとはいえ、予測される電力供給源の大半はいまだに見通しが立っていない。電力生産によって利用される一次エネルギー源は図2‐6に示される。木材・木質燃料による総電力供給能力は重要で、約1350Mweとなっている。 部門別電気消費量は図2‐7に表されている。 生活用のエネルギー需要は総エネルギー供給の25%を占めている。この部門において、地域熱供給が重要な役割を果たしている。これはほとんどの都市で地域熱供給が利用可能であることや数百万単位の家庭や公共施設で用いられるからである。地域熱供給はエネルギー市場の44%をしめており、大都市に限っては80%以上となっている。 CHP(熱伝併給プラント)由来の熱生産は1996年には27.6TWhであった。フィンランド地域熱供給の約80%は、CHP(熱伝併給プラント)で生産されている。CHP(熱伝併給プラント)および地域熱供給の両者において、36%が石炭、25%が天然ガス、21%がピートから生産されている一方で、石油やその他の廃棄物燃料は9%にとどまっている。地域熱供給で木質エネルギーが使われる割合は6%である。フィンランドには約200地区の地域熱供給施設があり、約250の市町村によって経営されている。 2.3 ニュージーランド 現在の人口はおよそ366万人であり、2000年までに375万人にまで増加するものと予測されている。またさらにその後の20年後には、422万人まで増加することが推測されている。85%のニュージーランド人は都市で生活しており、住民のほぼ3分の1は北の島の北部に集中している。 経済は天然資源と輸出に依存している。農業、水産業及び林業は、生産加工業の基幹産業となっている。一般的に農業国としての知られているニュージーランドだが、2つの製鉄工場、一つのアルミ精錬、合成石油プラント、セメント、パルプおよび製紙工場などの重工業も存在している。またプラスティック、梱包、whiteware、エンジニアリングなどの洗練かつ多様な製造部門も存在している。 1996年において電力、ガス、石炭は全て国内で自給しているが、石油の自給率は36%である。一次エネルギー供給は石油、ガス、水力、地熱、石炭および他の再生可能な資源によって供給されている。燃料別の相対的な内訳は図2.8に示される。 総一次エネルギー供給は1980年から96年の間に増加してきており、とりわけ1995年と1996年の間で、温室効果ガスの顕著な増加が観察され(年率4%増加率)、193TWhに達した。こうしたエネルギー供給の著しい増加の原因として、天然ガス生産が14%、国内石炭生産が5%、輸入石炭が19%、それぞれ増加したことが挙げられる(Ministry of Commerce.1998)。 2.3.2 エネルギー需要 ニュージーランドにおける主要なエネルギー利用は国内の運輸と工業部門利用で、それぞれ38.8%、33.7%を占めている。総エネルギー供給の13.3%家庭利用であり、商業及び農業はそれぞれ8.7%、5.4%となっている(NZ Ministry of Comemrce.1998)。 2.3.3 将来エネルギー需要 発電は再生エネルギー資源によって主にまかなわれており、降水量の影響を受けるにもかかわらず、水力発電は、年間電力需要の約70-80%を占める。地熱は6%で、風力などの他の再生可能資源や、木材を使ったコジェネレーションが以下に続いている。需給のバランスは、化石燃料発電(主に天然ガス)によって調整されている(Ministry for Environment.1997)。2020年までにさらに2600MWの電力が経済的に供給可能であると予測されている。2000年までに追加的な電力需要にもっとも貢献するのは、天然ガス・コンバインドサイクルプラントである。 2.4 スウェーデン 1996年におけるスウェーデンの総エネルギー供給量は485TWhで、1970-96年の平均は440TWh/haだった。総エネルギー利用量は、2010年までに増加することが見込まれており(485-515TWh)、その多くは輸送・産業部門によるものである。こうした数値は、総地熱生産よりも原子力プラントからの発電について記述しているスウェーデン統計書を基にしている(NUTEK.1997)。 燃料別の内訳は、過去25年で大きく変わってきた。1970年当時、原油および石油が総エネルギー供給の77%を占めていたが、1996年までにそれらの割合は45%にまで減少した(図2-10)。その他の大きな変化として、原子力を導入したことや、水力発電が増加したことが挙げられる。1996年において、原子力発電はおよそ72TWh/an(16%)、水力発電が64TWh(11%)となっている。またコークスや石炭は6%、バイオ燃料やピートは18%である。 2.4.2 エネルギー需要 総最終消費電力のうち、家庭・商業・工業用部門に利用されたエネルギー量は、国内運輸部門と比較して相対的に低くなってきている。工業部門の割合は、1970年から96年にかけて41%から37%に落ちてきており、また家庭用部門のそれも同時期に44%から42%に減少してきている。対照的に、国内運輸部門は同時期に15%から21%にまで上昇してきている。スウェーデンにおけるエネルギー利用の内訳は図2‐11にまとめた。年間総エネルギー利用量に大きな影響を与える主な要因として、経済・気候条件が考えられる。暖かい年には、家庭・商業部門で利用されるエネルギー量は平年よりも少なくて済む.1996年の総最終エネルギー利用料は、総供給量の82%にあたる170TWHであった。総最終エネルギー利用量のうち、170WTh(42%) が家庭・商業部門で利用されたが、その115WThは、暖房、給湯に利用された。他の主要な利用先として、国内利用目的の電気や、建築物サービスシステムのための利用が挙げられる。家庭・商業・サービス部門における燃料別のエネルギー利用状況は図2‐12に表される。 1996年当時、工業部門によるエネルギー利用は147.2TWhであった。このうち27TWhは石油、16.3TWhは石炭とコーク、50TWhは電力でまかなわれていた。天然ガスと地域熱供給の利用はそれぞれ3.8TWh、4.3TWhであった。バイオマス燃料や、ピートなどは48.7TWhで、それらのうち、78%は、木材加工産業によるものであった。主要なエネルギー利用団体は、パルプ・製紙部門(45%)、製鉄工業(15%)、化学工業(6%)となっている。工業部門によるエネルギー利用に影響を与える主な要因として、工業生産高、生産される製品の種類、技術革新、燃料代替政策やエネルギー政策が挙げられる(NUTEK.1997)。 1970年から96年に書けて、石油から電気への重要な利用転換が見られた。またこの時期に電力利用は21%から34%に増加した。1996年から2010年にかけて、工業部門による総エネルギー利用は147TWhから165TWhへと増加することが予想される。 電力の大半は、水力と原子力発電によってまかなわれているが、これはこれらの資源が現時点でもっとも廉価であるからだ。電力生産用に用いられる他の資源として、背熱発電(back-pressure generation)、熱・動力混合発電(combined heat and power generation)、oil fired cold condensing plant、ガスタービンまたは風力発電が挙げられる(NUTEK.1997)。1996年において、電力は136TWh生産されたが、水力が38%、原子力が52%、oil fired old condensing plantが3%、CHPが7%となっている。バイオマス燃料も電力発電に若干用いられた(3TWh)。そのうち、1TWhはCHPプラントにおける木質燃料から、1TWhは工業背圧発電から、残りはパルプ回収黒液(digester liquors)から生産された。 2.4.3 エネルギー政策 バイオマスを活用した電力生産を促進するプログラムは、1991年エネルギー政策法の可決後の、1992年に設立された。このプログラムの目的は、バイオマス燃料を用いた電力生産の効率性を上げることと、環境的への負荷を改善することにあった。そしてバイオマス燃料を用いた電力生産の技術を発展し、実用化することが強調された(Second National Communication Document)。電力市場は、ノルウェー湾、バルティック海の近隣諸国の市場における価格に影響を受けてきている。さらに国内電力市場に関しては、EUの指導にも影響を受けている。こうした状況のもとで、競争力のある国内地域市場に限らず、他国のより競争力のある電力も、将来的に国民は利用することが可能になる。 天然ガス・コンバインドサイクル技術は現段階で、もっともすぐれた代替技術である。ノルウェー半島の国口に天然ガスを供給することを所与とすれば、スウェーデンにおける電力発電に利用されるエネルギー量は増加し、それらは他の近隣諸国における天然ガスによって賄われるおそれもある。 温室効果ガス排出 他の国とは対照的に、スウェーデンでは電力部門改革によって、温室効果ガス排出を抑制することは困難である。これは化石燃料を利用した電力発電が5%以下だからである.こうした点を鑑みると、再生可能な資源に対する財政負担、エネルギー節約、そして他の支援方法が強調されることになる。またスウェーデンでは他の国と協力して温室効果ガスを削減する政策実行にも関心が持たれている。ヤナギ類(Salix)の植林もまた重要になってきており、生産は年々増加して16000haにまで達している。Salixの植林は二酸化炭素を減少する一手段であり、化石燃料に代替する可能性をも秘めている。 2.5 米国 石炭は主要な資源で、全米エネルギー生産量の31%を占める。アメリカの石炭埋蔵量は、世界最大である。数百億トンにものぼる国内石炭生産のうち、90%は電力発電に用いられる。石炭火力発電所は、全米電力発電の52%を占めた(1997年)。 石炭火力発電所は環境に深刻な影響をもたらす温室効果ガスを排出する。1996年において、石炭燃焼から発生した二酸化炭素量は5億トンにものぼり、他の燃料資源から排出される総二酸化炭素量の36%にもあたる。米国における最も廉価な化石燃料は石炭である。 原子力エネルギーは、石炭に続く2番目に主要な電力発生源であり、約20%を占める。水力、バイオマス、地力、風力、太陽熱などの再生可能資源は、1次エネルギー生産の10%を供給している。50%以上の再生可能資源は、発電用に利用される。水力は発電に利用される全ての再生可能資源の80%を占めており、総電力発電の10%をしめる。電力発電用の燃料資源の内訳は図2‐14で表される. 米国の電力は、家庭部門で最も多く利用され、続いて工業部門、商業部門となっている。電力供給市場の性質もまた、急速に変わってきており、非公共団体電力生産者(すなわち個人の電力生産者やコジェネレーター)による電力生産の占める割合が大きくなってきた。 2.5.2 エネルギー需要 米国のエネルギー利用の約26%は運輸部門が占め、この部門だけで全ての石油利用の3分の2を占めている。工業部門は、エネルギー消費の約37%を占めており、混合燃料に頼っている。石油及び天然ガスは、工業燃料の主要な燃料源であり、これら2つが直接消費の70%を占めている。工業部門で利用される約3分の2のエネルギー生産は製造用である。残りは鉱業、建築業、農業、漁業、林業に利用される。工業部門におけるエネルギーの最終利用は主に製造過程中の熱利用であり、その他に機械動力、施設暖房、換気、空調が続く。 家庭部門は総1次エネルギーの約21%をしめており、このうち約半数は、暖房利用である。また電気機器の利用も家庭部門の総1次エネルギーの17%を占めている。総1次エネルギー消費の16%が商業活動によって、消費されている。 2.5.3 エネルギー用のバイオマス利用 バイオマスを電力として利用することは急速に発展してきているが、このきっかけとなったのは、公共団体規制政策法(Public Utilities Regulatory Policy Act)が導入された1978年以降のことである(PURPA.1978)。この法律は、小規模の電力生産者を保証するもので、具体的には公共事業体が電力を生産せずに済んだ機会費用と同価格で、公共事業体が小規模生産者の電力余剰を買い取ることを目的とした。 この規制によって、電力出力は、1979年の200MWから1989年には6GWに変化した。しかし買い取り価格が低くなったこと、工業部門における不確実性がたかまったこともあり、1989年以降の実質的な成長は緩やかになった。 バイオマス由来の7GWの出力は、総発電出力の約1%を、また公共事業体以外による電力発電の約8%を占めている。500箇所以上のプラントが木材・木質廃棄物を利用して電力を発電している。出力の大半は、CHPによるもので、工業部門(とくにパルプ・製紙・板紙部門)で生産されている。電力を発生させるために自家発電施設は、非専属的な廃棄物を主に利用している。具体的には、林産物産業や都市木材廃棄物、使用済みの木質パレット、建築物や解体建築物から発生する廃棄物、剪定・収穫・加工から生ずる農業廃棄物から購入した木質廃棄物などが挙げられる。 直接燃焼ボイラー/蒸気タービンの技術によって現在の全出力がなされている。バイオマス電力プラントの平均的な大きさは20MW(最大で約75MWに達する)で、平均的な電気効率は20%である。これらの小さなプラントだと、キロワットあたりの出力費用が高くなり、またキロワット時間が小さくなるにつれて、雇用者1人あたりに生産される稼動費用も高くなってしまう. 低効率によって供給原材料の価格変動に左右される度合いが大きくなることもあいまって、電力費用はキロワットあたり8‐12セントとなっている。自家発電バイオプラントの次世代型モデルは、高コストと非効率性を実質的に改善する。工業部門では、現存する石炭火力発電所において、バイオマス火力発電を併用することで、効率性が著しく改善することが期待される。その他に、高効率な気化混合サイクルシステムの導入や、燃料を乾燥したり、大規模稼動による高性能な蒸気サイクル利用を通じた直接燃焼システムによって、効率性が著しく改善することが期待される。現在は研究開発段階にある技術、たとえば全木エネルギー統合ガス化(Whole Tree Energy integrated gasification), 燃料電池システムとモジュラーシステムは将来的には利用可能になろう。 2.5.4 エネルギー政策の問題点 1980年以降途上国におけるエネルギー需要は著しく増加し、それにともなって途上国の中には急速な経済成長を遂げてきた。アメリカの政策立案者は、この問題を石油供給の安全保障に対する潜在多岐な危険性と認識してきている。とくに60%以上の石油埋蔵量はペルシャ湾に集中していることには問題である.一地域に頼って増加する世界的な石油需要を満たすとすれば、石油輸入国は、供給の破綻や価格の変動に対して脆弱になってしまう恐れがある。米国戦略的石油埋蔵量を意地・強化する政策が発展することであろう。天然ガスと石油産業の規制緩和に続いて、国家政策は電力市場の卸売り、小売の規制緩和も継続してきている。相対的に高い電力割合を占める州では、積極的に電力市場に競争原理を持ち込んできたが、多くの州の場合、競争原理を導入して価格を下げる政策を試行的に始めた段階である(US Department of Energy. 1998)。 1997年12月に世界的な会議で協議された、気候変動に関する京都会議議定書では、先進国が温室効果ガス排出を削減する数値目標が掲げられた。80%以上の人為的な温室効果ガス排出の80%以上がエネルギー由来で、エネルギー消費が増加しつづけることを所与の条件とすれば、エネルギー政策は新たなかつ重要な役割を持ってくる。京都会議議定書では、米国が2008年から12年の排出レベル(ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄について基準調整が施される)を1990年レベルよりも7%削減することを要求している。全ての削減がエネルギー部門によって成される必要はないとはいえ、この数値はかなりの排出削減を要求している。しかし米国は、途上国も気候変動問題の重要な参加者にならない限り、京都議定書を承認しない姿勢を見せている。 こうした問題を議論し、将来のエネルギー発展の枠組を提供するべく、包括的国家エネルギー戦略(Comprehensive National Energy Strategy)は、5つの重要な鍵を提案してきた。具体的には、(1)エネルギーシステム効率の改善(2)エネルギー危機に対する安全保障(3)エネルギー生産の促進および健康・環境的な価値を重視したエネルギー利用(4)将来のエネルギー選択肢を増やすこと(5)エネルギー問題について国際的に調整をとっていくことが、挙げられている。これらの5つ目的は長期的視点を持った枠組であり、国益のみによってエネルギー政策の決定がなされることに抵抗するものだ。それぞれの目的は、目標や戦略を遂行することでも支持される。 2.5 電力見通し予測 米国における総エネルギー消費は1996年から2020年の間に、27572TWhから34788TWh(26%の増加)が予測されている。電力価格の下落によって、家庭部門・商業部門のエネルギー消費は2015年までに4%の増加が見こまれている。石炭の消費は1996年から2020年の間に、6130TWhから7509TWhまで増加する(年増加率0.9%)ものの、マーケットシェアは減少するであろう。 再生可能資源の利用は2020年までに0.5%が増加することが予想される。2020年には、再生可能資源の51%が電力発電用に、残りが暖房・冷房、工業利用および運輸燃料の一部に利用される。バイオマス燃料利用の成長は、他の廉価な燃料によって制限をうけるだろう。 電力消費は2020年までに年1.4%の割合で増加するだろう。たとえ効率性が改善しても、電力化の増加傾向や新たな電化製品の浸透によってその効果は相殺される。原子力発電は、発電所の閉鎖によって、1996年の101GWから2020年までには49GWに減少するだろう。 天然ガスと石炭の両者による発電は2020年までに顕著に増大し、電力需要の増加や原子力発電減少を補うことになろう。産業界がより資本集約的でないガス技術を好むために、石炭由来の発電は減少するであろう。天然ガス火力による電力発電は、1996年から2020年の間に9%から30%と3倍強の増加になるであろう。 2.6 まとめ
1995年において、生産的な森林(天然・準天然および植林林地)は、全世界で34億5400万ha存在し、全陸地面積(グリ-ンランドと南極大陸を除く)の26.6%を占める(FAO.1997;WRI.1994)。また潅木、低木、荒地、牧草地はさらに16億8000万ha存在している(1990年)。生産的な森林のうち、約57%にあたる19億6100万haは途上国に存在している(図3-1参照)。国別に見ると、ロシア連邦(22.1%)、ブラジル(15.9%)、カナダ(7.1%)、アメリカ(6.2%)となっている。 森林は非常に多様性に富んでいる。ヨ-ロッパに存在する天然林は僅かで、その大半は途上国、特に熱帯多雨林地域に存在している(Lanly.1997)。植林地は先進国に8000万-1億ha存在すると推定されているが、途上国には僅か8000万haしか存在していない。天然林は今後も林業・林産業にとって重要な資源であるが、2020年までには人工林の影響が非常に重要になるといわれている。 本報告で分析された5カ国(カナダ、フィンランド、ニュ-ジ-ランド、スウェ-デン、米国)には、全世界の国土および森林の15-16%が存在しており、総蓄積量も14%を占めている。FAOの森林統計年鑑(The FAO Yearbook of Forest Statistics)によると、15億?以上の工業丸太が全世界で毎年(1991-94年平均)生産されている。このうち5カ国においては、約9億6030万?(1995年)が伐採されている。次節では、5カ国における森林資源の状況を概説することにする。 なお各国における統計情報は以下に基づく。 カナダ: これら2つの統計書では時系列デ-タ(1970-95年)を入手できるが、将来の収穫量予測は掲載されていない。各州ごとの収穫量は、年間の割当伐採量(AAC)をもとに、各州の地理的配置をもとに予測した。ある州がAACに達したときには、それ以上の伐採は許されない。もしAACを下回っているときには、収穫量は、時系列デ-タから導き出された回帰分析の結果を用いて予測した。 フィンランド: ニュ-ジ-ランド: ニュ-ジ-ランド森林統計(New Zealand Forestry Statistics)は、1995年から2025年まで地域別の木材供給量(5年ごと)のデ-タを掲載している。年間新たに50000haの森林が植林され、28年目に皆伐され、さらに伐採後に再造林されるというシナリオがもとになっている。NEFDは林齢別の森林面積の情報を提供しており、その中に間伐材のうち廃棄される量や利用される量が掲載されている。 スウェ-デン: 新たに植林される面積は年間2000haと推定される。この数値は将来の木材伐採量やそれに関連した廃棄物生産に対して、ほとんど影響を及ぼさないものと仮定した。 米国: 分析に際して、総森林面積、生産的な森林の面積、保護森林面積をそれぞれ区別した。しかし保護林地、低木林地などを除いた生産的な森林を主に分析対象とした。したがって用いたデ-タは生産的な森林面積に全て限定される。これらの森林分類の定義や生産水準は国家間によって異なる。2000-2020年の利用可能な廃棄物利用予測に用いられた、1990-95年の国別の詳細なデ-タ(実質デ-タ)は巻末に掲載されている。 グロ-バル評価: 1) FAO (1995). Forest recource Assessment (1990). Global Synthesis FAOの諸デ-タに若干の相違がみられた。ある特定の国の情報に関しては、そうした差異を無視して、最も利用可能で、国家/地域比較に適したデ-タを利用した。 3.1 カナダの林業 3.1.1 植林と林種配分 森林管理計画は、製材生産を重視しており、目標とする生産物・マ-ケットによって植林から成熟期までに1-3回の間伐を入れるようにしている。樹高2-3メ-トルに達すると、毎年45万haの若齢林が商業間伐の前に伐採される。 カナダの森林は樹齢がほぼ等しく分布している林地とそうでない林地の2つに分類されるが、前者が後者を上回っている。1975-1992年において、間伐が最も植林システムの中で一般的に行われ、プレ-リ-州やニュ-ファウンドランド州では今もなお続いて行われている。カナダにおける林業地域の大半では、択伐などの代替的なシステムが選択されるようになってきたが、皆伐が今なお主流のやり方である。1975年以降に植林された地域の多くは、天然更新や、植林・播種によって森林の再生が見られている。その結果、1975年以降に伐採された林地は、再生林として分類されている。 3.1.2 森林一覧 3.1.3 伐採・造材 1995年の年間伐採量は、188.4M?で、総立木面積の1%以下である。伐採された用材の大半はブリティッシュ・コロンビア州(74.5M?、40%)によるもので、ケベック、オンタリオ地区は、全伐採量の14%を占める(図3-2参照)。伐採量の39%は針葉樹林から採取され製材に用いられる。また43%は針広混交林でパルプ材に利用される。残りのわずか4%が 過去の傾向を見ると、1976年、82年、90年の経済不況にもかかわらず、伐採面積は総じて拡大してきている。1976年には68万haだった伐採面積は、1987年には100万haに増加してきた。伐採面積は1988年に最大を記録したが(108.6万ha)、その後は1980年代半ばの水準に落ちてきた。 3.2 フィンランドの林業 3.2.1 植林と林種配分 伐期は70-120年である。商業間伐の前に、8-15年生の樹高11-14mに達した若齢林が毎年0.2ha除伐される。管理計画は、用材生産に重きを置いており、25-45年生の間に商業間伐が実施され、毎年70万haが間伐される(Mielikainene and Hakkila.1998)。 3.2.2 森林一覧 生産的な森林の純蓄積量は、約19億2300万?で、45%がマツ、37%がトウヒ、18%と広葉樹となっている。立木蓄積量の約71%(13億5700万?)は南部地域で、残りの5億6600万?は北部地域である。haあたりのMAI(年間平均成長量)は、南部地域の方が北部地域より大きい。1995年における、年間平均成長量は、8400万?で、主に南部に集中している(6490万?)。総蓄積量のおよそ35%は用材向けであり、56%がパルプ材、残り9%が廃棄物用となっている。 3.2.3 伐採・造材 3.3. ニュ-ジ-ランドの林業 1995年において、生産的な森林の約3分の1(550万ha)は中央北島地域に存在し、38%はそれ以外の北島地域、残りが南部に存在している。伐採跡地の再造林以外に、年間約60万haが新たに造林される。現在の植林率から2010年までに植林地は190万haを超えることが予想される。 3.3.1 植林・林種配分 7.4万haが新たに林地に転換されていると予想されているが、それらの森林はラディア-タ・パインやダグラス・ファ-によって占められている。この2種が植林地の97%を占めている。以前放牧地だった場所に植林されていることや、生産性を高める森林管理方法が実行されていることから、森林資源は増加するものと予想される(巻末表1-3参照)。 National Exotic Forest Descriptionでは、森林管理の方法を大きく4つに分類している(Ministry of Forestry. 1995)。(1)生産的な間伐を用いた集約的な管理(2)生産的な間伐を用いない集約的な管理(3)生産的な間伐を用いた粗放的な管理(4)生産的な間伐を用いない粗放的な管理である。ラディア-タ・パイン植林地のほぼ69%は、集約的に経営することが予想されており(少なくとも4mに達する時点で枝打ちされる)、20年生よりも1-20年生の割合は増加してきている。伐期は25-30年で、35年生以上の植林地はほとんど無い。こうした管理システムは、エネルギ-利用目的の非商業もしくは商業間伐の潜在的な可能性を示している。しかし1996年時点では、木質燃料用に非商業的間伐が未だ行われていない。
3.3.3 伐採・造材 3.4 スウェ-デンの林業 3.4.1 植林・林種配分 3.4.2 森林一覧 3.4.3 伐採・造材 1995年における総伐採量は6200万?で、1973-74の8400万?より少ない。また総伐採量のうち約2230万?はGoetalandで生産される。伐採量は、全蓄積量のわずか2.1%、成長量の64.7%である。伐採量の約16%(成長量の10.8%)は、間伐もしくは択伐によるものである。図3-4では、スウェ-デンの林産業における、(輸入、輸出、ストック量、燃材利用量を含めた)木材の流れが示されている。 全工業丸太のうち、針葉樹を中心とした50%以上が製材利用であり、残りの針葉樹・広葉樹はパルプ材もしくはパネル材利用となる。製材所に運ばれた木材の約3分の1は、木材チップ・木屑となり、これらはパルプ、ボ-ド、もしくは燃料として利用される。 3.5 米国の林業 3.5.1 森林一覧 3.5.2 伐採・造材 3.6 先進国における林業 地域別に見てみると、旧ソビエトには、8億1600万haの森林(うち4億1400万haが生産的な森林)が存在し、先進国のなかでもまた世界的に見ても、最も多くの森林を所有している。これに、北米、欧州が続き、先進国アジア及びオセアニアは、もっとも森林が少ない。面積と同様に、蓄積成長量および年間成長量も旧ソビエトがもととも高い(それぞれ53%、34%)。全世界森林面積の42%、また総蓄積成長量の43%がこれら全ての地域に存在している。 3.7 森林率 3.7.1森林率が丸太利用に与える効果 ある特定の直径に対して、伐採可能な丸太量は、森林密度が上昇するにつれて増大する。またニュ-ジ-ランドではより高い成長量が見られるためにより高い数値を示している。 3.8 丸太材積の予測 ほとんどの地域で伐採丸太材積の増加が予想されている。ニュ-ジ-ランドでは、総伐採材積は、1990年から2020年の間に65%増加することが予想されている一方で、アメリカでは同期間中に減少することが予想されている。他の地域と比較した場合、ニュ-ジ-ランドの森林資源は希少であるけれども、生産的な森林は人口林で、それらが増大する割合(年間46000ha、生産的な森林の約3%に等しい)は、将来の伐採材積に大きな影響を与える。フィンランドにおける蓄積量は2020年まで増加すると予測されている一方で、 3.8.1 先進国における丸太材積生産傾向
従来の林業部門は、再生可能燃料としてのバイオマスを再利用するという重要な機会を提供する。商業段階前間伐、若齢林を対象とした初期段階の間伐、天然更新時に生ずる幹・樹冠の廃棄物、皆伐時の丸太残材、枯損木や枯れかけた非商業用樹木を伐採したときに発生する廃棄物などが、バイオマス燃料として利用できる。また低品質の森林を所有する国の場合、低生産性の小規模の広葉樹や、造林時の伐採からバイオマス燃料が発生する。このほかに、今のところ重要な資源としては考えられていないが、枝打ちによってもバイオマス燃料が生み出される。商業ベースに乗る林産物と非商業ベースの林産物がそれぞれ生産されるが、本研究では非商業林産物で、価格競争力のないもののみをバイオマス燃料として取り上げて議論する。また破損・腐敗した及び再生不可能な林産物で、利用価値の低いものも議論に含める。 既存の林業部門からバイオマスを再利用することの効率性およびその効果は、森林管理計画及び収穫方法に著しく依存している。なおここで述べる効率性とは、低価格・高生産性だけを意味するのではなく、工業木材生産増大・持続的な森林管理実務の実現も含める概念である。また既存の林業部門で再生可能なエネルギーを資源として取り扱うとはいえ、高品質の木材生産が最重要であり、再生可能エネルギー生産はあくまで副産物としてとらえるものとする。 伐採廃棄物とは、伐採時に取り残された葉、枝、幹、樹皮を指す。これらは、森林の種類、森林管理システム、収穫方法、樹種、地域によって、その比率や規模はことなる。本説では、以下を議論する。 4.1 データ 4.2 伐採システムおよびその方法 上述した状況を考慮すると、ニュージーランドについては、伐採廃棄物として伐倒地や道路脇に廃棄物が若干生ずるものの、かなりの割合で急傾斜地での伐倒が行われ、廃棄物のアクセスが困難である。したがって多くの伐採は平らな傾斜で行われているとはいえ、ニュージーランドにおける廃棄物利用システムは他の国とは異なる。 伐採作業に国家間の違いは見られるものの、スカンディナビア半島で行われている燃材伐採方法を、ニュージーランドや北米にも生かせるかもしれない。これまでの伐採方法では、廃棄物が、伐採跡地に比較的粗放にばら撒いた状態で放置されていた。林地からの廃棄物輸送や、その後の作業工程(チップ化など)よりも、廃棄物の効率的な集荷にもっと注目する必要がある. 工業用の木材生産と、再生利用燃料としての木質廃棄物の再利用を目指した森林管理と伐採システムを構築するには、統合的なシステムを考える必要がある。 本報告の目的は、伐倒地・土場・道路脇(図4‐1参照)に発生する廃棄物量を推定することである。しかし急傾斜地の皆伐地に残された廃棄物はここでは考慮しない(図4‐2参照)。これは、急傾斜地の皆伐地に残された廃棄物は、集荷にかかる費用や、伐採場所の生態的・環境的な理由から、利用不可能として仮定するからである。また費用や温室効果ガス排出評価の際には、伐倒地のみを考慮した。これは土場や道路脇から発生する廃棄物よりも伐倒現場での廃棄物量が一般的に多いからである. 4.3 木質廃棄物の分析 表4‐1は、3つの森林率のシナリオに対する、異なる距離別の廃棄物量を表したものである。示される廃棄物量は累積された数値(すなわち、より短い距離で集められた廃棄物の数値を全て足し合わせた数値)である。遠方からの廃棄物は、集中集荷型電力プラントの近隣の廃棄物が用いられ、木質廃棄物が枯渇した後にのみ利用されることが仮定されている。分析では、全ての物質がある一箇所に集められるような集中集荷型プロセスを仮定している。したがって、量、費用、排出量を推定する際に、異なる輸送距離が仮定されている(巻末表参照)。また、(1)輸送距離が減少する、(2)輸送距離が短くなることで輸送コストが減少する、(3)輸送距離が短くなることやディーゼル車を利用することで温室効果ガスの排出が減少する、(4)廃棄物1単位あたりからのGHG削減が増加するなどの可能性があることがわかった。なお非集中集荷型プロセスは、規模の経済の有利性を弱める可能性があるが、今回の分析では分析できなかった。これは考慮されるべき地域特性に関するより詳細なデータが入手できなかったからである。 4.4 電力生産に対する木質廃棄物の有効性 国別の推計 国内の異なる場所で、生産性は異なっており、樹木の形態、樹種構成は異なってくる。しかし本分析では、木質廃棄物生産は類似しているものと仮定した。異なる地形における廃棄物集荷の困難性や、地域・国家間の伐採技術の違いを考慮して、利用可能な廃棄物量を推計した。木質廃棄物の一部分のみが、発電に利用可能である。年単位に示された収量のシナリオは、集荷技術の潜在的な可能性に対する判断を表している。可能な限りにおいて、国家全体における生産・利用の予測数値、現在の利用状況と推計された収量を比較した。国別の廃棄物量推計は、1990,1995年の実測データと、実測データを基に予測された2000‐2020年のデータからなる(表4‐2)。なおデータとしては、植林率、年間成長量、年間許容伐採量(3章参照)などが用いられた。将来予測量について、フィンランドとスウェーデンに関しては、利用可能な廃棄物は丸太材積の10%に等しいという仮定を設けた。カナダに関しては10‐15%、アメリカでは、北部では11.7%、南部エネルギーは15.27%、ロッキー山脈では7.5%、太平洋湾岸では18.7%と仮定した。ニュージーランドでは、中央北島地域では、地上部のバイオマス量の18.1‐18.4%、その他の北島地域では12.9‐13.3%、南島では12.3‐12.8%が利用される廃棄物量であると仮定した。中央北島地域では林内集材作業が行われている頻度が高いという状況を考慮したため、高い廃棄物利用率を仮定した。また他の地域では架線集材が通常行われていることや、急傾斜上の廃棄物利用は、土壌安定性に悪影響を及ぼし、土壌浸食を発生されるなどの状況を考慮して仮定した。フィンランドやスウェーデンでは、総丸太伐採量の10%という割合は実際のそれよりも低い可能性がある。しかしこれらの国では、既に廃棄物のかなりの部分を利用しているおり、10%と言う数値は、現在の利用量よりも多いものと判断できる。ニュージーランドを除いた4カ国に対して、植林面積・および関連した廃棄物生産量は将来の丸太伐採収穫量に対して、ほとんど影響を及ぼさないと仮定した。 先進国における予測 4.4.2 木質廃棄物の供給に影響を与える要因 木質廃棄物再生に影響を与える変数を所与とした場合、統合的なアプローチによって最適なシステムを決定する必要がある。また森林から発電までの供給の繋がりを考慮して決定する必要がある。しかしそうした手法は、ある一つの特定な場所を扱うのには適したモデルではあるが、しばしば複雑になりすぎる場合がある。本報告では、伐採・輸送システムに関連した様々な仮説を設け、加工過程を単純化した。ニュージーランドの場合、以下の点に注目すべきである。 1)ニュージーランドは他の国とは異なり、伐採された森林は植林由来によるものが多い。また他の国と比較してニュージーランドの森林資源量は小さい。全ての森林産物は人工林由来あるため、植林率が将来の伐採材積にかなりの影響を与える可能性がある。これは、他の4カ国のように、天然林に依拠した大規模な林業とは異なるものである。4ヶ国については、新たに植林された森林が将来の伐採材積に与える影響は、すくなくとも2020年までは小さいはずである。 2)ニュージーランドで植林された森林は、しばしば急傾斜に位置しており、架線集材が必要となる。急傾斜な林地の割合は地域ごとに異なるが、現在の平均は40%である。そこで伐採の40%は急傾斜上によるものと一般化し、そうした地域では木質廃棄物伐採は非効率であると評価した。4カ国に関して、急傾斜な森林が占める割合に関する情報を入手することが出来なかった。こうした4カ国の廃棄物データは、実際に供給されたものか、伐採事情から推定されたデータである。 3)伐倒作業時に生じる廃棄物は利用可能であるが、根株は費用・環境的な理由から利用不可能と仮定した。またニュージーランドの樹種は大型で、樹高も高いため(40m以上)、伐倒時にしばしば割けてしまう.そして樹冠部やばらばらになった木片は、従来の林業生産としては商業的な価値を持たない。こうした材は、林道沿いに搬出されない。 その他の国に関して、急傾斜地の問題点・その影響は不明であった。そこで生産的な森林を有する急傾斜地の割合は、地域差があるとはいえ、非常に小さいものと仮定した。またそうした生産的な森林は、しばしばニュージーランドの生産林もかなり小型であり、伐倒時に割けたりすることは少なく、また林道で生産される廃棄物量も大きいはずである。本報告で述べられたように、利用可能な廃棄物の地理的分布情報に関するより良い情報が欠損しているため、林道沿い・平らな地形であると仮定した。 4.5 燃材生産技術 4.6 木質廃棄物の取り扱いおよび前段階処理 木質廃棄物を削減して、発電所により適した形態で供給する選択肢として、以下の方法含まれる。1)チッパー・フォワーダやトレイラー・フォワーダを用いた伐採地での集荷・サイズの縮小化(図4.3参照)2)土場もしくは林道沿いでのトレイラー・チッパ‐を用いたチッピング(図4.4参照)3)伐採地や土場での廃棄物集荷および集中集荷型チッピング工場への輸送(図4.5参照)。フィンランドなどでは、燃材再利用に開発された特殊な機械が開発され、前商業的間伐の作業工程から利用されてきた。そうした機械(小型フェラー・チッパ‐・フォワーダ)は一つの工程で完全な木材チップを生産する。しかしバイオマスエネルギーとしての前商業的な間伐作業を実施する際には、効率的な低価格伐採システムが重要な鍵になる。なぜならば、樹木の大きさは一般的には小さく、haあたりの伐採密度は小さいからだ。こうした材は一般的には高いコストがかかるために、再利用には向いていない。しかし多くの国でこうした材は重要な資源であり、また小経木の利用は他の燃料資源を補完する可能性は高く、無視することは出来ない。土場での全幹集材や林道沿いでの造材作業によって、多くの木質廃棄物が生産される。もしそうした堆積物が森林に残されるとすれば、森林火災、害虫、樹病、場所が選挙されるなどの問題点が生ずる。したがって、これらの資源を再生可能な燃料資源として利用することは、蒸気の問題点を最小限におさえるとともに、エネルギー供給に貢献する。廃棄物が堆積する場所では、より大きなチッパーを用いて、直接チップ用のトラックに集荷することが出来るはずである。 決定過程でもっと重要なこととして、いつ・どこで粉末化を行うかということである。チッパ‐・フォワーダ‐は生産性低いゆえに、チッピング費用がかさむ(Brunberg.1994, Brunberg.1995)。大型トレーラー搭載のチッパ‐やホグは、より生産性が高いが、費用は利用度合いに対して弾力的である。したがって、後方支援として用いるには(特にトラックによる供給)には問題が生じる(表4‐4参照)。大型固定設置型チッパ‐は最も生産性が高く、他の選択肢と比べても燃料費用はかからない。しかし集中集荷型チッピング設備では、加工されない状態で廃棄物をかなり長距離運搬する必要があるために、結果として高い費用がかさんでしまう。特に、トラックが長い距離を最大積載量・総車両重量(GVWs)よりも少ない状態で運搬した場合には費用がかさむ。こうした限界はあるものの、本報告では全ての木質廃棄物は、生産性向上、低費用を目的とした前段階加工が集中集荷型工場で施されると仮定した。この選択肢は、最も低価格で、プラントがフル稼動するものといえる。林道沿い・伐採現場で発生する廃棄物が利用される場合には、準備要件や造林費用にまつわる費用を削減することが出来る(Zundel et al. 1997)。 単位あたりの費用最小化・生産最大化のために、大型・トレーラー搭載のチッパ‐をフル稼働する必要がある。またそれゆえに原材料としての廃棄物は大量に必要であり、チップ化された廃棄物を大きな市場や消費者に輸送するトラックによる供給が滞りなく行われる必要がある。チッパ‐の性能は必要な燃料供給を賄うものでなければならない(Stuart et al. 1981; Desrochers et. al. 1995)。また燃料供給量は、廃棄物の有効性、面積あたりの密度、材質、成分・水分構成とともにチッパ‐の生産性を決定する要因となる。 廃棄物収穫と従来の伐採作業を統合することは魅力的であるが、廃棄物収集作業によって、工業用木材生産を妨害したり、費用の高騰を引き起こしたりしてはならない。多くの場合にこうした点は問題になる。全幹集材に小経木も含めて集材するとなると、単位あたりのコストが上昇してしまう(McMahon et al.1998)。中には、丸太集材作業と効果的に切り離した形で行われる廃棄物システムも存在する。特に従来の林内集材やCTL作業がそれにあたる。廃棄物を集積するによって、保管の問題や土場や林道沿いでの作業での低能率化などの問題が生じるが、林道沿いで丸太・燃材加工を施す全幹集材は、伐採現場から廃棄物再利用を加えたCLT集材システムよりも低コストで燃材を生産することができる。さらに、材をチッピングして、潜在的な消費者に輸送することでそうした廃棄物集積に関連した問題点は、克服できるはずである。 ニュージーランド、カナダ、アメリカでは、集中集荷型土場(CPYs)はしばしば丸太生産を行うときに採用される(図4.6参照)。この土場では、全幹集材された木や、同一な長さに統一された幹を扱って、丸太生産物に加工する。幹材や樹皮の廃棄物がこの加工段階に関連して発生する。生産された廃棄物の量が大量であれば(加工された幹材積の2−4%)、しばしば埋め立てられている。CPYsはバイオマス燃料利用者が多く存在する場所から離れた場所に立地していることがよくある。しかし丸太加工地点に運ばれるまでの費用が既に含まれているのであれば、廃棄物をバイオマス燃料として利用することは魅力的である。 4.6.1 廃棄物の圧縮化 梱包 完全過重圧縮(Full Load Compaction) 4.6.2 木質廃棄物の輸送 50km以上の輸送距離では、トラックが主要な輸送手段となるが、150km以上の長距離輸送では、他の手段(例えば、トラックと電車、トラックと輸送船、高速道路を利用しないトラックと利用するトラックなど)が考えられる。トラックとトレーラーによる輸送は、その柔軟性、費用対効果によってよく利用されており、伐採作業の規模に容易に対応できる。一般的に、道路輸送は、輸送燃料コストのかなり割合を占める(距離に応じて30‐70%)。同様に1日あたりのトラックへの積載回数も輸送距離によって変わってくる。 輸送システムとトラック利用はより洗練・特化してきている。高速を利用した高効率な輸送システムは、林地という立地条件や経由先には不適切かもしれない。例えば、最新鋭で積載量の大きなB-train Chip Vanを、貯蔵所で利用する方法が開発されてきた。しかし車両は、高速利用するものとしてデザインされており、高速を利用しない場合(特にトラックが空の場合)には性能が発揮されないため、林内輸送には不向きである(図4‐7参照)。より一般的に利用されるシンプルなセミ・トレイラーやトラック・トレイラー(図4‐8参照)は、遭遇する様々な条件においても利用される。道路や企業などの社会整備資本が木材製品輸送用に整備されている場合には、トラックがしばしば用いられる。フィンランドでは、収穫された丸太の80%は、トラックによって製材工場に輸送されている。廃棄物は3つの異なる形態で輸送される。1)非圧縮廃棄物(すなわちチップ化されていないもの)2)チップされたもの3)圧縮され梱包されたもの。一方、トラックからの荷下ろし作業には、1)水力チッパ−・トレイラー(hydraulic self-tipping trailers); 2)チップとトラック全体を持ち上げる水力タラップ(hydraulic ramps which rise and tip the entire truck) 3)床移動式トレイラー(walking floor trailers which self empty) 4)ボトム・ダンパー(bottom dumpers) 5)クレーンとグラップル6)着け外し可能なコンテナなどが利用される。生産物を考慮しなければ、トラックの積載量を増やしたり、最大可能積載量(GVW)を増やしたりすることで効率的な輸送が可能となる。 国ごとに、最大可能積載量(GVW)が異なることに注意する必要がある。例えば、スウェーデンでは60トンであるのに対して、米国では36トンである。5カ国におけるこうした違いは表4‐5に表されている。また表4‐5では、潜在的な積載量や平均的な輸送距離なども掲載されている。高いGVWを許す国々では、木質廃棄物のチップ化・圧縮化なくしてGVW分の荷物は積むことができない。これはチップ化することで容積が小さくなるからである。GVWが小さい場合や、トラック・荷台の容積が小さい場合、チップ化されていない廃棄物をトラックに積めるだけで最大GVWに達することもある。 圧縮されていない廃棄物の密度は、原材料の15‐20%である。(図4‐9参照)。しかし身長に積荷して、ローダー(loaders)とタイ・ダウン(tie down)によって圧縮すると、その比率は35%にまで上昇する。装填器による圧縮で密度は20%増加し、ローダーによって牽引されるケーブルのような装置で圧縮されると密度は200%増加する(Hankin and Mitchell.1994)。図4‐9は圧縮されていない森林産物の様々な積荷密度を表している。一方、図4‐10では、材料を圧縮して、GVWと有効搭載量を最適化する手法を紹介している。林内でチッピングした場合、40%の密度が達成される。選択されるシステムは、たくさんの要因(輸送距離、車両に課せられる地域的な規制、貯木地で生産される廃棄物の種類、収穫される木材の種類や加工技術、最小丸太特性)に左右される。例えば、ニュージーランドでは大口径の木材が採取される可能性はスカンジナビア半島諸国に比べて高い。こうした条件の違いによって、国家あるいは地域間で異なる燃料輸送システムが採用される可能性が生じる。 最大積載重量を達成するために、220kg/?が必要であると推定されている(Bronson. 1994)。この数値が達成されるか否かは、原材料の水分含有量に左右される。もし廃棄物が新緑の時期に輸送されれば(水分含水率45‐55%)、最大積載量は容易に達成される。もし廃棄物が林地に夏の間貯蔵されていれば、含水量は著しく減少する(水分含水率20‐25%)。たとえ同じ材積の木材だとしても、重量が軽くても高い純エネルギー量がある場合が生じる。 もし大きさに変化が起きなければ、空気または蒸散乾燥によって木質燃料の水分を減らすことが出来る(Alexander.1995;Jirgis.1995; Nurmi.1995)。それゆえに同材積の木材でも重量が軽くても高い燃料価値がある場合が生じる。マツ科の廃棄物の場合、30日で、含水量を50%から35%に減らすことが出来る(原木ベース)。空気乾燥は、種・気候・廃棄物成分次第では有効である。さらに空気乾燥は、他の乾燥技術よりも低コストである。 4.6.3 廃棄物の貯蔵 4.7 燃料の性質 4.8 廃棄物集荷・輸送・加工時の燃料利用 中央電力プラントに置いてあるチッパ‐は電動で、全て同じタイプのものであると仮定した。チッパ‐は、750kWのモーターを搭載し、1日22時間80%の能力で稼動し、1時間あたり100トンの生産性があると仮定した。電力消費量が計算されれば、電力生産に伴う温室効果ガス排出量が国別に分かる。電力消費は、廃棄物1トンあたり6kWと仮定した。伐採地から木質廃棄物を集荷するときに消費される燃料の量は、表4‐7で推計されている。輸送距離や、輸送コスト($/1トン)の場合と同様に、輸送燃料消費におよぼす輸送距離の影響は、5カ国全体で用いられた燃料と距離との回帰分析結果を用いた。回帰分析の結果は表4‐8に表される。 4.9 廃棄物集荷・輸送・加工費用 伐採廃棄物の大半は、現在のところ金銭的価値・価格がつけられていない。また発電所の予定地を確保するためにかかる費用にも金銭的価値はつけられていない。もし廃棄物を利用するシステムが導入すれば、必然的に原材料に対する需要と競争が発生し、価格・価値も発生する。しかしこうした価格全てを予測することは困難である。本報告の目的として、伐採地や土場には直接的な費用はかからず、また温室効果ガス排出も適用されないと仮定した(すなわち、廃棄物生産から生ずる費用・温室効果ガスの排出は、バイオマス生産工程からではなく従来の工業製材作業の中で生じたと考え、また付加的な作業のみを廃棄物生産から生じたと仮定した)。 詳細で原価計算に基づいたテンプレートを用いて、廃棄物集荷・輸送システムに生じる費用を算出した(Riddle.1994)。原価計算に基づいたテンプレートは、ニュージーランド伐採産業研究協会(New Zealand Logging Industry Research Organisation)によって利用されているものであるが、他の国々おいても同様なシステムを利用している。テンプレートには全労働者の費用、作業供給量、人数、運送手段、機械工程などが記載されている。伐採現場で集荷された廃棄物を集荷する際にかかる費用とその相対的な比率を表したのが表4‐9である。この表では、1日に185トンを生産する1台の機械作業内容を表している。データが有効で適切であると判断した場合には、国ごとに燃料・労働コストを利用した。 4.9 燃料コスト 全ての燃料サイクル分析を用いて、ディーゼル油、ガソリン、木質廃棄物燃焼、500MW石炭プラント(石炭採掘・輸送・燃焼も含む)に対する、様々な温室効果ガス排出要因(二酸化炭素、メタン、窒素酸化物)を決定した。改訂版1996年IPCC国家温室効果ガス一覧ガイドライン (Revised 1996 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories)およびIEA石炭生産に関する温室効果ガス排出 (IEA Coal Research's Greenhouse Gas Emission Factors for Coal)に基づいて、今後100年間に排出ガスが及ぼす温室効果の影響を調査した。そしてメタンガスと窒素酸化物排出にも炭素税と同等な税が適用されると仮定した(IPPC.1996; IEACR/98:Smith.1997)。 表4‐10の全てのデータは、払い戻しが可能な付加価値税を除いたドル換算で、IEAの1998年第1四半期におけるエネルギー価格と税価格から推定を行った。付加価値税(VAT)はニュージーランド、スウェーデン、フィンランドでは払い戻しが可能であるが、米国、カナダでは払い戻しできないことに留意したい。 1トンの二酸化炭素排出につき500$の炭素税がかかるものと仮定して、全ての化石燃料利用を排除した。その一方、1トンの二酸化炭素排出につき100$の税金がかかる場合、ニュージーランド、米国、フィンランドでガス混合サイクルの割合はごくわずかとなる。1トンの二酸化炭素排出につき20$の税金では、ニュージーランド、カナダ、スウェーデンでの石炭発電がほぼ無くなり、米国とフィンランドでは石炭燃料からガスへの転換が見られる。米国とフィンランドの化石燃料に依存した電力発電所は、カナダ、スウェーデンから輸入化石燃料に相殺されると仮定した(輸入製品の価格高騰は限られている)。スウェーデンでは、化石燃料の不足によって炭素税収は伸び悩むが、化石燃料に対する輸出需要によって地域価格が高騰する。燃料使用に対する温暖化ガスの影響は複雑であろう。 7章で論じられる統合的な分析を行うために、炭素税がかからず、500MWの火力発電所に関わる費用ケースのみを利用した。廃棄物の費用に影響を与える、これらの価格の注目すべき特徴として、1)スウェーデンでの非常に高価なディーゼル油2)フィンランドにおける高価な電力費用が挙げられる。 4.9.2 輸送距離の効果 4.9.3 廃棄物集荷費用 木質廃棄物の集荷やそれを電力発電プラントに輸送する費用(7章の統合的な分析で用いられる)は、表4‐14に概要が示されている。こうした費用は、土場から集荷してトラックで集中集荷型発電所に輸送し、そこでチッピング化するためのみに必要な経費である。これバイオマスを利用したシステムで最も低コストな方法であるので、この費用を、バイオマス発電にかかる総コストとして評価する際に利用した。間伐のケースでは、材料伐採にかかる費用は、同様な伐採システムが採用されるという理由から、皆伐のケースと同様であるとみなした。初期段階の間伐では、数多くの機械(例;フィンランドのチップ・ハーベスタ)が開発されてきた。しかし生産性が15?/ha以上、経費が24$/?で、市場に手に入るどのような機械をもってしても、皆伐から搬出される原材料よりも廉価になるケースはなかった。したがって、全幹集材して、粉末状にすることなく集中集荷型加工工場に輸送したと仮定した場合と同額が用いられた。他の計画によって集荷されたバイオマス燃料はより費用がかさんだ。 廃棄物1トンあたりの費用・燃料消費量は、時間による変動を受けないと仮定した。燃料利用は、同一の収穫システムであれば全て一定と仮定し、年度が変わっても同一金額を用いた。時間と共に変化する重要な変数として、材積があり、この数値は国ごとに異なる。 4.9.4 基本的なシナリオ:廃棄物集荷及び輸送 丸太材収穫作業は、フォワーダなどの林内集材機械を使用して伐採場所で行うと仮定した。架線集材が行われるような急傾斜地域では、伐採現場で発生した廃棄物は輸送コストがかかるため利用することが出来ない。しかし架線集材の場合でも、土場や林道沿いに廃棄物がしばしば堆積するが、平らな伐採現場でのシステムと同様な集荷システムを採用すればこうした廃棄物は利用可能である。その後、集荷・圧縮用の独立型装填器(水力式グラップル)設備のついている、大型トラックによって廃棄物は集荷される。マルティプル・タイ・ダウン(multiple tie-down)を使って、荷積み、圧縮を行う。 平らな土地から林道沿いに廃棄物を搬出する費用は、1トンの廃棄物あたりおよそ3$‐5$である。急傾斜地の場合、費用は15$‐20$となろう。またニュージーランドにおける急傾斜地からの輸送費用(平均輸送距離が65kmの場合)は、1tの廃棄物あたり37.20$で、平らな場所からの費用(23.45$)と比較すると58%も高い。 費用に加えて、急傾斜地から木質廃棄物を集荷することは、土壌を攪拌したり、露呈させたりするによる土壌浸食の危険性を増大させ、環境的な問題を引き起こす可能性がある。現在のところ、急傾斜地での伐採作業は環境団体からの批判の声があがっている。従って急傾斜での集中的な伐採に反対を示すこともあろう。多くの国々で積載量100?を超えるトラックが存在しており、妥当な積載量制限の下で、26%の密度で26トン以上の積載が可能になる。それから廃棄物はサイズを細かくするために中心地に輸送されるのである。 木質廃棄物の平均的な輸送距離は、各国ともに丸太生産時のそれと同じであると仮定した。平均輸送距離が150kmを超えると輸送費用が法外な値段になるために、そうした長距離輸送が行われる場合はまれにしか生じない。発電所のトラックは、水力式グラップルを使って荷を下ろしていないと仮定した。さらに廃棄物は大型の固定電力チッパ‐(おそらくドラム型)に送りこまれ、繊維や規格外チップ、他の汚染物質が除かれる。なお規格外チップは再びチップすることが可能である。 4.9.5 距離が燃料利用と、木質廃棄物供給のコストに及ぼす影響 4.10 廃棄物集荷・輸送・加工時の排出 表4‐7,4‐9,4‐14は、利用される燃料量、集荷及び加工費用に関する内訳を表している。表4‐8は、輸送距離が燃料使用量に与える影響を表す回帰式である。一方4‐14では、回帰分析を行って、距離別の廃棄物利用量とディーゼル油利用量を導き出した。廃棄物の集荷・輸送・加工から発生する温室効果ガス量は、燃料使用量または電力使用量(4.7節参照、巻末参照)に、IEA要因を賭け合わせて算出された。IEA要因とは、燃料をある一定量使用したときに発生する様々なガスに対して、そうしたガスが100年にわたって及ぼす温室効果を二酸化炭素ガス量に換算したものである(二酸化炭素が1で、メタンが21、二窒化酸素が310)。ディーゼル油1リットルを使用した場合(非完全燃焼サイクル)、2.59686kgの二酸化炭素、0.00053kgのメタン、0.00012kgの二窒化酸素、0.02858kgの窒素酸化物、0.01928kgの一酸化炭素が発生する(非完全燃料サイクルベース)。窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化硫黄が化石燃料を使用すると発生するが、これらが気候変動に与える影響を推定する絶対的な手法は存在しない(IPCC.1996)。 チッピング時の電力使用によって排出される温室効果ガスを、資源利用割合(水力、化石燃料、核燃料など;2章参照)に基づいて推計した。ニュージーランドにおける温室効果ガス排出はガス火力発電所の限界値をもとにしており、1990年以降は624gCO2/kWh、1990年は140gCO2/kWhとした。なおこれらの数値を推計する際に、資源別の発電所が基になっている。フィンランドの数値は260gCO2/kWh(Orn
and Kariniemi.1997)であるが、Sipila et al.(1993)は60gCO2/MJ(換算すると215トンCO2/GWh)を用いていた。カナダ、スウェーデンに対しては、500gCO2/kWhを仮定した一方で、米国では、石炭発電所から発生する電力比率を所与として750gCO2/kWhを仮定した。集荷・輸送・前段階処理に発生する温暖化ガス排出の分析結果を表4‐16にまとめた。排出量のうち69%‐92%は集荷・輸送に関連しており、また輸送距離が長くなるにつれて、排出量は増大する。
世界の丸太は、主に材木、パルプ、紙、パネルとして利用されている。調査対象の5カ国における、丸太伐採材積とその内訳は、表5-1に表す。丸太を他の製品に転換する工程で、かなり大量の木質廃棄物が生産される。そうした廃棄物として、主に樹皮、丸太、丸太端材、チップ繊維、おが屑、削り屑、製品端材、やすり屑が挙げられる。他の利用可能な廃棄物は伐採現場に残った廃棄物、不良品などがある。 本説では以下の内容について報告する: 5.1 木材加工廃棄物 5.1.1 製材工場 製材工場ではリング・デ-バ-カ-(ring de-barkers)もしくはロッサ-・ヘッド(rosser heads)を用いて、樹皮を丸太から遊離する。リング・デ-バ-カ-を用いた場合、スパイクのついたロ-ラ-の間に丸太を置き、リング・デ-バ-カ-を縦方向に通りぬけるようにする。このリングには、旋回するナイフがついており、このナイフに丸太が食いこむと形成層についた樹皮が剪断される。典型的なリング・デ-バ-カ-には、650-1000mmの木材を扱うことができ、煎断速度は、1秒間の間に0.25-1.00m程度である。 ロッサ-ヘッドには、回転する間に丸太の表面を削るカッタ-がついていて、樹皮はらせん状に除去される。この手法は、リング・デ-バ-カ-と比較して、煎断速度が遅く、小規模の製材工場で一般的に利用されている。ロッサ-ヘッドの利点として、変わった形をした丸太や、リング・デ-バ-カ-では扱えないような大きな丸太にも対応できることが挙げられる。 皮剥きにかかるコストや温室効果ガスの排出は本研究には含まれていない。これは、この作業が通常の工業製材生産の過程で行われるからである。 おが屑は丸太加工作業で生じる。製材工場は、様々なのこぎりを使って、丸太を望ましい規格の製材に仕上げる。丸太資源(質・大きさ・材積)、市場、製品の組み合わせ、資本投資などを考慮して、製材所でどのようなのこぎりを使用するかが決定される。のこぎりの形状や設備の種類は、発生するおが屑の量に大きな影響を与える。例えば、(継ぎ目なしのスチ-ルバンドからなる)帯のこなどは、非常に薄い規格のスチ-ルを利用するので、約4mmの引き幅ですむ。その一方、円盤型のこぎりでは、より厚いスチ-ルを利用するので、引き幅も厚くなる。 削り屑は、製材をかんながけするときに発生する。かんながけによって、滑らかな面ができる。かんな盤は回転するナイフを利用して、板の表層を除去する。製材加工中に発生する削り屑の量は、製材システムの精巧さ、かんなの種類、そして加工される材の種類に左右される。 端材ややすり屑は、製材の長さを揃えたり、加工の最終段階で発生するが、その量は比較的少ない。これらの発生量は、特製材工場によって異なるため、本報告では考慮しない。 5.1.2 パルプ・製紙 パルプ生産量は、パルプ加工過程方法に大きく影響される。化学パルプの場合、チップウッドの約半分が化学パルプになるが、それと同量のパルプ回収黒液も生産される。しかし本研究では、廃液全てがパルプ工場の蒸気発生に利用されるために、バイオマス発電所はこの資源を活用できないと仮定した。将来的には、パルプ回収黒液は再利用気化などのより効率的な技術などで再利用されることも考えられる。 5.1.3 パネル製造 ベニア板を、繊維の目が互い違いになるように数多く張り合わせたものが合板である。また、木質パ-ティクルや木質繊維を合成樹脂で粘着し、薄板状にした後に、光熱・高圧力化での圧縮・硬化させることでパ-ティクル・ボ-ド、ファイバ-・ボ-ドを製造する。パ-ティクル・ボ-ド、ファイバ-・ボ-ドは建設・家具加工に幅広く利用される。パ-ティクル・ボ-ド、ファイバ-・ボ-ドに利用される木材原料は、低品質の丸太や、木質廃棄物(すなわちチップ、削り屑、おが屑など)である。そうした木質廃棄物は製材工場から供給される。パ-ティクル・ボ-ドで生産される木質廃棄物の分析に際して、投入物の50%が、製材所などの木材加工施設から供給された再資源であると仮定した。パネル製造から発生する典型的な木質廃棄物として、樹皮、丸太端材、チップ繊維、ベニアの残り材、製材の残り材、やすり屑が挙げられる(図5-3)。パネル製材工場で用いられる樹皮をはがす設備は、パルプ、製紙工場と同様である。 パネル製造から発生する木質廃棄物の評価を実行する際に、主要の廃棄物は樹皮、貯木場の廃棄物、不良品、やすり屑であると仮定した。チップ繊維はチップシステム、製材工場で生産される生産品の種類に依存するため、本報告では分析に含めなかった。パネル産業の中には、削り屑やチップ片を多く利用する場合もある。 5.1.4 他の木質廃棄物 5.2 木質廃棄物の質 5.3 木質廃棄物収穫の分析 5.3.1 丸太・パルプ・パネル産業 5.3.2 木材加工から生じる廃棄物 5.4 木質廃棄物の供給に影響を与える要因 5.5 木材加工廃棄物コスト
電力または蒸気の生成のために、バイオマスを多種の技術(例えば燃焼、ガス化や熱分解)で利用することができる。本章では以下について述べる: ・ 木質バイオマスを利用した発電に関して利用可能な技術のレビュー 6.1 技術の概観 6.1.1 はじめに この技術におけるレビューでは、燃焼とガス化の技術と、世界的に見たときのその状態について焦点を置く。燃焼とガス化以外の、熱分解などのバイオマス発電に関する技術は含まれていない。IEA生物エネルギープログラムとIEA CADDET再生可能エネルギー技術プログラムが1998年8月に発表した共同報告書"固形廃棄物からのエネルギーに関する改良熱変換技術"は、都市ゴミおよび産業廃棄物の熱分解とガス化についても扱っているが、バイオマスを利用した発電にも利用可能な熱変換技術についての記述もある。 燃焼技術は一般的に見て成熟しており、高度に発展しているが、燃料の高い含水率とランキンサイクルに固有な素性により、変換効率には限界がある。複合サイクル発電所では、バイオマス合成ガスをガスタービンの燃料として使用し、熱によるバイオマスのガス化の変換効率は高くなるが、これはまだ発展段階にあるシステムである。ガス化技術については、5年から10年の間に商業的に成熟することが予測されるため、本研究に含まれている。 6.1.2 燃焼技術−一般 燃焼技術は、一般的に、固定床、流動床、浮遊燃焼技術のうち何を利用しているかで分類される。このような分類は正確ではなく、散布式ストーカーで大量の燃料を固定床炉に供給すれば、主としてそれは浮遊状態で微細粒子が燃焼することとなり、"半浮遊燃焼"という言葉が必要となる。表6-1では、バイオマス燃料が供給される形と大きさに応じて使用される燃料供給システムと燃焼加熱炉技術の例が示されている。 微粉炭燃焼ボイラーで少量のバイオマスを石炭と同時に燃焼する例を除き、世界中で微粉炭燃焼ボイラーを代表する、浮遊燃焼は考慮に入っていない。これは、一般的に浮遊燃焼では燃料粒子のサイズを充分に小さくすることが必要となり、燃料の前処理が高度なためである。これは石炭のように砕けやすい原料に関しては容易であるが、強い木質の原料においては大きさを小さくすることが難しく、エネルギー集約的である。木材産業の副産物であるサンダー屑は例外であり、これはすでに浮遊燃焼に適した大きさであり、何の前処理も必要とはならない。燃料の浮遊燃焼を行っている、バイオマス(主として木質廃棄物)燃焼ボイラーがあるのは、サンダー屑だけの入手が容易なところである。 燃焼技術の選択はボイラー規模に関する経済関数により、浮遊燃焼に伴う効率の向上による操業コストの節減と、ボイラー規模の拡大に伴う燃料処理設備にかかる資本とを比較することになる。例えば小さな石炭燃焼ボイラーは通常、固定床で火格子燃焼である。これは燃料処理設備の費用が小さくて済むことからである。過剰空気量の必要性と、炭素を含有した灰のロスの高さから、この燃焼技術に関しては効率にペナルティーが存在する。しかし、通常、この効率に対するペナルティーは、高価な浮遊燃焼用の処理設備の費用を正当化するほどではない。一方、大規模の石炭燃焼ボイラーでは、浮遊燃焼式(微粉炭燃焼)が通常用いられている。これは、過剰空気量と炭素含有灰のロスが小さくて済むことから効率が高くなるためである。つまり、より大きな規模では、浮遊燃焼式でないときの効率に対するペナルティーのコストは、高価な浮遊燃焼式の燃料処理設備の導入に対して充分に大きいのである。現在、固定床、火格子燃焼に代えて粉砕燃料/浮遊燃焼の導入を考慮するのに十分な大きさのバイオマスボイラーに対する需要はない。 表6-1 燃料供給システムと燃焼加熱炉技術 6.1.3 固定床燃焼 固定床燃焼では、空気または機械装置を用いて燃焼炉の底にあるベッドに固形燃料を供給する。燃料は火格子上で燃焼され、その燃焼過程で必要とされる空気の大部分が使用される。燃料粒子のベッド上での空気の流れは遅いため、燃料は火格子上にとどまり、動かない傾向がある。 固定床燃焼システムでは燃料前処理に必要は最低限であり、扱うことのできる燃料サイズの範囲も広い。これにより、浮遊燃焼式に比べ燃料の前処理におけるコストを削減することができる。 固定床燃焼システムは、燃料供給のシステムと火格子のシステムによってさらに分類できる。どちらも、いろいろな組み合わせにできる。 燃料供給システム 燃料供給システムはストーカーとも呼ばれ、火格子上にどのように燃料が供給されるかで分類がされる:上込めかつ散布式、または下込めストーカーである。 上込めストーカー 上込め式ストーカーは大量供給ストーカーと散布式ストーカーに分けられる。 大量供給ストーカーでは、火格子表面の片方の端に重力で燃料が供給される。入ってくるベッドの深さはゲートによって調節される。燃焼炉に入る前に、燃料はゲートの下をくぐらされるのである。燃料は、供給端から離れる方向に、燃焼炉の中を火格子に乗って運ばれる。燃焼はベッドの中で行われ、ベッドを通過するときに火格子の下に空気が供給される。灰は供給端と反対側の端で、火格子から継続的に排出される。 図6-1 上込め散布式ストーカーと移動火格子の図解 散布式ストーカーは燃料のディストリビュータが特徴的で、燃料は継続的に、燃焼炉の火格子上の発火した燃料床の上に投げ入れられる(図6-1)。機械式投入機は石炭のために、空気式投入機はバイオマスのために備え付けられる。細かい粒子は浮遊しているうちに燃焼され、大きな粒子は落ちて火格子上で燃焼される。燃焼の一部が浮遊式によることにより、この方法はある程度乾いた燃料(水分含有50%以下)に適する。水分を多く含む燃料を燃焼させる場合、それを事前に乾燥させるために燃焼用空気の温度を高くするようにデザインされたボイラー以外では、石油またはガスとの同時燃焼がしばしば必要とされる。散布式ストーカーによる燃焼は、その一部が浮遊式になることから、燃料の大きさを適切にすることが非常に重要である。 大量供給型に比べて散布式ストーカーに利点があるのは、ボイラー容量の要求の変化に対する素早い応答である。しかし、燃焼排気において、燃えていない炭素がしばしば高い割合となる。この場合、焼損によりボイラーの効率が低下することとなる。 下込めストーカー 下込めストーカーでは、入ってくる燃料は、燃料燃焼ベッドと空気口の下に位置する、1つまたはそれ以上の供給口から押し出されてくる。図6-2がその一般的な配置である。樹皮、穀物や麦わらのように燃料灰の割合が高すぎる原料には適さないシステムである。下込めストーカーシステムは、わずか6MWthの規模のサイズまでの小規模システムに適するため、本研究ではこれ以上言及されない。 図6-2 下込めストーカー式ボイラー 火格子システム(上込めストーカー) 火格子システムは、1MWthより大きい規模のバイオマス燃焼装置に適する。火格子システムは、燃焼中の燃料を支持し、燃料が空気と触れる機会の提供および灰の除去手段の提供が行われる。一般的に火格子は燃焼炉中で燃料を移送する。これは安定し規則正しい放熱を与えるためである。また灰は廃棄システムに乗る前に、完全に燃焼させられる。燃焼制御は、ベッドの深さ、滞留時間と空気の流入速度を通じて行われている。 火格子システムは、ベッドの移動方法によって広く分類することができる。:移動火格子、振動/往復火格子、または傾斜式固定火格子である。この異なる火格子システムは異なる上込めストーカーシステムと組み合わせることができる。上込め式のストーカーと燃焼システムの典型的な組み合わせは表6-2にあるようなものである。 表6-2 上込めストーカーと火格子タイプ 移動火格子 移動火格子は機械式または油圧駆動の鎖であり(鎖式火格子とも呼ばれる)、燃焼炉の底を水平に燃料を移送するシステムである。燃料は散布式または大量供給型のストーカーのどちらかから火格子に供給される(図6-3と6-4)。 図6-3 移動火格子ボイラー 基本的にデザインは空冷式の火格子になっている;つまり火格子の上に灰の層を保持して、炉からの輻射と派生する熱劣化から火格子のバーを保護しなければならない。灰含有量の少ないバイオマスを燃焼する場合は、断続的に火格子を運用し、灰の層が生成され火格子上に保持されるようにすることが一般的である。研磨する性質を持つバイオマス灰(すなわちシリカ含有物)は、火格子のバーが高熱にさらされることと複合して、維持管理に高いレベルが要求されることとなる。 45%から60%の高い水分を含む燃料を燃焼する場合、燃焼の前に水分を蒸発させるため、1次空気の温度は400から500度にする必要がある。移動火格子は水冷ではないため、燃焼空気の温度は火格子下の空気温度である290度までに制限される。そのため燃料の水分含有は55%以下が要求される。移動火格子は耐久性が高く証明済みの設計になっているが、作動部分の多さから、他の火格子システムに比べて維持コストがかかる。 移動火格子は元来、石炭燃焼用にデザインされた。バイオマスボイラーの火格子で高い割合の石炭を燃焼させる必要がある場合、製造業者は一般的にこのデザインを用いる。移動火格子を用いたボイラーにおけるバイオマスの燃焼には、以下の欠点がある。(@)維持費が高い(A)燃焼空気の温度に限界があり、含水率の高い燃料の使用容量が小さい。 図6-4 移動火格子の片端(拡大図) 振動または往復火格子 振動または往復火格子は、傾斜しているところに設置される。燃料は格子の振動により、燃焼の間にその傾斜を「流れ」落ちるのである。ストーカーは大量供給と散布型のいずれをも用いることができる。空冷でも水冷でも構わない。水冷の火格子は、高い含水率の燃料に要求される高温の1次空気に耐えうる。この火格子はMCR(定格最大容量)の20から30%までの石炭同時燃焼に適する。粉炭バーナーの場合はMCRの100%までとなる。 傾斜/往復火格子 傾斜/往復火格子は、固定床バイオマスボイラーで広く使われている火格子システムの1つである。この火格子は、バイオマスの前乾燥のための傾斜火格子と、燃焼が行われる往復火格子の組み合わせから成る(図6-5および6-6)。これら火格子のタイプは水冷または空冷式で、灰をあまり含まないバイオマスの燃焼に適するように、灰による保護層の必要性はない。この火格子システムは石炭の割合を大きくするには適さない(火格子に供給される石炭割合はMCRの20から30%に制限される)。石炭用のミルを設置し、粉炭バーナーによって浮遊式燃焼を行えば、石炭を同時燃焼させることができる。しかし、これによりバイオマスボイラーにおける高い割合の石炭を燃焼させることができる(MCRの100%まで)が、資本コストも増大する。 図6-5 傾斜/往復火格子ボイラー 図6-6 往復火格子の拡大図 火格子デザインの比較 表6-3でここまでに述べられてきた火格子の特徴比較が行われている。 表6-3 バイオマスボイラーのための火格子の定性的比較 バイオマス燃料の燃焼に用いられるべき火格子の選択は以下の条件による: ・ 燃料に含まれる水分(>45-60%なら往復/振動火格子) 傾斜/往復火格子が、通常、バイオマスの燃焼に適したシステムである。 6.1.4 流動床燃焼 流動床は、粗い珪砂で満たされた大きな容器に、上向きで空気が流れていて、そこに燃料が入れられていると表現することができる。流動化する空気の上方向への流れが、固形粒子のベッドをたくさんの液体の特徴を示す、膨張し、浮遊した塊に変化させるのである。その塊の安息角は0で、水平になろうとし、容器の形を取るのである。珪砂には2つの目的がある。それは(@)燃料と燃焼空気を完全に混合させること、(A)早い乾燥と点火のための熱伝達の増大、である。 固定床燃焼とは異なり、流動床の固形物は流体様の、自由に流れるという性質を持つ。それは空気の速さと燃焼ガスが上向きに固体の乗ったベッドを抜けていくからである。流動化は、ガスの流れによってちょうど固体粒子が離れるようになったときに起きる("最低流動化速度")。固定床から流動床への変化は、ベッドでのガスの速さと圧力低下に相関する(図6-7)。しかし、速度の増加が必ずしも分離距離を大きくするわけではなく、過剰なガス量がベッドで気泡を形成する。この気泡の形成により、ガスの流れが良くなる。気泡の大きさ、形、そして成長がベッドの性能に大きく影響する。気泡は、ベッドにおける混合にとり非常に重要なのである。しかし、燃焼は、ボイラー下部でしか起きない。 図6-7 流動床のベッドにおけるガスの圧力低下対ガス速度 流動床ボイラーにおける流動化では、ベッドの粒子サイズが重要である。 流動床燃焼を固定床燃焼と比較したときの主な長所は、以下のようになる: ・ 低品位な燃料の燃焼:ベッドの高い慣性のために、バイオマスのように灰かつ/または水分を含む燃料と、非常に質の低い燃料を一緒にしても安定した燃焼が得られる。 流動床燃焼技術には2つの基礎的なサブディビジョンがある:気泡流動床燃焼(BFB)と循環流動床燃焼(CFB)である。 気泡流動床ボイラー(BFB) 気泡流動床ボイラーは、名目のボイラー容量が10MWthを超える発電所において関係する。BFBボイラーは、CFBボイラーと比べて低いガス速度が特徴である。最低流動化速度(図6-7)において、ガス・クッションがベッドの粒子をそれぞれ分離させる。1次空気はベッドの底にある流動化空気ノズルを通じて供給され、2次空気はベッド上にある燃焼炉に供給される。ベッドの温度は、灰の融解点を超えないように、1次空気の2次空気に対する割合を制御することで維持される。乾燥した燃料が使用される場合は、ベッド温度を調節するために、燃焼排気のうちある程度を再循環させることもできる。同じボイラーで異なった燃料を燃焼させる場合は、その灰の混合物が共融混合物となり、それぞれの単独の融点よりも混合物の融点が大きく下がることがないかチェックする必要がある。これは、アルカリ性の灰と酸性の灰が混合したときに起こることがある。 細かい灰と燃料の粒子状物質は、ベッドから出ている排気ガスに混入する可能性がある。これら物質は通常、マルチサイクロン集塵装置で回収され、ベッドに戻される。混入された物質の再利用は炭素燃焼を進め、硫黄の吸収利用を向上させる。混入物質の粉末度とマルチサイクロン集塵の効率を考えると、最適な再利用率は1:1から5:1の範囲にある。 図6-8 気泡流動床ボイラー(BFB) 循環流動床ボイラー(CFB) 循環流動床ボイラー(CFB)の基本的デザインはBFBに類似しているが、ボイラー中のガス速度が高くなっている。その結果として、CFBはベッドの表面が明確ではなくなっている。しかし、ベッドにおける密度は燃焼炉の上部よりも底部で著しく高くなっている。 図6-9循環流動床ボイラー(CFB) 1次空気は空気分配弁を通じて燃焼炉の底から供給され、2次空気は炉の下部にある1つ以上の引き込み口から供給される。その結果、燃焼は燃焼炉の全体で行われることになる。燃焼排気と混入固体は炉から出た後1つ以上のサイクロンを通過し、固体が分離される。CFBボイラーにおける通常の再利用率は10:1から100:1の範囲に入る。砂の循環を増減させることで、ベッドの温度を制御し、同じベッドで高熱量燃料(すなわち石炭)と低熱量燃料(すなわち湿った樹皮)を燃焼させることができる。CFBボイラーは火格子ボイラーよりも複雑であり、資本や維持のコストはBFBや火格子ボイラーと比べて高い。このシステムにおける長所をいくつか挙げれば、(@)石炭を同時燃焼させられる割合が大きい(MCRの100%まで)、(A)火格子またはBFBボイラーと比べて排出レベルが低いこと、である。比熱伝達容量が高いために、CFBボイラーは30MWth以上の規模の発電所に適する。 小型循環流動床ボイラー(CFB) CFBボイラーに関する近年の開発努力は、その物理的大きさを小さくすることに重点がおかれている。2つの製造業者、Foster WheelerとKvaerner Pulpingによって、それぞれの手による小型CFBが開発されたところである。Foster Wheelerの小型CFBは従来の円形のサイクロンを正方形のものに替え、この遠心分離装置をエキスパンション・ジョイントなしで炉に直結したのである(図6-10)。新たな設計では、投資、動作および維持のコストは小さくなっている。また設置にかかる時間も短縮されており、既存施設に後から取り付けるのに適しているとのことである。 図6-10 Foster Wheeler小型CFBボイラー Kvaerner PulpingのCYMICR(円筒形多吸気サイクロン)CFBボイラーは、水冷式のサイクロンが燃焼炉の中に据え付けられている点で他のものと異なる。これにより省スペースで、熱伝達面を広げ、必要な耐熱物量を減らすことができる。図6-11では、フィンランドにある製紙工場の既存の建物に設置された160MWthボイラーの図解が示されている。 図6-11 Kvaerner PulpingのCYMICR CFBボイラー 全てを水冷にした設計で、燃焼炉とサイクロンを同じ温度にすることが保証される。これにより炉とサイクロンの間での熱移動がなくなり、操作と維持を容易にすると同時に、ボイラーの始動時と終了時にかかる時間を短縮できる。一部分しか装填していない場合でも、CYMICR ボイラーでは完全に加熱することが可能である。図6-12はボイラーの切断面図解である。 図6-12 CYMICR CFBボイラーの切断面図 6.1.5 燃焼技術の比較 以下の節では、固定傾斜床と振動火格子によるシステムと、気泡流動床(BFB)と循環流動床(CFB)の燃焼システムの特徴を比較する。表6-4に示されているのは火格子型と流動床燃焼型の定性的比較である。 表6-4 火格子型vs流動床燃焼 表6-4によれば、木質廃棄物にかなり大きな固体や石、高い水分が含まれているならば、火格子ボイラーの方が望ましい。火格子ボイラーはまた、BFBやCFBボイラーに比べて補助電源の消費が小さい。また、表6-4ではCFBボイラーが他技術と比べて最高のボイラー効率、燃料に対する柔軟性、負荷変動に対する容量、最小の排出を達成することが示されている。近年ヨーロッパにおいてはCFBが非常に好ましい結果を出し資本コストも高い競争力を持っている。しかしアメリカでは高い導入費用と信頼性の低さがはっきりと示されている。 傾斜火格子を用いた石炭同時燃焼は代表的ではないが、BFBボイラーは燃料の20から25%を石炭として投入できることが産業レビューに示されている。燃料中にカリウム(K)と塩素(Cl)が含まれると、流動床ボイラーではファウリングやスラッギングの問題が起こる。 表6-5は、利用できる様々の現行燃焼システムの長所と短所をリストにしている。 表6-5 燃焼技術の長所と短所 バイオマスボイラーからの排出の面では、BFBとCBCのボイラーは通常、低いCOとNOx排出を示す。これは流動床が均質な性質を持ち、燃焼状態が制御可能であるからである。一方、火格子ボイラーは、微粒子の排出が少なく、飛散灰において炭素の燃焼が良くなされる。 6.1.6 ガス化技術 バイオマスのガス化は、バイオマスが主として燃焼可能な燃料ガスに変化させられる過程のことと定義される。燃料ガスは、低/中程度発熱量のガスを利用できるたくさんの燃焼/生成技術に利用される。典型的なバイオマスの工業分析では、約70%のバイオマス(無水ベース)が揮発性物質であると示されている。この揮発性物質は、主に加熱することでガスに変換することができる。バイオマスには生来、高い反応性があり、容易にガス化できるのである。 直接燃焼に比べ、ガス化には多数の長所がある。 ・ ガス化は燃焼よりも低い温度で行われるため、スラッギングまたはファウリングなしに、低い灰融解温度の燃料を利用することができる。 バイオマスのガス化技術は以下のように分類することができる。それは(@)上昇気流ガス生成機、(A)下降気流ガス生成機、(B)攪拌床ガス生成機、(C)流動床ガス生成機である。図6-13では、これらガス化技術のうち3つを描いたものである。 図6-13異なるバイオマスガス化技術について 上昇気流ガス生成機 上昇気流ガス生成機では、ガス化層の容器の一番上へ木質が供給され、灰は下から取り除かれる。上昇気流ガス生成機におけるガス化は4段階に分けられ、それは乾燥、熱分解、還元、そして燃焼である。熱分解と還元の段階で必要となるエネルギーは、燃焼の段階から供給される。生成されたガスは容器上部から出てくるが、これは、ガス生成機に入ってくるバイオマス原料の冷たい湿気にさらされるため、タール分を多く含んでいる。 上昇気流ガス生成機からのガスはタール分を多く含むため、この工程は主に熱の発生またはボイラー用の燃焼ガスを生成するために利用される。このタイプは20GJ/hを超える熱出力と、95%までのガス化エネルギー変換効率(LHV)を達成する。ただしこれにはボイラーの効率と発電所設備のバランスは考慮に入っていない。 上昇気流ガス生成機で利用できる燃料は、含水率が50%まで、粒子サイズが全長100mmまでとなっている。生成されるガスは、通常4.2から5.6MJ/?の範囲の発熱量を持っている。 下降気流ガス生成機 下降気流ガス生成機では、木質はガス化層の容器の上部から供給され、灰は低部から除去される。制限が火格子の上にあり、ガス化時に燃料体積が減少することを考慮に入れてある。空気はスロートの上から容器に入り、生成ガスはスロートの下から出ていく。下降気流ガス生成機におけるガス化の4段階は上昇気流ガス生成機と同じく、乾燥、熱分解、燃焼と還元である。下降気流ガス生成機では、燃焼の段階は還元の前にスロートの上で起こる。 下降気流ガス生成機での生成ガスは、ガス生成機でガスが抽出される位置の関係上、タール分はずっと少ない。下降気流ガス生成機はディーゼルや火花点火式内燃エンジンのためのガス燃料を供給するのに使用される。第二次大戦時に車両の燃料用に用いられていたImbertガス生成機は、下降気流ガス生成機であった。 下降気流ガス生成機は通常10GJ/h未満のサイズである。熱源やボイラーへの燃料として利用される場合の下降気流ガス生成機のガス化エネルギー変換効率は95%に達する(LHV)。ガスタービンやピストンエンジンに利用されるガス燃料を供給するガス生成機は、しばしば冷ガス効率に基づいて評価される。これは燃料消費時の熱量に比較したときの生成ガス中の化学熱比率である。下降気流ガス生成機の冷ガス効率は最大75%である。 下降気流ガス生成機における燃料は、含水率が重量の30%未満でなければならない。粒子サイズは25mmから150mmの範囲である。生成ガスは通常、4.4から5.5MJ/?の発熱量を持つ。 攪拌床ガス生成機 ガス生成機の中には、燃料ベッドを機械で攪拌する設計のものがあり、攪拌床ガス生成機として分類される。機械振動機を利用することで、重度の磨耗と高い温度での運用による攪拌機の故障による問題だけでなく、固体のフローによる問題にもこの生成機は弱いということになる。 このカテゴリーにはいくつかの特徴的な設計があり、そのうちのいくつかは上昇気流ガス生成機に分類され、また下降気流ガス生成機に分類されるものもある。最も大きな規模のもので21GJ/hのエネルギーを生み出し、生成ガスの発熱量は4.7MJ/?である。燃料は最大含水率40%、最大粒子サイズが50mmになっている。 流動床ガス生成機 現在、商業的には2つの流動床ガス生成機へのアプローチの試みがなされている。 ・ 空気ガス化による低発熱量ガスの生成 生成ガスが燃焼タービンで利用される場合、タービンの燃焼機で必要となる圧力まで圧縮されなければならない。一般的な値は10から30バールである。低発熱量ガス生成機からのガスを大量に圧縮するための電力が必要となり、そこで加圧機としての低発熱量ガス生成機の使用に関してインセンティブが生じる。そのため、2種類の空気ガス生成機が考えられる:大気圧のものと加圧されたものである。 低発熱量大気圧ガス生成機 大気圧ガス生成機は、大気圧またはそれに近い圧力のガスを生成する。ガスタービンで利用するためには圧縮されなければならない。ガス発熱量が低い場合は、ある熱量の供給のためには大量の生成ガスを圧縮しなければならず、燃料圧縮のためには大規模な補助電源が必要となる。典型的な低発熱量ガス生成機は6から8MJ/N?(LHV)の発熱量を持つガスを生成する。低発熱量大気圧ガス生成機で、現在開発中または運用中の例は、以下に挙げられるとおりである。 EPI Energy Products of Idahoでは、1985年にアメリカのオレゴン州North Powderに、25MWthの大気圧流動床ガス生成機を導入した。このガス生成機は含水率25%まで乾燥された木質廃棄物を利用している。木質はガス化され、その生成ガスの発熱量は約5.9MJ/N?(LHV)となっている。ガスはボイラーで直接燃焼され、6Mweのタービンを回すための蒸気を作り出している。 Foster Wheeler Foster Wheelerはパルプ・紙産業で利用するために、1980年代半ばに4基の大気圧循環流動床ガス生成機を導入した。その規模は17から35MWthである。これらは燃料として乾燥された廃材を利用し、生石灰を作る釜の燃料となる高温の生成ガスを供給している。4基は現在でも稼動している。ガスは燃焼のための燃料として使われるので、生成ガスに浄化の必要はない。 Foster WheelerはKymijarvi発電所において350MWthの石炭/ガス燃焼ボイラーに高温のガスを供給するため、50MWthの大気圧流動床ガス生成機を設置した。ここでは、フィンランドのLahtiという都市に電力と熱を供給している。この計画は1998年の1月に開始され、1998年6月までの地域暖房期間に運用された。Kymijarviのガス生成機とパルプ工場に以前にFoster Wheelerが設置したものの主な違いは、Kymijarviのガス生成機が湿った木材とリサイクル燃料(REF)を利用していることである。Kymijarviのガス生成機における燃料の約30%が、プラスチック、紙、ダンボール、そして木からなるREFである。燃料の平均含水率は30%であるが、最大で55%である可能性もある。この設計では、重量比で60%の含水率の燃料まで扱えるようになっている。 バイオマスとREFは分類と破砕の後に混合される。燃料は耐熱加工された鉄製の容器に入れられる。ガスは約850度で生成される。50%の水分を含む燃料を利用した場合、ガスの発熱量は約2.2MJ/kg(LHV)となる。 ガスの特徴の詳細は不明だが、木質燃料中には硫黄分が含まれていないため、トータルのSOx排出が20mg/MJ削減された。NOx排出は10mg/MJ削減されたが、これはおそらく石炭に比較して窒素が木質中に少ないことと、バイオマスガス燃焼における温度がそれほど高くないことによるだろう。バイオマスバーナーの直上に位置する、炉の中で石炭バーナーのある区域において、酸素含有量が減少した。炎の温度が低下し、酸素含有量が減少すればサーマルNOxの生成量(空気中の酸素と窒素を熱化合させる)も減少する。塩化水素含有量は10mg/?の増加を示したが、これはおそらくREF中に塩素が含有されているためである。ガス生成機を使用したときの一酸化炭素排出量は、使用していないときと変化なく、10から20mg/MJである。 Lurgi Lurgiバイオマスガス生成機は、大気圧の、通風循環流動床ガス生成機である。この設計は現在イタリアのピサの近郊にあるThermie Energy Farmに計画されている。このプロジェクトはイタリアの法改正により遅らされているが、土工は1998年後半に始まる予定である。このプロジェクトではNuovo Pignoneから供給された10.9MWeのガスタービンと、5MWeの蒸気タービンも利用される。プラントの総出力は12.1Mweとなると見込まれており、低発熱量(LHV)に基づいた熱効率は31.7%である。 このプロジェクトにおける燃料供給は、林業と農業からの廃棄物だけでなく、短伐期林業も想定されている。農業廃棄物はオリーブの種とブドウの種の粉末を含み、林業樹種はポプラ、ロビニア、柳、栗を含む。 バイオマス燃料はチップにされた後にガスタービンの排気を利用した乾燥機で乾燥され、その後、排熱回収ボイラーで冷却される。乾燥された燃料は大気圧ガス生成機にかけられ、以下の特徴をもつガスに変換される。 水素 16%v ガスは熱交換器で冷却され、それによりガス化空気は予熱され、冷却器の中に蒸気が生成される。冷却されたガスは、圧縮されガスタービンへと運ばれる前に、ガス洗浄機(スクラバー)で浄化される。 Termiska Processer AB Termiska Processer AB、TPSはもともとStudsvik ABの一部分であった。TPSガス生成機の設計は、通風、大気圧による流動床ガス生成機になっており、発熱量が4から7MJ/N?の低エネルギーガスを生成するものである。この技術を利用しているところが1つあり、それはイタリアのフローレンスにあるGreve-in-Chanti廃棄物ガス化プラントである。 Greve-in-Chantiは、一日200トンを処理するプラントで、小球状にされたゴミ固形燃料(RDF)を利用する15MWthのガス生成機が2基ある。生成されたガスはボイラーで利用され、セメント窯の燃料として使われるので、ガス浄化はそれほど必要ない。ガス生成機を出た後の生成ガスには、固形分分離の段階が2つある。ボイラーからの蒸気は6.7MWeの復水蒸気タービンを動かす。 Greve-in-Chantiプラントからの生成ガスは、操業データによれば以下のような性質を示す。データは乾燥ベースである。ガスの含水率は9.5%である。 水素 7.79%v TPS技術は、イングランド北ヨークシャーのEggboroughにおいて現在建設中の8MWeのARBREプラントにも使用されていて、国連地球環境ファシリティーの補助を受けた30MWe規模のブラジルBIG-CCプラントで使用されることが計画されている。TPSガス生成機は30MWe のNoord-Holland計画でも検討されているが、現時点ではどうなるかは分からない。TPSはまた、2MWthのパイロット・プラントを持っており、プロセス開発と、計画中のプロジェクトにおける特定の燃料のための試験を行っている。 ARBREの設備は、燃料として短伐期林業を利用する予定である。開始は1999年と予定されている。 用意された燃料は、排熱回収ボイラーの排気を利用して乾燥され、流動床ガス生成機に入れられる。生成機からのガスは、すぐにタール・クラッカーに通され、ドロマイト(苦灰岩)を利用してガス中のタール分は65mg/N?未満まで落とされる。そしてガスは冷却され、フィルターを通り、浄化され、圧縮された後に4.75MWeのガスタービンのための燃焼室に送られる。ガスタービンの排気は排熱回収ボイラーに送られ、5.25MWeの蒸気タービンを回すための蒸気を生成する。この発電所の総出力は8MWeと予定され、作業効率は30%(LHV)である。 予想される排出は以下の通りである: 一酸化炭素 10-20ppm 低発熱量加圧ガス生成機 低発熱量加圧ガス生成機の例として、以下のようなものがある。 Carbona Carbona CorporationはRENEWGASガス化技術についてシカゴ・ガス技術協会(IGT)からライセンスを受けている。Carbonaは、かつてEnviropowerと呼ばれていた、フィンランドの大手ボイラー製造業者で、Tampella Powerと、スウェーデンの大規模公益事業者のVattenfall ABによるジョイントベンチャーである。 CarbonaはフィンランドのTempereに15MWthのパイロット・プラントを持っている。パイロット・プラントで発生した熱はTempereの地域暖房システムで使われるか、炎に回されることも可能である。このパイロット・プラントは、Carbonaのガス生成機にどのような燃料が適当かをテストするために利用されている。操業は30バールの条件下で行われ、高熱ガスの浄化機能も完備している。1993年以来、このプラントでは4000トンを超えるバイオマスのガス化が試験されてきている。その中には木材チップ、森林残材、麦わら、製紙工場廃棄物、そしてアルファルファなどが含まれる。シカゴのIllinoisでは、IGT RENEWGAS技術に基づいた2MWthのパイロット・プラントがある。 IGT(Carbona)の技術を利用した20MWthの実証プロジェクトが、ハワイで行われており、バガスまたは木材チップが燃料に用いられている。ガス生成機は空気通風または酸素通風のどちらでも動作し、圧力は最大20.4バールまでである。ガス化温度は通常850から950度の範囲内である。スリップストリーム高温ガス浄化システムが導入され、テストされている。 Carbonaには75MWeのアルファルファの茎を燃料とする発電所を計画していて、アメリカのミネソタ州に建設される予定である。このプロジェクトは、ミネソタAgri-Powerプロジェクト(MAP)と呼ばれている。ミネソタ渓谷アルファルファ生産者共同体(MnVAP)が年間640000トンのアルファルファを生産し、半分が家畜の飼料に、半分が発電所の燃料用に乾燥されペレットにされる予定である。 約1000トン/日のペレット状にされたアルファルファの茎が発電所にあるサイロに運ばれてくることになる。燃料は重さを量られた後に3つのロックホッパーを経てガス生成機に供給される。ガス生成機は20バール、700度で動作する。灰の焼結温度が低いため、ガス化温度を750度未満に保つことが重要である。 パイロット・プラントの研究から、生成ガスの発熱量は5から6MJ/N?(LHV)と予想される。生成ガスは冷却され、セラミックフィルターで浄化され、50.9MWeガスタービンを回すための燃焼室に供給される。ガスタービン圧縮機の流量の一部はブースター圧縮機に送られ、ガス化のための空気を供給する。 ガスタービンからの排気ガスは排熱回収ボイラーに入る。蒸気は28.3MWeの蒸気タービンを回すために生成され、また、ガス化に必要な蒸気もここで供給される。発電の供給要件は4.3MWeで、総出力は74.9MWeとなる。予想される効率は40.2%(LHV)である。 Foster Wheeler Foster Wheeler Energy InternationalとSydkraft ABは統合ガス化/複合サイクル(IGCC)発電所をスウェーデンのVarnamoに、バイオマスのみが燃料の最初の発電所として建設した。この技術はBioflow Energy Systemとも呼ばれる。これはFoster Wheeler Energy Internationalに買収されたAhlstrom Corp.によって開発された。 Varnamo発電所の試運転は1992年終わりに始まり、最初の木材チップのガス化は1993年6月だった。操業開始フェーズは1996年春に完了した。1997年3月現在、完全統合発電所としての操業時間は950時間である。 バイオマス燃料は乾燥機で、含水率約50%から10から20%程度まで乾燥させられる。乾燥機は排熱回収ボイラーからの排気ガスから、または蒸気システムからの低圧蒸気からの熱を利用できる。また、木質は外部の乾燥施設で乾燥することも可能である。乾燥・破砕された木質は、ロックホッパーを通じてガス生成機に送られる。 ガス生成機は20バール、950から1000度の間で動作する。ベッドの流動媒体は珪砂、ドロマイトや石灰岩からなる。木質はガス化され、生成ガスは流動媒体と一緒にガス生成機から出て、分離機にかけられる。流動媒体は分離機で除去されて、ガス生成機に戻される。ガスは冷却の後、高温ガス浄化システムに入れられる。浄化されたガスは4MWeのガスタービンの燃焼炉に入れられる。ガスタービン圧縮機流量の約10%がブースター圧縮機に振り分けられ、ガス化空気に利用される。 ガスタービンからの排気は排熱回収ボイラーに通され、蒸気タービンのための蒸気が生成される。蒸気タービンからの排出蒸気は、Varnamoの村で利用される9MWthの地域暖房エネルギーとなる。 生成ガスの一般的な特徴は以下の通りである: 水素 9.5-12.0%v 図6-14はVarnamoバイオマスガス化発電所の略式図である。 図6-14 Varnamo発電所の略式図 中程度発熱量ガス生成機 中程度発熱量ガス生成機の例を以下に挙げる。 Battelle/Ferco Indirectly Heated Gasification Battelle/Ferco間接加熱ガス生成機では、生成ガスが窒素に薄められる問題を解決する嫌気性のガス化により、中程度発熱量の生成ガスを得ることができる。この技術は、オハイオ州コロンバスのBattelle Memorial Laboratoryで開発された。Future Energy Resources Corporation(FERCO)が北アメリカにおけるこの技術の権利を買収した。ガス化は、別の容器で加熱された高温の砂を利用して起こり、そのためガス化を嫌気的に行うことができる。 図6-15のプロセスの略図が、Battelle/Fercoのプロセスを示している。2つの物理的に離された反応炉、つまりガス生成機と燃焼機が利用される。ガス生成機ではバイオマスは中程度発熱量のガスと残留炭化物に変換される。燃焼機では、残留炭化物は流動媒体を加熱するための熱源として燃焼される。流動媒体が燃焼機からガス生成機へ熱を運ぶ。 図6-15 Battelleガス生成機の略図 乾燥バイオマスはロックホッパーの系を通じてガス生成機に入る。ガス生成機は約1.36バールで動作する。980度に熱せられた砂はガス生成機に入れられ、バイオマスの70%を揮発させる。蒸気は、主に高圧ガスとして、ガス生成機に加えられる。砂、生成ガスと炭化物の混合物はガス生成機を出て第1サイクロンに入る。サイクロンは生成ガスを分離し、そして冷却されてからガス洗浄機にかけられる。炭化物と砂は分離され、燃焼機へと流される。炭化物は空気を加えて燃焼機で燃やされ、再加熱された砂はガス生成機に戻される。 2MWthのパイロット・プラントはこの技術を用いて、オハイオ州コロンバスで約15年間操業している。プロセスの開発も行われ、また様々な燃料も試験がなされた。現在までの操業時間は10000時間を超える。追加された200kWeのガスタービンも順調に作動している。 Battelle/Fercoのプロセスを利用した40MWthの設備がアメリカ、ヴァーモント州Burlingtonで建設され、現在操業開始フェーズにある。最初は、このガス生成機は既存の50MWe木質火力発電所に生成ガスを供給している。しかし試験が終われば、ガスタービンを追加して統合システムとして操業する予定となっている。操業開始フェーズでの生成ガスの供給は順調だが、まだ長期間成功を収めたわけではない。 流動床ガス化技術のまとめは表6-6に示されている。 表6-6 ガス化技術の要約 6.1.7 既存のボイラーでのバイオマス同時燃焼 同時燃焼とは、1つの工程で2つ以上の燃料を同時に燃焼させることである。世界中にある既存の化石燃料発電所のボイラーでバイオマスを同時燃焼させることには、大きな潜在可能性がある。バイオマスは石炭、天然ガス、石油、またはその3者の組み合わせとの同時燃焼で成功を収めてきている。ガスまたは石油用に設計された燃焼炉でバイオマスを直接燃焼することは、ファウリングまたは灰の除去の深刻な問題につながることがあり、それぞれの適用は評価の必要がある。バイオマスの同時燃焼は、石炭に関して成功しているのが、粉炭ボイラー、サイクロンボイラー、火格子燃焼ボイラー、気泡流動床ボイラーそして循環流動床ボイラーである。 同時燃焼によって、既存のエネルギー源に追加がなされるのではなく、既存のエネルギー源の代替となることに注意すべきである。バイオマス同時燃焼を石炭火力ボイラーで行えば、バイオマスは単に同じボイラーで燃やされる石炭に取って代わるのである。 バイオマスは、既存のボイラーにおいて様々な方法で同時燃焼することができる。 石炭火力ボイラー 粉炭発電所では、破砕場に入れる前に直接バイオマスを石炭に混合することができる。最適な結果が得られるのは、木質の含水率が25%未満で、木質エネルギーが全体の入力の5%未満であるときである。高い含水率の場合や、木質エネルギーの入力を上げる場合は、火格子上で燃焼させるか、サイクロンバーナーを用いることで可能となる。粉炭バーナーでは、バイオマス粒子のサイズを6mm未満にし、異なるバーナーで燃焼させれば、熱入力率が10から15%でも問題ない。 バイオマスのエネルギー構成において硫黄が存在しないため、二酸化硫黄の排出は小さくなる。大部分の場合、燃料中の窒素割合が下がることからNOxの排出も減少し、また木質に多く含まれる水分により、炎の温度も低くなる。炎の温度が下がるとサーマルNOx(高い温度における空気中の窒素の酸化反応から発生)の排出が減少する。燃焼炉の構造にもよるが、再燃焼効果で減少するNOxも考えられる。 既存のボイラーで石炭とバイオマスを同時燃焼する場合の長所について ・ 石炭火力ボイラーにバイオマス同時燃焼のための改修をすることは、通常新しくバイオマス用の設備を建設することよりも遥かに安価である。 バイオマスと石炭の同時燃焼には、潜在的短所もある。 ・ 高い灰の融点を持つ石炭のために設計された燃焼炉において高いアルカリ性を示す農業廃棄物を同時燃焼させる場合、炉のファウリングが問題になり得る。一般的には、石炭の灰の融点はほとんどのバイオマス燃料よりもはっきりと低いので、問題にはならない。
バイオマスボイラー バイオマスボイラーではバイオマスと同時に代替燃料を燃焼させることもある。既存の火格子ボイラーは、化石燃料バーナーを追加することで天然ガスと/または石油をバイオマスと同時に燃料できるようにしている。あるボイラーにおいて、石油が最も効率がよく、僅かに劣るのが天然ガス、最も効率の劣るのが木質である。 バイオマスボイラーで代替燃料を利用できるかどうかは設計次第である。空冷式の移動火格子ボイラーは、火格子の冷却に燃焼空気を必要とし、また輻射熱から火格子を保護するために、灰の層を必要とする。化石燃料バーナーが火格子に近い場合は、火格子冷却のために燃焼空気を強くする必要があるだろう。 ガス化 バイオマスは、ガス化して既存のボイラーで同時燃焼させることができる。低または中程度のエネルギーのガスは化石燃料火力ボイラーの燃焼炉で直接燃焼させることができる。フィンランド、LahtiのKymijarvi発電所は最近50MWthのガス生成機を導入し、バイオマスとREFを燃料に用いて、350MWthの石炭火力ボイラーでの同時燃焼に利用している。このような同時燃焼の方式では、同時燃焼の燃料がガスになるため、バイオマスからの熱入力の割合を大きく高めることができる。バイオマスからの熱入力は、基本的に代替燃料のターンダウン能力にのみ制限される。また、ガス化によってアルカリ分を多く含むバイオマスを、燃焼炉におけるファウリングのリスクなしに利用できる。 熱分解 バイオマスは熱分解により液体燃料にすることが可能で、既存のボイラーの化石燃料バーナーで使用することができる。熱分解には、バイオマスをオイルの形にすることでエネルギーの保存や輸送を簡単にできるという長所がある。熱分解オイルは、最小限の改修で既存の石油、ガスまたは石炭火力ボイラーで燃焼させることができる。熱分解オイルには貯蔵の制限がある場合があり、特殊な設計を考慮するか、在庫管理を行う必要がある。液体燃料バーナーにかけるための適切な粘性を得るために、オイルを加熱しなければならない場合もある。 熱分解後に残る、炭化物と灰から成る固形残留物は、固形燃料として利用するかまたは廃棄物にできる。熱分解プラントが石炭火力発電所と関連がある場合は、熱分解残留物は石炭と同時燃焼することができる。 6.1.8 化学回収ボイラー 厳密にいえば木質バイオマス燃料を利用した発電技術ではないが、パルプ・紙産業において化学回収ボイラーは合計で最大の量となる森林バイオマスを世界中でエネルギーに転換している。カナダ1国でも、化学回収ボイラーによって年間2億GJ以上ものエネルギーが供給されている。バイオマス燃料の直接燃焼で得られるエネルギーは年間約4000万GJである。 回収ボイラーの主な目的はパルプ化の工程から化学物質を回収し、化学物質の要件を満たして損失を減らすことである。付随する利点として、パルプ・紙産業で必要とされるエネルギーのうち約1/3であり、個々のパルプ工場で必要なエネルギーでは60%にもなるエネルギーの供給が上げられる。今日作動している化学回収ボイラーの大半は"Kraft"パルプ化工程に関係している。回収ボイラーは"Sulphite"パルプ化工程でも利用されているが、多くはない。下の図6-16は、Kraft回収プロセスの単純化された工程図である。 図6-16 Kraft回収プロセスの図 パルプ化工程において、木質が蒸解窯で処理されたあとで、木質中のリグニンが使用済みの蒸解液中に残る。リグニンには、無水ベースでの木質エネルギーのほぼ半分が含まれている。蒸解液は通常20%未満の固形分しか含まない。蒸解液から水分を蒸発させた後の黒い液体が回収ボイラーで燃焼される。Na?CO?とNa?Sが燃焼炉の底部の精錬ベッドに蓄積される。これらの化学物質は"緑液"として回収ボイラーから再びパルプ化工程に戻される。 下の図6-17は、近代的なBabcock and Wilcoxの回収ボイラーである。 図6-17 Babcock and WilcoxのKraft回収ボイラー この回収ボイラーの導入は当初パルプ・製紙工場の存在のためと、補充化学物質に関する操業コストを削減する要望から進められた。回収ボイラーの効率を上げることは、バイオマス資源のよりよい利用を可能とする。典型的な回収ボイラーは、黒液を70%の固体濃縮したとき、HHVベースで70%の効率で運用される。これはLHVベースでは83%の効率となる。 化学回収ガス生成機は比較的新しく、このコンセプトが信頼に足り、実行可能かどうかを決定するために充分な運用データがない。ほとんどのパルプ工場ですでに回収ボイラーが運用されていることから、この技術がバイオマス利用を進める重大な手段であると思われるわけではない。 6.2 技術の選択 6.2.1 はじめに 林業と木材産業の副産物は、現行のランキンサイクルの発電所で直接燃焼し、蒸気を発生し蒸気タービンを回すことができる。これら副産物から低または中程度の発熱量燃料ガスを作り出すガス化を含めた、新しい技術も開発されてきている。浄化された生成ガスは、高効率のガスタービン複合サイクル発電所、ピストンエンジン、またはボイラープラントでの直接燃焼などに利用することができる。これら技術は充分に発展し証明されれば、現在好ましいとされているランキンサイクル発電所よりも競争力を持ち、魅力的とされることもありうる。 いくつかの場合では、化石燃料を使用する発電所と同じ場所に林業、木材産業副産物を利用するボイラーまたはガス生成機を設置することが有利になる。バイオマス発電所では蒸気か燃料をそれぞれ化石燃料発電所に供給するからである。この"平行供給"アプローチによって以下ことが可能となる: ・ 蒸気タービンと付属物における規模の経済 他のアプローチとしては、副産物バイオマスを化石燃料と同じボイラーまたはガス生成機に供給することがある。これにより大きく規模の経済が働き、副産物の量と質の可変性を除くことができる。しかし、このような発電所はバイオマスにとっても化石燃料にとっても最適ではないかもしれない。 開発されたものも開発中のものも含めて、様々な技術の比較優劣を評価するために、本研究では以下の枠組みに沿って、大規模発電のコストと能力の評価を行った: ・ 林業および木材産業副産物を利用する、スタンドアロンのボイラー 平行供給には以下のオプションがある。 − 粉炭ボイラーは高圧高温の蒸気を生み、林業および木材産業副産物を利用する平行ボイラーは同じ蒸気サイクルで利用されるやや低質な蒸気を生成する。 ・ 上の枠組みの1つで、現行の燃焼の代わりに副産物のガス化を利用する。 加えて、6番目の枠組みを比較のための対照として含む。それは: ・ 現行の、蒸気タービンを使用する粉炭燃焼ランキンサイクルボイラー 本節では、以降の分析のために上記の枠組みのコンフィギュレーションと容量の選択について検討する。そしてこれら選択を行うときの原理を明らかにする。 6.2.2 スタンドアロンボイラーシステム 6.1節の技術レビューにおいて、必要とされる微細な粒子サイズの燃料を準備するために前処理に手がかかることから、本研究では、浮遊燃焼は取り扱わないと言及されている。残る固定床と流動床の技術のうち、固定床すなわち火格子システムはよく開発され、よく見られる。流動床技術は、まだ火格子システムほどは完成されていないが、いくつかの国において好ましい技術として取り上げられつつある。 スタンドアロンボイラーの技術は、2つが以下の分析に用いられた。 現行火格子ボイラー技術 火格子ボイラーとして、現行の総出力30MWeのものを仮定した。この技術が選択されたのは、50年以上にわたりバイオマス燃料を燃焼させるのに用いられてきたこと、そして現在でも特にアメリカにおいて広く用いられている技術だからである。 設計は、単圧、過熱式、再加熱なしのランキンサイクルで、ボイラーの最終蒸気の状態は87バール(8720kPa)、510度である。主にこの規模では、再加熱できる蒸気タービンが高くつくことから、30MWeバイオマス発電所での再加熱能力はまれとされた。わずかにサイクルの効率を上げるために、一般的でない蒸気タービンに資本コストをかけることは通常、商業的には正しいとされない。 この場合の資本コストの概算には以下が含まれる。 ・ 移動火格子、水冷振動火格子、または静止火格子ボイラーのいずれかを用いる; 流動床ボイラー技術 流動床ボイラー技術は、総出力30MWeの気泡流動床発電所を基準とした。この技術が選択されたのは、たくさんの成功事例があり、実行可能なバイオマス燃料の利用を代表するものだからである。 設計は、単圧、過熱式、再加熱なしのランキンサイクルで、ボイラーの最終蒸気の状態は公称で87バール(8720kPa)、510度である。 この場合の資本コストの概算には以下が含まれる。 ・ 気泡または循環流動層ボイラーを利用する; 6.2.3 ガス化技術 ガス化に関しては、バイオマス統合ガス化複合サイクル(BIGCC)を利用することが考えられている。ここでは原則的に、林業および木材産業副産物を、近代的で効率の高いガスタービン複合サイクル発電所で燃焼させることができる。それにより最大のエネルギー変換効率が得られる。 そのためここでは、ガスタービンと30MWeの複合サイクル発電所とともに、最新のバイオマスガス生成機を考える。これは直接加熱式大気圧ガス生成機、直接加熱式加圧ガス生成機、または間接加熱ガス生成機から構成される。 この技術は現在開発中で、現時点で商業的に操業しているこのタイプの発電所はない。結果、様々なガス化技術の資本コストや信頼性を測定することは非常に難しい。おそらく大気圧ガス生成機は加圧式に比べ建設コストは小さく済むが、運用コストは高くなる。最近のUS National Renewable Energy Laboratory(アメリカ国立再生可能エネルギー研究所)による研究では、間接加熱ガス生成機と高度都市ガスタービンの組み合わせが、加圧ガス生成機と航空転用ガスタービン、また加圧ガス生成機と高度都市ガスタービン、または大気圧ガス生成機と比べて導入費用が低いことが明らかにされた。本研究におけるコスト概算は、これら技術のいずれをも考慮している。 本研究におけるガス化技術の性能の想定は同様に慎重である。議論される現在の全てのガス化技術では、全体的に見て想定される性能以上を示すだろう。 この場合の資本コストの概算には以下が含まれる。 ・ 燃料の取り扱い及び貯蔵; 6.2.4 同時燃焼技術 バイオマスの同時燃焼の導入にあたって、バイオマスは既存の粉炭ボイラーの燃焼炉で直接燃焼される。現在までの運用の例から、全熱入力のうち5から15%をバイオマスが占める場合にうまくいくということが分かっている。 現在のバイオマス同時燃焼の導入は、基本的に3通りのアプローチによる: ・ バイオマス燃料は25mm未満の粒子サイズにされる。バイオマスは石炭と一緒にされて直接現行の石炭破砕機に入れられる。そのため破砕機は2つの燃料の混合物を受け、破砕機の後に分離をすることもないので、粉末状にされた燃料の混合物がそのまま現行のバーナーに供給される。この場合一般的に低品質の樹皮(小片のサイズが大きく、土や石が多く含まれ、含水率が高いことがある)は除外され、バイオマスからの熱入力の割合は10%未満に制限される。この制限は、現行の粉炭発電所が、砕けにくく、強い物質を扱う能力を反映している。 本研究では、同時燃焼の場合は300MWeの粉炭火力ボイラーで林業および木材産業副産物が同時燃焼されることを想定する。10%がバイオマスによって占められると考えると、30MWeの石炭火力が30MWeのバイオマス火力に置き換えられる。設計は、過熱式、1度再加熱ありのランキンサイクルで、ボイラーの最終蒸気の状態は165バール、540度である。 この場合、副産物を同時燃焼する石炭火力発電所で、荷降ろし、貯蔵、選別、処理の施設は別個にする必要がある。 資本コストの概算は、控えめに、最も高くつく微粉砕を行った場合を考える。以下のものもコスト概算には考慮されている: ・ バイオマスの荷降ろし、貯蔵、選別、処理のための別個な施設の導入 6.2.5 平行供給 平行供給は、2つの別個に独立した源からの蒸気で回る蒸気タービンで構成される。1次蒸気源は通常現行の化石燃料ボイラーだが、複合サイクル発電所の排熱回収ボイラー(HRSG)である場合もある。2次蒸気源は通常ガスタービンのHRSGだが、本研究においては林業および木材産業副産物ボイラーであることも考えられる。平行供給は、つまり共通の蒸気タービンを通じて、2次蒸気源と現行の蒸気サイクルをリンクさせるのである。運転上の困難を避けるために、特に再加熱サイクルがある場合は、2次蒸気源の蒸気タービンへ送られる蒸気の状態は、1次蒸気源のものと同じくするように設計されるべきである。 本研究に関し、平行供給の長所は以下のようになった: ・ 設計の万能性。両方を蒸気発生システムにする設計は燃料特異的であり、1つのボイラーでの2重燃料燃焼能力のために設計に必要な妥協を避けることができる; 本研究に関し、平行供給の短所は以下のようになった: ・ 燃料の受領、取り扱い、貯蔵と処理のためのプラントが2つの完全に別個なものなので、それぞれ蒸気発生システムについて点検する必要がある; 新しいプラントを利用する平行供給に加えて、本研究では既存のプラントを利用する平行再供給についても考察している。 平行再供給は平行供給の1つの形態で、既存の蒸気生成システムから既存の蒸気タービンへの供給蒸気を補完するために、新たな蒸気源を用いる。既存の蒸気生成システムは普通、現行の石炭火力ボイラーだが、複合サイクル発電所の排熱回収ボイラー(HRSG)のこともある。新たな蒸気源は通常ガスタービンのHRSGだが、本研究においては林業および木材産業副産物ボイラーであることも考えられる。平行再供給は、つまり共通の蒸気タービンを通じて、新しい蒸気源と現行の蒸気サイクルをリンクさせるのである。既存ボイラーまたはHRSGは継続して使用されるが、改修され、火力が落とされることもあるだろう。 平行再供給においては、林業および木材産業副産物燃料のための、荷降ろし、取り扱い、貯蔵、処理を行うための施設と新たなボイラーのためのスペースが必要となる。平行再供給の魅力が特にあるのは、1次燃料のコストが林業および木材産業副産物よりも大きく高く、既存の蒸気タービンが追加の蒸気に対して受け入れる容量を持っている場合である。後者は珍しいことではない;ニュージーランドのHuntly発電所の250MWユニットは、継続的に275MWの過負荷であった。このような場合でなくとも、既存の蒸気生成システムは割り引かれた熱負荷で運用されているはずである。平行供給に関しては、平行再供給における2次蒸気源は、特に再加熱サイクルがある場合、蒸気タービンへ送られる蒸気の状態が1次蒸気源のものと同じくなるように設計されなければならない。 本研究に関する平行再供給の長所は以下の通りである: ・ 燃料の万能性。天然ガスまたは石炭、と林業および木材産業副産物の両方を同じ場所で燃焼できる; 本研究に関し、平行再供給の短所は以下のようになった: ・ 新たに林業および木材産業副産物のためのボイラーを利用する場合、燃料の受領、取り扱い、貯蔵と処理のためのプラントが、新たに完全に別個なものとして必要になる; 平行再供給は一般に実用的であるが、同時燃焼と同様に、場所に特異な選択肢でもある。このようなオプションについて総称的でない評価をするためには、国別で、それぞれの発電所の内的原因分析を行う必要がある。既存の発電所の残り寿命、状態そして資本価値という問題もある。 そこで本研究では平行供給と再供給の両方に関して、性能、コスト、電力価格と排出の予測に関して検討を行った。しかし、平行再燃焼だけが以下の統合分析まで対象となり、他の発電所規模(10と60MW)で評価されている。 平行供給 以下の分析は2つの平行供給についてである。 バイオマス火格子ボイラーと石炭火力ボイラーの平行供給 名目総出力が150MWeで、2ボイラーと単一蒸気タービンの発電所を想定した。IEA GHGの評価における通常の発電所規模は500MWであるが、500MWの発電所にたった30MWの平行供給を加えることの影響は取るに足らないと考えられる。そこで150MWの発電所が選択され、うち120MWeの電力が石炭火力ボイラーにより、残りの30MWeが林業および木材産業副産物ボイラーによる。このサイズの林業および木材産業副産物ボイラーは、スタンドアロンのオプションと一致している。 どちらのボイラーも同圧同温の蒸気を供給する。それは公称87バールで540度である。再加熱なしのサイクルである。ボイラーは脱気器と給水ポンプを共有する。 資本コストの概算には以下の要因が含まれる: ・ 荷揚げ、貯蔵、選別、処理のための施設を石炭とバイオマスについて別個に導入 バイオマス火格子ボイラーと複合サイクル発電所の平行供給 これは標準的なGE106FAガスタービン複合サイクル(公称110MWe)に基づく場合である。林業および木材産業副産物の平行ボイラーが蒸気タービンから30MWeの追加出力を行い、総能力を140MWeに上昇させる。この規模の林業および木材産業副産物ボイラーは、スタンドアロンのオプションと一致している。 ボイラーの蒸気状態はスタンドアロンの現行火格子または流動床の場合に比べて低く、20バール、495度である。これはこの発電所が、ボイラーの蒸気をHRSGからの高温の再加熱蒸気と併せて蒸気タービンのIPシリンダーの吸気口に送るように構成されているからである。バイオマスボイラーについて再加熱を行わないコンフィギュレーションは、スタンドアロンの場合と一致しており、また、このボイラーサイズにおける一般に工業界の実際とも一致する。再加熱を行わないボイラーの場合、2次蒸気はIPシリンダーの状態に制限される。ガスタービンHRSGとボイラーは、脱気器と給水ポンプを共有する。 資本コストの概算には以下の要因が含まれる: ・ バイオマスの荷揚げ、貯蔵、選別、処理のための施設を導入 平行再供給 2つの平行再供給に関するオプションが以下で分析された。 バイオマス火格子ボイラーと既存石炭火力ボイラーの平行再供給 想定された既存の石炭火力ボイラーは、臨界未満の蒸気状態にある粉炭(PC)火力ボイラーである。これは、対象である5カ国において、かつて、そして現在も最も一般的な技術である。ユニットの規模に関していえば、ここ10年の間にPCボイラーは50から1300MWeの出力の蒸気タービンに釣り合うように建設されてきているが、そのほとんどは300から700MWeの規模である。本研究では、平行再供給は小さく、またおそらくは古い、50から300MWeの範囲にあるユニットに魅力があると考察された。そのため本研究では、相当する平行供給のオプションと一致する、150MWe規模を想定した。 既存の150MWe臨界未満PCボイラーの蒸気状態は、125バール510度と仮定され、ボイラーは1度の再加熱を行うと考えられた。 成功する平行再供給において、調和の取れた蒸気状態の要件は下に示される2つの方法のどちらかで達成できる: ・ 比較的小規模(30MWe)のバイオマスが1度の再加熱をされると仮定する。これは再加熱を行わないサイクルのためのスタンドアロンのオプション仮定から離れることになる; 本研究における両ボイラーの最終状態は125バール、510度で、再加熱は510度までである。バイオマスボイラーは従って再加熱を行う。30MWeのバイオマスユニットに再加熱サイクルがあることはまれ(6.2.2参照)であるが、既存のタービン発電を利用した平行再供給では、再加熱は唯一の実行可能性ではないものの、非常に妥当である。既存のボイラーの受熱面に対する改変は概算コストには含まれていない。 バイオマスボイラーの再供給を加えた後では、既存石炭火力ボイラーへの熱入力は減少され、総出力のうち120MWeが石油由来となる。バイオマスボイラーは30MWeを供給する。両ボイラーは、給水加熱器、給水ポンプ、コンデンサ、そして既存の再加熱蒸気タービンを共有する。 この場合の資本コストの概算には以下が含まれる。 ・ 既存の石炭を取り扱う施設と独立した、別個のバイオマスの荷揚げ、貯蔵、選別、そして処理のための設備の導入; 通信、土地、制御室、オフィス設備、または整備工場などの支援施設についてのコストは計上されていない。これはすでに既存のものがあると考えられるからである。 バイオマス火格子ボイラーと既存複合サイクル発電所の平行再供給 このオプションでは、既存の複合サイクルガスタービン(CCGT)発電所にバイオマス燃焼ボイラーを平行して加える改修を行い、既存の廃熱回収ボイラーからの蒸気を増大させる。 CCGT発電所は、通常きっちりとバランスの取られたシステムである。燃料はガスタービンで燃やされ、発電機が回される。ガスタービンからの排出ガスは廃熱回収ボイラー(HRSG)に直接送られ、蒸気タービン発電機のための蒸気が生成される。このオプションは、HRSGからの蒸気に置き換わるバイオマス火力ボイラーを追加することからなる。 バイオマスボイラーに関しては、スタンドアロンのオプションや他の平行供給、平行再供給のオプションと一致するように、30MWeのものを想定する。 CCGT発電所に関しては、標準的なGE106FA GTCC発電所(公称110MW)に基づいた、相当する平行供給オプションと一致させるのは現実的ではない。通常のCCGTにおける蒸気タービンの能力は発電所総出力の約1/3であり、ガスタービンが残りの2/3を供給する。HRSG蒸気出力の減少は、ガスタービンからの熱を削減しなければ達成できず、それはガスタービンからの発電の削減を意味する。 ガスタービンの効率は低負荷時には減少することから、定格負荷時よりも、MW当たりでより多くの熱が排出される。そのため、バイオマスMWeあたりの相当するガスタービンの減少は大きく、この場合の発電所からのエネルギーのガス火力成分の効率は妥協される。平行再供給はそのため、新しいプラントのバイオマス容量を受け入れるために既存のプラントの負荷を削減することを要求する。 110MWe CCGTのガスタービン出力の減少とそれに従う効率の低下において、バイオマスボイラーを受け入れることは行き過ぎだとみなされる。規模の大きいガスタービン複合サイクルホストは、そのために30MWeのバイオマスボイラーと平行再供給を行うことが示唆される。300から500MWeの範囲で有力候補が探され、公称出力376MWe(正味、ISO条件下)のGEモデルS109FAガスタービン複合サイクルが選ばれた。標準的なGEコンフィギュレーションでは、再加熱ありで3圧式のHRSGが使用されるが、このプラントは2圧式(HPとLP)で、100バール、540度/540度(HP/再加熱) と、5.5バール/305度(LP)の蒸気状態の再加熱蒸気サイクルを持つ。この場合出力と効率は僅かに減少する。 石炭火力ボイラーの再供給オプションで述べられたとおり、平行再供給の成功のためには蒸気状態を同じくする必要があり、平行バイオマスボイラーの蒸気状態と再加熱コンフィギュレーションは、複合サイクルHRSGと等しく、100バール/540度/540度にされるべきである。しかし、再加熱ありの2圧式ボイラーは、30MWeバイオマスボイラーにおいて現実的ではないため、単圧ボイラーが想定された。 30MWeの林業および木材産業副産物のボイラーを既存の複合サイクルに加えることは、ガスタービンの出力を低下させ、同様にHRSGの出力もバイオマスボイラーからの追加の蒸気受領のために減少する。HRSG出力の減少は、HRSGにおける2次のLPプレッシャー回路からの寄与の減少による蒸気タービン出力の減少につながる。ガスタービンHRSGとボイラーは、脱気器と給水ポンプを共有する。 この場合の資本コストの概算には以下が含まれる。 ・ 既存の石炭を取り扱う施設と独立した、別個のバイオマスの荷揚げ、貯蔵、選別、そして処理のための設備の導入; 通信、土地、制御室、オフィス設備、または整備工場などの支援施設についてのコストは計上されていない。これはすでに既存のものがあると考えられるからである。 6.2.6 現行粉炭火力ボイラー バイオマス技術が臨界超過ボイラーで、240から250バールの圧力下で操業し、新造プラントの最大実効熱効率が45%であるのに対する基準、すなわち比較のベースのために用いられているのが現行粉炭火力ボイラー技術である。1つの500MWeまたは2つの250MWeユニットから構成される500MWeの規模の発電所が選択された。この技術とプラントの組み合わせは、過去のIEA GHG研究と一致している。 要約 以下の選択肢が性能、コストと排出の分析にかけられた。括弧の中の名称は、経済的分析のための短縮形である。 1. 蒸気タービンの現行火格子ボイラー("火格子ボイラー"); 6.3 性能 6.3.1 はじめに 発電技術の性能はたくさんの要因次第である。キーとなる要因は以下のようなものである: ・ 熱力学の変換サイクルの決定を左右する燃料のタイプ。高効率のガスタービン複合サイクル(すなわちBraytonとRankineサイクルの複合)ではクリーンな燃焼をするガスまたは液体燃料が必要である。固形燃料や、汚染されている液体またはガスは、ランキンサイクルの発電所では禁止されている; 最も高いエネルギー効率を確保するための試みがあるにも関わらず、関連コスト(資本と操業の両方)、技術的リスク(すなわち外来の原料を用いる時の)、そして追加で回収されるエネルギーの量の間には、トレードオフの関係がある。 本節では8種のバイオマス発電技術と基準とされる現行粉炭火力の場合の予想性能について説明される。 6.3.2現行火格子ボイラー技術 30MWe(正味)の現行火格子ボイラーのプラント効率は27.7%(LVH)と予測される。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率23%(HHV)に相当する。 感度分析では、正味10MWeの発電所は効率24.2%(LHV)で作動し、60MWe発電所は効率30.2%(LHV)で作動する。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。 6.3.3 流動床技術 30MWe(正味)の流動床ボイラーのプラント効率は28.9%(LVH)と予測される。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率24%(HHV)に相当する。 感度分析では、正味10MWeの発電所は効率25.4%(LHV)で作動し、60MWe発電所は効率31.4%(LHV)で作動する。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた妥当な数字である。 6.3.4 バイオマス統合ガス化技術 30MWe(正味)の統合ガス化のプラント効率は36.8%(LVH)と予測される。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率30.5%(HHV)に相当する。 感度分析では、正味10MWeの発電所は効率36.2%(LHV)で作動し、60MWe発電所は効率38%(LHV)で作動する。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。これは現在の段階ではまだ技術開発の過程にあり、この技術に関しては達成可能だと示されてはいない。 6.3.5 バイオマスと粉炭の同時燃焼 バイオマスを同時燃焼する粉炭発電所の正味効率は、対象の発電所タイプに負うところが非常に大きい。典型的な300MWe石炭火力発電所の効率は、約38%(LHV)である。 この特定の場合における実際の効率は重要ではない。木質を同時燃焼する粉炭設備を運用することは、バイオマス燃料からのボイラー効率が、石炭からのものと基本的に等しく、特に低位発熱量に関して等しいということを意味する。つまり、バイオマスエネルギーは$/GJベースで石炭を直接代替するものになるのである。これにより、バイオマスエネルギーと500MWeの石炭火力発電所を比較する分析が単純化される。 バイオマス同時燃焼に転換している粉炭発電所の数を定量化することは、それぞれの国で対象にしている発電所の数、またそれらの国への送電のアクセスを持つ発電所の数による。 6.3.6 バイオマス火格子ボイラーと石炭火力ボイラーの平行供給 新石炭火力ボイラー 現行バイオマス火格子ボイラーと現行粉炭火力ボイラーの平行供給による正味の発電所効率は、総出力150MWeの条件のもとで36.9%(LHV)と計算された。 28.6MWeのバイオマス火格子ボイラーが寄与する正味の発電所効率は、総出力28.6MWという条件下で31.0%(LHV)と計算された。ここでバイオマスボイラーの効率は88%(LHV)と仮定されている。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率25.7%(HHV)に相当する。121.5MWe現行粉炭火力ボイラーの寄与分の正味効率は、正味出力121.5MWに対して38.6%(LHV)と計算される。この場合は石炭ボイラーの効率は95%(LHV)と仮定されている。 バイオマス火格子ボイラーの寄与分の正味発電所効率は31%(LHV)であるが、これはスタンドアロンの現行火格子ボイラー技術(27.7%)、または流動床ボイラー技術(28.9%)よりも高くなっている。これは大きい蒸気タービンの効率が高いためである。これは、両ボイラーが同圧(88バール)同温(538度)で蒸気を供給し、共通の脱気器とボイラー給水ポンプを共有するが、バイオマスボイラーへの給水はポンプから直接122度で受けるという仮定にも関わらず、である。石炭火力ボイラーは2つのHP給水加熱段階を用いて設計されており、蒸気タービンからの抽気を利用し、給水を210度まで熱している。 効率に関して、規模の大小の影響についての感度分析は行われていない。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。現行の石炭火力発電所では、より高い利用率を達成することができる。 既存石炭火力ボイラー 既存バイオマス火格子ボイラーと既存粉炭火力ボイラーの平行供給による全体の発電所効率は33.5%(LHV)と計算される。 発電所の本来の出力は150MWeと仮定され、発電所の補助で必要なのは全負荷での稼動時に7%の石炭である。より小さいバイオマスボイラーの場合は、発電所の補助の必要は少し高くなって10%となる。発電所が最大出力で稼動している場合、平行再供給は正味出力を僅かに小さくし、もともとの石炭火力発電所が150MWe(正味)であったのが、148.4MWe(正味)となる。 27MWeのバイオマス火格子ボイラーが寄与する正味の発電所効率は、30.9%(LHV)と計算された。ここでバイオマスボイラーの効率は88%(LHV)と仮定されている。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率25.7%(HHV)に相当する。121.4MWe現行粉炭火力ボイラーの寄与分の正味効率は、34.1%(LHV)と計算される。これは実質的に改修前の石炭火力発電所の効率と等しい。この場合は石炭ボイラーの効率は95%(LHV)と仮定されている。 バイオマス火格子ボイラーの寄与分の正味発電所効率は30.9%(LHV)であるが、これはスタンドアロンの現行火格子ボイラー技術(27.7%)、または流動床ボイラー技術(28.9%)よりも高くなっている。これは大きい蒸気タービンの効率の高さと、再加熱の利用による。これは、両ボイラーが同圧(125バール)同温(510度)で蒸気を供給し、再加熱は510度で、共通の脱気器とボイラー給水ポンプを共有する。両ボイラーは蒸気タービンからの抽気を利用した給水加熱によっても利益を得る。バイオマス設備を運用と維持するため、追加の人員が必要となる。 効率に関して、規模の大小の影響についての感度分析は行われていない。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。現行の石炭火力発電所では、より高い利用率を達成することができる。 6.3.7 バイオマス火格子ボイラーと複合サイクル発電所の平行供給 新複合サイクル発電所 現行バイオマス火格子ボイラーと複合サイクル発電所の平行供給による全体の正味発電所効率は、総出力140MWeの条件のもとで43.3%(LHV)と計算される。 33.5MWeのバイオマス火格子ボイラーが寄与する正味の発電所効率は、総出力33.5MWという条件下で28.6%(LHV)と計算された。ここでバイオマスボイラーの効率は88%(LHV)と仮定されている。これは、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率23.7%(HHV)に相当する。106.5MWeガスタービン複合サイクル発電所の寄与分の正味効率は、正味出力106.5MWに対して51.7%(LHV)と計算される。 バイオマス火格子ボイラーの寄与分の正味発電所効率は28.6%(LHV)であるが、これはスタンドアロンの現行火格子ボイラー技術(27.8%)よりも高くなっている。これは大きい蒸気タービンの効率が高いためである。これは、低いボイラー内蒸気状態(20バール494度)という仮定にも関わらず、である。バイオマス火格子ボイラーの寄与分の効率は流動床ボイラー技術(29%)よりも低くなっている。これは低い蒸気状態が選択されているためである。 効率に関して、規模の大小の影響についての感度分析は行われていない。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。ガスタービン複合サイクル発電所では、より高い利用率を達成することができる。 既存複合サイクル 既存のGEモデルS109FAガス火力複合サイクル発電所は効率55%(LHV)で稼動し、372MWeの正味出力を持つとされる。30MWeの再加熱バイオマスボイラーを再供給のために加え、HRSGによる蒸気生成に取って代わる、または補強すると、全体の発電所効率は45%(LHV)と計算される。既存の蒸気タービンに受け入れ容量の制限があるため、バイオマスボイラーからの蒸気生成を優先するため、ガスタービンはHRSG蒸気生成を削減し部分負荷で稼動する。再供給のための改修後の正味発電所出力は278MWeと計算される。これは元来の発電所出力の75%である。 正味の発電所効率のうち27MWeバイオマス火格子ボイラーが占める割合は、33.3%(LHV)と計算された。ここでバイオマスボイラーの効率は88%(LHV)と仮定されている。これは、73%(HHV)のボイラー効率と、50%含水で、湿ベースで燃料中の水素分が2.75%となる燃料を想定すると、効率27.6%(HHV)に相当する。発電所出力における251MWe(正味)ガス火力部分の正味効率は、48.1%(LHV)と計算される。 バイオマス火格子ボイラーの寄与分の正味発電所効率は33.3%(LHV)であるが、これはスタンドアロンの現行火格子ボイラー技術(27.7%)、または流動床ボイラー技術(28.9%)よりも高くなっている。これは大きい蒸気タービンの効率の高さと、再加熱の利用による。これは、HRSGとバイオマスボイラーの両方が同圧(100バール)同温(540度)で蒸気を供給し、再加熱は540度で、共通の脱気器とボイラー給水ポンプを共有する。 CCGT発電所は、非常に出力を低下させてしまうため、現在のコンフィギュレーション下でバイオマス発電を行うことは考え難い現在のコンフィギュレーション下でバイオマス発電を行うことは考え難い。しかし、蒸気タービンの容量に余剰があり、奏効するバイオマス利用を行うときでも出力低下の少ないような個々の状況は考えられる。本研究において、バイオマス火格子ボイラー技術での再供給が潜在的に可能なCCGT発電所のタイプと規模についての国別の分析は行っていない。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。ガスタービン複合サイクル発電所では、より高い利用率を達成することができる。 6.3.8 現行粉炭火力ボイラー 500MWeの現行粉炭火力ボイラーの正味発電所効率は45%(LHV)と考えられる。効率に関して、規模の大小の影響についての感度分析は行われていない。 発電所の作動は、定格出力での年間7500時間の動作、すなわち利用率の85%で定義される。通常、能力評価はこれよりも高くなっており、この技術にとって、既存の発電所性能に基づいた、妥当な数字である。 6.4 発電所の資本コスト 6.4.1 はじめに 本節では8つのバイオマス発電技術と2つの現行粉炭火力の対照技術についてコスト(資本と操業)の見積もりを行い、見積もりの原理を記述する。コストは、場所特異的な要件により、±30%の精度で見積もられている。これは、コスト見積もりの情報が、他の代替技術との比較のみに用いられることが目的なので、妥当であると考えられる発電所の価格は前述の範囲に基づく。コスト見積もりには、排出基準を満たすための適切なガス浄化装置だけでなく、土地代、地方通信接続のためのスイッチヤード、そして許可が含まれる。 6.4.2 現行火格子ボイラー技術 正味30MWeの火格子ボイラーのバイオマス火力発電所における資本コスト見積もりは$2,255/正味kWe、すなわち10%の臨時出費も含めて1998年のアメリカドルで$67,650,000であった。コスト見積もりは、2つの研究と1つの予算見積もりだけでなく、過去15年の間に建造された5つの発電所に基づいている。過去のデータは2.5%の物価上昇を考慮に入れた上で1998年のアメリカドルに換算された。国の間でコスト情報の地域格差があり、それはしばしば国内の地域間でも見られた。感度分析によれば、60MWe発電所のコストは$1,650/kWeで、10MWeのものは$3,080/kWeであった。 6.4.3 流動床ボイラー技術 正味30MWeの流動床ボイラーのバイオマス火力発電所における資本コスト見積もりは$2,475/正味kWe、すなわち10%の臨時出費も含めて1998年のアメリカドルで$74,250,000であった。コスト見積もりは、研究と入札情報だけでなく、過去5年の間に建造された発電所に基づいている。過去のデータは2.5%の物価上昇を考慮に入れた上で1998年のアメリカドルに換算された。近年ヨーロッパで建設された流動床発電所のコストデータは著しく低く、地域または市場による格差を反映している。 感度分析によれば、60MWe発電所のコストは$2,310/kWeで、10MWeのものは$2,640/kWeであった。 6.4.4 バイオマス統合ガス化技術 正味30MWeのガス生成機/ガスタービンのバイオマス燃料発電所における資本コスト見積もりは$3,080/正味kWe、すなわち10%の臨時出費も含めて1998年のアメリカドルで$92,400,000であった。コスト見積もりは、この技術の開発業者からの情報に基づいている。4つの独立した研究がIGCC発電所のコストを見積もるために行われた。1998年のアメリカドルに換算され、10%の予備費も加えると、60MWe規模の発電所に関しての研究結果は以下のようになった。: 研究実施機関 導入コスト $/kw 高いほうから順に3つの平均を取り、$2,933となったところに、30MWe発電所の限定された資本コストを見積もるために5%増やし、最終的に$3,080と見積もった。感度分析によれば、60MWe発電所で$2,750/kWe、10MWe発電所で$3,520/kWeとなった。 この技術は現在開発段階にあり、このタイプで商業的に操業しているものはない。発電所の設計が最適化され、将来的にはコスト面でより強い競争力を持つだろう。 6.4.5 バイオマスと粉炭の同時燃焼 30MWeを加えるためにバイオマス同時燃焼用に粉炭燃焼炉を改修する資本コストは255$/kWeと見積もられた。これは場所の条件で大きく変化するが、場所が適切ならば、$/kWeベースにおいて、どんなほかの選択肢よりも、同時燃焼に必要な資本投資は小さい。 60MWe追加の場合は$220/kWeで、10MWeの場合は$300/kWeと見積もられた。見積もりコストは、EPRIとUS DOE(Department of Energy:エネルギー省)のデータに基づく。US DOEの報告では17から560MWeの発電所規模の25施設を見て、木材エネルギーのコストが$50から$700/kWであったとされている。低めの中程度の値が本研究では選ばれている。重要なのは、蒸気タービンの性能は変わらないため、既存の発電所の発電能力は大きくは変わらないことである。 粉炭ボイラーをバイオマス同時燃焼式に変えるときの改修コストのうち最も大きい変数は、粒子排出の要件である。木質からの排出において、SO?、NOx、CO?の排出は石炭からに比べ著しく低いが、粒子の排出については高くなるのである。 6.4.6 バイオマス火格子ボイラーと石炭火力ボイラーの平行供給 新石炭火力ボイラー 正味30MWの火格子バイオマスボイラーと正味120MWの粉炭火力ボイラーとの平行供給から成る150MWe発電所の導入資本コストの見積もりは、$1,490/正味kWeすなわち$223,560,000(1998年のアメリカドル)となった。この見積もりは、現行粉炭火力発電所が、総計$850から$900/kWeの範囲の価格だとする一般的な理解に基づく。これはEPC(設計、調達、建設)契約のコストであり、30から40%の「ソフト」面すなわち所有者のコストを加える必要がある。 2重石炭火力のオプションも見積もられている:正味120MWeの上の特別EPCコストは総計900/kWeで、正味150MWeの場合は総計$896/kWeである。バイオマスボイラーには、正味30MWeの現行バイオマス火格子技術が利用され、そのコストは正味$2,255/kWeである。EPCコストは、IEA Coal Researchの報告書"OECD石炭火力発電−1990年代の傾向"の表10に従って分類され、バイオマスボイラーとdeNOxとFGDの消去の比較的高価なコストを反映するために適切に調整される。150MWeオプションからの蒸気タービンと冷却水コストは、120MWe石炭と30MWeバイオマスのオプションを加えることで計算される残りの発電所コストに加えられる。そして最終的なEPCコストにその35%が「ソフト」のコストとして加えられる。 感度分析は行われていない。 既存石炭火力ボイラー 正味30MWの火格子バイオマスボイラーと正味120MWの既存石炭火力発電所の粉炭火力ボイラーとの平行供給の導入資本コストの見積もりは、10%の臨時出費を含めて1998年のアメリカドルで$726から$1500/正味kWe($21,780,000から45,000,000)となった。この技術の適用は場所に特異的だと考えられている。見積もりコストの下限は現行の火格子ボイラー技術のコスト$2,255/正味kWeに基づいているが、火格子ボイラー技術オプションの僅か1/3(33%)のコストとなっている。既存発電所のコスト分析に基づき、ボイラーは全発電所コストの1/3を占めると見積もられたのである。これは、相乗効果が非常に高い既存のサイトにおいて起こりうる最低限のコストである。 ほとんどの既存の発電所はそれほど高い相乗効果を発揮しておらず、少なくとも以下の追加コストがかかっていると考えるべきであろう。 ・ バイオマスの荷揚げ、貯蔵、選別と処理のための別個施設の導入; これら追加の事項の必要は、非常に場所特異的で、既存の石炭火力発電所の種類により、また使用されるバイオマスの固有の性質にもよる。これら事項は上にさらに1/3(33%)を加えることになるかもしれず、そのため見積もられた資本コストの範囲の上限も決定する。 注意すべきこととして、大規模石炭火力発電所より小規模バイオマスボイラーの方が補助装置の電力要件の割合が大きいため、既存の発電所の発電能力が、減少するということがある。しかし、これは既存の石炭火力発電所が最大限の発電を行っていると言う仮定のもとでの話であり、対象国の様々な場所で、状況は大きく異なっている。 感度分析によれば、60MWeの導入は$660から$1,100/kWeのコストがかかり、10MWeの導入には$935から$2,050のコストがかかる。上の資本コストの範囲における低い方の値は、続く経済分析と統合分析における包含のために選ばれていることに注意すべきである。 6.4.7 バイオマス火格子ボイラーと複合サイクル発電所の平行供給 新複合サイクル発電所 正味33MWe火格子バイオマスボイラーと正味107MWの複合サイクル発電所から成る正味出力140MWe発電所の導入のコスト見積もりは、$1390/正味kWe、すなわち1998年のアメリカドルで$191,740,000となった。これはEPCまたはターンキーガスタービン複合サイクルの価格(Gas Turbine World 1997 Handbookによると、複合サイクル発電所の特定資本EPCコストは$741/正味kWe)による。この価格は年2.5%の物価上昇を含めて現在の条件にされ、10%の臨時出費が考慮されている。計算されたEPC価格はGas Turbine World 1997 Handbookに従い107MWe複合サイクル熱電併給施設に関して分類され、コージェネレーションの特徴の消去を反映するように適切に調整される。 バイオマスボイラーには、正味30MWeの現行バイオマス火格子技術が利用され、そのコストは正味$2,255/kWeである。EPCコストは、IEA Coal Researchの報告書"OECD石炭火力発電−1990年代の傾向"の表10に従って分類され、バイオマスボイラーとdeNOxとFGDの消去の比較的高価なコストを反映するために適切に調整される。複合サイクルとバイオマスボイラーのコストは、蒸気タービンを除いて合計され、そして正味76MWeの蒸気タービン発電機のコストが加えられる。そして最終的なEPCコストにその35%が「ソフト」のコストとして加えられる。 感度分析は行われていない。 既存複合サイクル発電所 正味30MWの火格子バイオマスボイラーと既存ガス火力複合サイクル発電所の平行供給の導入資本コスト見積もりは、10%の臨時出費を含めて1998年のアメリカドルで$726から$1650/正味kWe($21,780,000から49,000,000)となった。 上で「既存石炭火力ボイラー」の場合のコスト見積もりにおける注釈は、この場合でも当てはまる。この場合は、下限はバイオマス火格子ボイラーと既存石炭火力ボイラーの平行燃焼に同様の値($726/正味kWe)である。上限はバイオマス火格子ボイラーと既存石炭火力ボイラーの平行燃焼に基づいている。しかし、既存の2または3基の圧力HRSGの複雑性を考慮に入れなければならない場合、平行再供給のコンフィギュレーション設計のために、10%の追加コストが必要となる。重要なこととして、既存の発電所の発電能力が減少されることがある。理由は、(@)既存のタービン発電機が最大出力で稼動しているところに、発電所でバイオマスを取り扱うために手がかかるようになる、(A)HRSGをオーバーヒートさせず、また大気中にガスタービンの排気を直接排出することなく、蒸気タービン発電機にバイオマスボイラーからの蒸気を入れるために、HRSGの蒸気負担を減少する必要があり、その結果ガスタービンの出力が減る。既存のガスタービン発電機と蒸気タービン発電機は、その他の点では変わらない。 感度分析によれば、60MWeの導入は$660から$1,210/kWeのコストがかかり、10MWeの導入には$935から$2,250のコストがかかる。繰り返しになるが、「既存石炭火力ボイラー」オプションについて、上の資本コストの範囲における低い方の値は、続く経済分析と統合分析における包含のために選ばれていることに注意すべきである。 6.4.8 現行粉炭火力ボイラー 2つの現行粉炭火力ボイラーの基準となるケースが比較のために見積もられた:臨界未満の場合と臨界超過の場合である。 正味500MWeの、臨界未満粉炭燃焼ボイラーの現行石炭火力発電所における資本コストは$1,250/正味kWeすなわち$624,000,000(1998年のアメリカドル)と見積もられた。この見積もりは、現行粉炭火力発電所が、総計$850から$900/kWeの範囲の価格だとする一般的な理解に基づく。これはEPC(設計、調達、建設)契約のコストであり、30から40%の「ソフト」面すなわち所有者のコストを加える必要がある。低い方の特定EPC総コスト、$850/kWが選択され、35% 正味500MWeの、臨界超過粉炭燃焼ボイラーの現行石炭火力発電所における資本コストは$1,300/正味kWeすなわち$653,000,000(1998年のアメリカドル)と見積もられた。EPCコストは、IEA Coal Researchの報告書"OECD石炭火力発電−1990年代の傾向"において、臨界超過ユニットのコストは臨界未満のものより約3から5%高くなると見積もられたことに基づいている。見積もりは比較を目的としたものなので、5%が選択され、これと上を根拠として、臨界超過粉炭火力発電所は全部で$890/kWと見積もられた。上と同様に、35%が「ソフト」のコストとして加えられている。大小の規模の発電所に関する感度分析は行われていない。 統合分析においては、臨界超過のオプションのみが利用されている。これは現在最新の技術とされているためである。 6.5 電力コスト 本節では、本研究で対象とした8つのバイオマス発電技術と、1つの現行粉炭火力の基準ケースについて行われた経済分析とその結果について述べた。それぞれの技術と基準ケースの資本コストの見積もりは、6.4節に記録されている。様々な技術の選択とその期待される性能はそれぞれ6.2節と6.3節において述べられている。資本コストには、ターンキーまたはEPC(設計、調達、建設)コストと、「ソフト」面すなわち、完全に設置され操業している発電所における所有者のコストが含まれる。 IEA/CON/96/11(IEA, 1997)で用いられている財政上の基準に従い、全ての場合の操業コストは、全設置費用の2%/年とされた。現在のIEA GHG評価基準では、500MW発電所について、スタッフの数とスタッフ当たりの年間コストに関して直接運用人件費を見積もることが必要である。このためには、さらに20%と60%をそれぞれ、監督のためと、管理と一般間接費のために加えられる。 500MW発電所についてのIEA/CON/96/11(IEA, 1997)に従い、維持のコストは、人件費、原料費と外注整備を含めて4%/年とされた。保険と税による年間コストは、総設置費の2%/年とされた。 上で運用、維持と保険についてのパーセンテージは、稼動中の発電所のコストデータと突き合わされ、必要に応じて変更される。そのため、運用費にはその発電所と運用と維持のためのコストが含まれるが、石炭または林業および木材産業副産物燃料のコストは含まれていない。 燃料独占的な電力価格(アメリカcent/kWh)は、Independent Power Producer(IPP)のプロジェクト開発の商業的評価のために特別にデザインされた経済モデルを用いて計算されており、他の国際IPPの経済モデルを参考に修正された。以下の仮定は分析用の経済モデルを作るためものである。 ・ 発電所規模。林業および木材産業副産物のスタンドアロン発電所のサイズは30MWeと仮定され、10と60MWe発電所について感度分析が行われた。 発電時の燃料以外のコストは、それぞれの発電所オプションについて、表6-7で要約されている。 表6-7 発電のコスト分析 上の経済分析では8つのバイオマス発電技術が対象とされているが、統合分析では6つのみが対象とされた。新たな平行供給のオプションは統合分析には含まれなかったのだが、これは通常、バイオマスによる再供給を考える場合、第一に既存の発電所を重点的に取り扱うだろうからである。分析には含まれているが、臨界未満の現行粉炭火力である基準ケースは統合分析には含まれていない。 6.6 排出 6.6.1 はじめに 本節では、8つのバイオマス発電技術と現行粉炭火力である基準ケースについて予測される排出について論じる。 大まかに言えば、研究対象国での関連プロセス排出許諾当局により認められた排出基準で発電所が操業していることが仮定されている。しかし、国別の基準は国ごとに、また国の地域/州ごとにも異なるため、引用はされていない。そのため、以下の予想排出は全ての国に渡る現行の実施に基づいた典型的な値となっている。このアプローチと一致して、6.4節での資本コストの見積もりに、バイオマスボイラーの排出基準を満たすために適切なガス浄化装置が含まれている。 本研究では二酸化炭素(CO?)、メタン(CH?)、亜酸化窒素(N?O)、窒素酸化物(NOx)、一酸化窒素(CO)、非メタン揮発性有機化合物(NMVOCs)、粒子状物質(PM)、そして二酸化硫黄(SO?)について検査を行った。選択された排出のデータは様々なソースから導かれたものである。NOx、CO、PMとSO?は主として運用発電所データから得られ、Australian National Greenhouse Gas Inventory(NGGI:オーストラリア国立温室効果ガス協会)の委員会のワークブックで確認されている。使用単位であるmg/MJはtonnes (Mg)/PJまたはg/GJと等しい。 6.2.2 現行火格子ボイラー技術 林業および木材産業副産物を燃焼している現行火格子ボイラー技術が持っている排出規制設備はPMのためのものだけとされた。PM制御技術で優れているのは静電集塵器(ESP)であり、これはバグハウスが飛散灰に含まれる炭素分のために燃えてしまうからである。通常、燃焼炉の設計でなされる以外、バイオマスボイラーでNOx制御がされることはない。この技術における排出は以下のように想定される: CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため 6.6.3 流動床ボイラー技術 林業および木材産業副産物を燃焼している流動床ボイラー技術が持っている排出規制設備はPMのためのものだけとされた。PM制御技術で優れているのは静電集塵器(ESP)であり、これはバグハウスが飛散灰に含まれる炭素分のために燃えてしまうからである。通常、バイオマスボイラーでNOx制御がされることはない。この技術における排出は以下のように想定される: CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため CH?、COおよびNMVOCの排出は、流動床ボイラーがより効率的に燃焼を行い、燃料をより完全燃焼させているために削減された。燃料ベッドを流れるガス速度が速いために燃焼排気におけるPMの含有が増え、PM排出は増加した。NOxとN?Oの排出は、N?Oが燃焼プロセス下流のNOxから生成されると考えられているため、同じレベルに保たれた。 6.6.4 バイオマス統合ガス化技術 6.2節で述べられたように、バイオマス統合ガス化複合サイクル(BIGCC)技術は現在も開発されており、現時点で商業的に操業している発電所はない。下で見積もられた排出は、そのため技術に対する妥当な予測に基づくが、これはまたUS DOE National Renewable Laboratory(NREL)によるバイオマス統合ガス化複合サイクルシステムのライフサイクルアセスメントによって、確認されている。 BIGCCの特徴は、ガスタービンへとクリーンな燃料ガスを供給することである; このようなクリーンガスは、ガスタービンにとって確かに必要なものである。そのためガス浄化が必要であり、この場合は洗浄が想定された。ガス浄化プロセスの排出における影響は、PM排出が無視し得るレベルになり、PM制御の必要がなくなることである。この技術における排出は以下のように想定される: CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため CH?、COとNMVOCの排出は、現行火格子ボイラーと流動床ボイラーのどちらと比較してもBIGCCでは削減されている。これは、ガスタービンにおける過剰空気量がより高いという特徴、より効率の良い燃焼、そしてその結果である燃料のより完全な燃焼、による。NOxとN?Oの排出は、ガスタービンでの低NOx燃焼の進歩を反映し減少した。PM排出はよりクリーンな燃料のために減少した。SO?排出は、洗浄の過程で燃料ガスからいくらか硫黄分が除去されることを反映して減少した。 6.6.5 バイオマスと粉炭の同時燃焼 粉炭ボイラーをバイオマス同時燃焼にするための改修コストにおける最大の変数は、煤塵の排出要件である。一般的に、木質からの排出は、SO?、NOx、そしてCO?に関しては石炭からよりも非常に低いが、PM排出に関してはそうとは限らない。バイオマスに寄与された、この技術からの排出は以下のように想定された: CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため 粉炭発電所で煤塵除去のために用いられる有力な排出制御は、ESPである。バイオマス燃焼のためのESPの設計は、粉炭ボイラーとは極めて異なる。石炭飛散灰に比べてバイオマス飛散灰が著しく低密度(300kg/?に対して1,000kg/?)であり、集められた灰の再巻き込みを避けるためには、バイオマス集塵器内でのガス速度は非常に小さくならなければならない(1m/sec.に対して2m/sec.)。木質灰は非常に異なった低効率を有し、異なる集塵器設計の項目が必要となるのである。もし小さな静電集塵器のある粉炭ボイラーがバイオマス同時燃焼のために改修される場合、集塵器全体を改修する資本コストは大きいこともある。特に全エネルギー入力のうち僅かな割合を受け入れるだけの場合はなおさらである。 6.6.6 バイオマス火格子ボイラーと石炭火力ボイラーの平行供給 新規・既存の石炭火力ボイラー 新しいバイオマス火格子ボイラーの排出は、上の6.6.2節の現行火格子ボイラー技術の場合と同じになることが予想される。 CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため このオプションに関連した既存粉炭火力ボイラーからの排出は、実際には、国、場所と年に特異的である。場所に特異的な排出データなしで現行粉炭火力の基準ケースについて排出を推定すると: CO? 91,500mg/MJ (IEAの仕様により石炭を使用) 6.6.7 バイオマス火格子ボイラーと複合サイクル発電所の平行供給 新規と既存の複合サイクル発電所 新しいバイオマス火格子ボイラーの排出は、上の6.6.2節にある現行火格子ボイラー技術の場合と同じになることが予想される。 CO? 0mg/MJ バイオマス燃料利用のため ガス火力ガスタービン複合サイクル発電所の排出は、6.6.4節のBIGCC発電所と、CO?を除いて同じになる。この技術における排出は以下のように想定される: CO? 50,000mg/MJ 天然ガス燃料利用のため 6.6.8 現行石炭火力ボイラー 新しい石炭火力発電所は、最低でも世界銀行グループの排出ガイドライン、「汚染防止と軽減のためのハンドブック−パートV、火力発電−新しい発電所のためのガイドライン」を満たすように期待される。この基準によれば、新しい現行石炭火力ボイラーの予想排出は以下のようになる: CO? 91,500mg/MJ (IEAの仕様により石炭を使用)
3章で、2020年まで計画された5つの研究対象国における森林資源の特徴について、概要を説明した。4章と5章では残材/廃材の量と入手可能性の特徴について概説し、森林副産物の収集に影響する要因の詳細が提供された。これらの章はまた、生物燃料としての木質残材の収集コストを考察し、5カ国と25地域(これらの国の中にある地域)で利用可能な残材の量を見積もり、そして残材の収集と輸送からの温室効果ガス排出を評価した。6章ではコスト、適合性と排出を含んだ発電システムについて詳細にわたって検討を行った。技術はコージェネレーションのために存在するにも関わらず、本研究では発電のみに重点をおいた。これは電力が主要な生産物であると考えられるからである。 5カ国と、先進国で定義された4つの地域において林業副産物から発電できる量を見積もり、また、異なるレベルでの経済支援下において回避できるCO?の量を割り出すため(すなわち回避されたCO?排出における$/tonne)に、統合分析スプレッドシートが開発された。スプレッドシートは生成可能な電力量と、CO?量とその発電に関連するコスト(c/kWh)の両方を割り出す。これは統合アプローチを通じてコストと排出の両方を最適化することで可能となる。発電所をバイオマス資源のそばに置くことは、輸送コストを最小化し、処理プラントまでの資源の輸送から出る排出を最小化できるために有利であるが、分析によると処理の組織を中央に集中すべしとなる(4.9.3参照)。報告書のこの部分では、分析アプローチについて触れ、現在の重要な結果について示している。 7.1 統合分析の方法 統合分析は8つのキーとなるモジュールから成る。: ・ モジュール1:利用可能資源の評価。データは付録にまとめられており、国、地域、そして年について特異的となっている。データは、想定中央処理プラントからのある距離ごとの同心円の、累積される容積となっている。資源利用可能性のデータについては、3、4、5章で見積もられた森林副産物と木材加工残材が含まれる。2000年が基準とされ、考慮されている全ての技術が、このときから施行できるとされた。資源利用可能性モジュールは、同心円のコンセプトを用い、残材へのアクセスに際しての運搬距離の影響を考慮に入れ、また、収集と前処理のときに出るCO?の量についてのデータも含まれているのである。いくつかの地域、特に孤立した地域であるPrince
Edward島、YukonとカナダのNorthwest Regionでは、そこからの残材の収集の実行可能性を考慮した上で判断がなされた。結果として、利用可能残材料(付録)は、入手可能見積もり量(表4.2)よりも小さくなった。 統合モデルの選択オプションと出力シートは図7-1に示されている。この8つのモジュールから成るモデルは、異なる変数のデータや様々な組み合わせを利用している。含まれるのは特定の国/地域の入力を組み込んだ資源の利用可能性と、収集と輸送における要件(4章と5章); 技術のバリエーション、要件、発電所能力(MW)、出力、排出、そして異なる発電所コンフィギュレーションにおける限界とコスト(6章)である。資源量に加えて、異なるモジュールは中央集中的な処理施設に関連した地理的分布と輸送/運搬距離、そしてまた資源のタイプを組み込んでいる。 2000年には、異なる組み合わせの変数が独立して考えられる。: ・ 5カ国(カナダ、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデン、アメリカ)と4地域(旧ソ連、北アメリカ、ヨーロッパ、先進アジア&オセアニア); 図7-1 統合分析モデル モデルは特定の入力(国/地域、変換技術、発電所規模、税制度)から組み合わせの分析を行い、資源利用可能性と税制度の形での財政支援の段階($/t CO?回避量)によるコストの制約のもとで最適な操業レベルを特定する。グローバルな評価を行う場合は、図7-1で挙げられた5ヶ国を、先進国を表わす4つの地域(旧ソ連、北アメリカ、ヨーロッパ、先進アジア&オセアニア)に置き換えられる。表7-1では異なる発電所における技術効率と資本コストを500MWe臨界超過の現行石炭発電所と比較してまとめてある。技術と発電所について規模の選択に必要な技術的、経済的な詳細は6章に示されている。 表7-1 技術効率(%)と発電所資本コスト($/kWhe) 7.2 モデル出力 サンプルの出力シート(図7-1)では、30MWeの能力の石炭同時燃焼技術について、アメリカ、補助はなし(すなわち$0/t CO?回避量)、残材は半径150km圏内で入手可能、という条件下での実行可能性をモデルで分析している。モデルは設置できる最多発電所数(101)、生成可能な総電力量(22.725TWh/y)、燃料の必要量と入手可能性(それぞれ22.662と22.664、単位100万tonne)、そして必要運搬距離(150km)を特定している。またモデルからある特定の国における最大可能運搬距離が分かる(付録参照)。さらに、モデルは排出率を与える(0.047tCO?/MWh、総計1.069MtCO?に相当)。排出レベルを与えれば、モデルにより、林業残材の利用により回避されたCO?排出の合計が与えられる(17.28Mt)。最後に、モデルにより林業副産物を利用した場合の発電の総コスト(3.76c/kWh)を500MWe石炭の基準ケースの値(4.37 c/kWh)と比較できる。 表7-2には、木材加工の残材(運搬距離は0)のみを利用または木材加工と林業残材(運搬距離は最大限)の両方を利用するような30と60MW発電所に関して、最大でいくつの発電所を稼動できるかが示されている。ニュージーランドにおいては、全ての残材が1箇所にまとまっているとしても、加工の残材で60MWの火格子ボイラーや流動床発電所を稼動するのは不適当である。 利用可能残材(4/5章と付録参照)を与え、全ての技術について発電所の数を1から最大限まで変えることで、500MWe基準石炭発電所と比べたときの発電可能性、コスト、GHG排出、GHG回避、そして発電所の稼動可能性の差が割り出される。7.3節から7.6節までは、30MWe発電所を利用して、国と世界の両方のレベルにおける発電可能性、GHG排出と回避(CO?相当tonne)、そして発電(c/kWh)とGHG排出回避の両方の総コスト、についての差を強調している。7.7節では、林業副産物からの発電の競争力における様々なオプションの感度(影響)について検討している。評価は発電、排出、排出回避とコストについて、加工残材を用いた場合と、全ての残材を用いた場合において、分類している。 表7-2 異なる残材に関して、稼動できる最大発電所数 7.3 発電の可能性 林業副産物からの発電の可能性は国(と地域)によって異なり、また、技術の選択(表7-3および7-4)によっても異なる。国レベルでは、最も可能性が高いのがアメリカで、以下カナダと続き、最も低いのはニュージーランドである。可能性は、森林の広さと林業および木材産業の規模の両方に関係するファクターである(3章参照)。ニュージーランド、フィンランドとスウェーデンは高度に発展した木材産業を有し、1人あたりの木材加工能力も大きいが、全資源量は、世界の林業資源の7.1%と6.2%をそれぞれ占めるカナダとアメリカと比べ、非常に小さい。 表7-3 発電の可能性(TWh/y) 森林および木材副産物の可能性で利用可能と評価されたものは、それぞれの国での目標生物エネルギー可能性の値よりも低いが、これには、バイオマス(例:黒液)や短伐期の森林産物など目的生産作物の、進行中の利用がしばしば含まれる。本研究では森林および木材加工残材からの可能性が現在の生物エネルギー利用レベル以上であるかの評価で、目的生産作物の利用は含まれないことをここに強調する。 世界レベルでは、北アメリカ地域が最も高い発電可能性を持ち、これは、他の全ての先進地域(すなわち旧ソ連、ヨーロッパ、先進アジア&オセアニア)をあわせたものよりも大きい(表7-4)。旧ソ連諸国は世界の森林資源のほぼ1/4を有し、これは北アメリカのほとんど倍(FAO, 1997; WRI, 1994)であるが、木材加工産業はあまり発達していない。さらに、1990年代は旧ソ連諸国の森林産業にとってやせた時代であり、そのとき森林生産と木材加工は、上昇に転じる前に大きく落ち込んでいた。 発電の可能性は技術に従属的であり(6章参照)、また、どの範囲の残材が利用されるか、すなわち森林収穫と木材加工の残材の両方が使われるのかどうかにも従属的である。全ての国と地域で、最高の可能性は石炭同時燃焼技術を利用することで実現される。木材加工残材からの発電の総合的可能性は41TWh/yから57TWh/yの範囲になるが、潜在的に利用可能とされる全残材の見積もりの総計は、カナダの孤立地域を除いても、200から275TWh/yとなる。 他の技術に対して石炭同時燃焼の利用が比較的高い可能性となるのは、高い効率の結果である。その効率は38%(LHV, 30MW発電所)であり、それに対し火格子ボイラー27.7%、流動床28.9%、ガス化36.8%、既存石炭30.9%、そして既存HRSG33.3%である(6.3節および表7-1参照)。技術効率における結果としての差は、他技術に比べ石炭同時燃焼の発電所の数が多い結果を生み(表7-2)、それゆえに比例して高い発電可能性を持つこととなる(表7-3と7-4)。 7.4 林業副産物利用によるGHG排出 林業副産物利用による排出は、(@)残材の収集、輸送と前処理で使われる化石燃料におけるガス排出(4.10節と表4-16を参照)と、(A)発電所における残材の変換(6.6節参照)に由来する。付録では残材の輸送/運搬距離を増加させたときのGHG(tCO?相当)変化について明らかにしている。ある国における残材体積と排出レベルがあると、ある残材量に対するGHG排出は類似したものとなる。異なった技術利用に関連した排出レベルの差異はある。これらの差異は特定の技術の効率と関連しており、結果として資源の単位から生成可能なエネルギー量に差があるということになる。 表7-5と7-6は、5カ国と4つの先進地域について異なった技術を利用したときのGHG排出(CO?相当、単位100万tonne)を表わす。 表7-5 森林および木材加工残材利用からのGHG排出(MtCO?e/y) ある国または地域において、木材加工残材利用からのGHG排出量は全体の排出の割合で見れば輸送/運搬距離の増加とともに減少した。電力可能性の量の場合において(7.3節)、GHG排出は資源の量と、また森林利用および開発の程度に従属的であった。そのため、最大の木材産業を持つアメリカは最大の残材資源を持ち、高い輸送距離を伴い、最も高いGHG排出レベルを持ったのである。注意すべきなのは、分析において追加の資源量が独立的にモデルに入る形で利用されるため、北アメリカにおける値は単純なカナダとアメリカの合計ではないことである。より多い数の発電所と、個別の国に関連付けられていた「仮定の」廃棄の減少の結果として、高い値が得られたのである。残材の存在位置は、しかし同じ場所であると想定される。 表7-6先進国における森林および木材加工残材利用からのGHG排出(MtCO?e/y) 特別な興味として、潜在的に利用可能とされる残材全てを利用し、最も長い輸送距離を伴う場合の最大排出レベルがある。 先進国の場合では、全ての森林と木材加工残材を利用した場合は43.7MtCO?から45.1MtCO?の排出と見積もられるのに対し、木材加工残材を利用した場合は僅か2.4MtCO?から2.6MtCO?の排出と見積もられる。 7.5 林業残材を用いる場合の回避GHG排出 表7-5と7-6の全ての排出は、1995 IPCC Guideline for National Greenhouse Gas Inventories(IPCC, 1995)のベースライン石炭排出と比較された。類似の電力可能性を持つ現行石炭火力発電所からの排出と、林業副産物を利用する発電所からの排出(表7-5と表7-6)の差が、回避された排出である(表7-7と表7-8)。 表7-7 回避されたGHG排出(MtCO?e/y) 全排出と発電所における変換効率(6章および表7-1参照)の傾向は、全般的な排出回避に反映された。高い効率の技術(石炭同時燃焼とガス化)は排出が低く、GHG排出回避が最高となった。 表7-8 先進国における回避されたGHG排出(MtCO?e/y) 国レベルで見れば、アメリカが最大のGHG排出回避量を示し、カナダがこれに続くが、これは主として残材資源の利用可能量の多さによる。世界的には、先進国だけの木材産業加工残材を利用することで30から45 MtCO?e/yの間で緩和をできる可能性がある。全ての林業副産物(林業と加工の残材)が利用された場合、年間あたりの可能性は116から177.9 MtCO?e/yまで上がる。この可能性における変化は技術の選択と残材利用の強度(表7-8)による。 7.6 林業副産物利用におけるコスト 発電のための林業副産物利用におけるコストには、残材収集、輸送と前処理のコスト(4.9節、5.5節参照;残材コストの詳細については付録も参照);設備投資を含む転換、操業と維持(6.5節)が含まれる。そのため、異なる国/地域について、また異なる技術と残材についてのコストは、ある電力(c/kWh)を生成するときに必要な残材の量を収集、輸送、加工することに関連したコストの合計となる。 7.6.1 森林と木材加工残材利用の発電コスト 表7.9に5つの研究対象国で評価された6つの技術を利用した発電のコストについての要約が示されている。代表国のファクターが先進地域における可能性でも引用されているため、世界レベルでの同様な表の作成は行っていない。比較し、バイオマス発電所の競争力を表わすために、異なる炭素税制($0、$20、$100、$500/tCO?回避あたり)のもとでの500MW石炭基準ケースの発電コストも表に示されている。表では、加工残材から、木材加工残材に加えて(すなわち加工残材が燃焼されたあと)森林残材を利用している最初の発電所から、そして残材の最大量から(潜在的に利用可能と評価された量)、のコストが区別されている。 ある国において、異なる技術からの発電コストには大きな差がある。全ての国で、木材加工残材について、石炭同時燃焼は1c/kWh未満という最小の発電コストのオプションを提供する。ガス化技術は石炭同時燃焼や他の技術と比べて高い資本、操業および維持のコストを反映し、最もコストが高くなっている(6.5節、表6-7、7-1を参照)。例としてフィンランドにおける石炭の基準ケースでコストが5c/kWhと非常に高いのに対し、特に石炭同時燃焼をした場合の生物燃料利用で0.95c/kWhと非常に低くなっていることに注目すべきである。基準石炭発電のコストは、電力コストの設備投資と維持管理の部分(6.4-6.5節)と、石炭のローカル・コストから成る。国別の分析は行われず、原則的に500MWe石炭基準ケースに関しては1つの「数値」が与えられている。そのため、国の間での電力コストの変化は、燃料のローカル・コストによる。 同時燃焼発電所からの電力コストは非常に低く、実際はより低いかもしれない。分析においては、同時燃焼オプションをあたかも新しく30MWで、$225/kWすなわち$765万のバイオマス火力発電所として扱い、設備投資は単純にバイオマスの受入と処理をするプラントのためのコストと、ボイラープラントとその付属物に関する改修コストとなる。同じアプローチと財政モデルが全てのオプションに利用されていて、基準入力はMW能力と設備投資である。維持管理は6.5節にあるように、内部で計算されている。 表7-9 異なる技術を利用したときの発電コスト(c/kWh) 大まかに言うならば: ・ 石炭同時燃焼−フィンランド、ニュージーランド、スウェーデンにおいて利用可能と評価された全ての加工および森林残材での発電は競争力があり、税制上の優遇は必要ない。カナダでは、$100/tの炭素税で全ての残材が競争力を持ち、一方アメリカでは、$500/tの炭素税でもいくつかの残材について価格的に有利になるだけである。 いくつかの残材における競争力の欠如は、大きい輸送距離による(カナダとアメリカでそれぞれ510、980km)。ある残材カテゴリーにおける、国の間でのコストの差には、収集、輸送と加工のプロセスにおける燃料/電力のコストが反映されている(表4.10)。一方で、異なる残材タイプにおけるコストの差には、異なる運搬距離での収集と輸送のコストが反映されている(4.9節参照)。国間の差異の中には、輸送車両の特徴および、地方での人件費に関連したものもある。 7.6.2 林業副産物を利用した場合のGHG排出回避コスト 上の7.6.1節での発電コストは、発電の総可能性(TWh/y)でかけられ、関連するGHG排出回避(MtCO?e、7.5節)で割られ、年間あたりのCO?回避の特定のレベルに対してプロットされた。供給コスト曲線を描くために、シナリオの数、つまり発電所の数についての専決がなされた。もっとたくさんのシナリオを走らせることもできたが、表7.2で示された発電所の最小数と最大数に基づいた曲線の形と傾向を確定するための十分な出力がなされた。 図7-2と7-3は、異なる国、異なる技術、そして異なるCO?回避量におけるGHG緩和コスト(発電コストc/kWh対CO?回避量)の変化を表わしている。結果はCO?コスト供給曲線、すなわちコスト($/tonne CO?回避)対CO?回避量(図7.4と7.5)として表わすこともできる。$0税の基準ケースの線(図7-2と7-3)は、税制の優遇がない場合の発電における限界コストを示す。発電コストと異なる技術を利用したGHG緩和の上に、コスト曲線には林業副産物の利用により削減される最大GHG排出量が考慮されている。 図7-2 国別GHG排出回避コスト曲線 全ての技術における、発電とGHG緩和について最初の低い値(曲線の水平成分)は、木材加工残材の利用を表わす。名目価格が$1/tonneである木材加工残材は、最低限の前処理にかかる$2/tonneを含めて、利用する場所で手に入ると仮定され、そのため輸送コストを含まない(4、5章参照)。木材加工残材からの発電コストの大部分は設備投資と維持管理コストである。 図7-3 先進国におけるGHG排出回避コスト曲線 木材加工残材が非常に低コストなので、全ての発電所はより高価な木材収穫時の残材を利用をはじめる前に、全ての加工残材を燃焼するとされる。コストとGHG排出における変化は進行性の段階にあり、最初はそれぞれの森林密度から定義される半径距離に由来する(3、4章および付録を参照)。全ての技術について、最初の低コスト状態からのコスト急増は、発電所がより高価で、収集、輸送(運搬距離による)、と処理にコストがかかる森林残材を利用し始める点を示す。そのため、上昇するコストは発電コストとGHG緩和の両方における運搬距離の影響を反映している。輸送距離がより長くなると、残材の輸送コストも上がる。 図7-4研究対象国5カ国におけるCO?コスト供給曲線 全ての国で、火格子ボイラー、流動床とガス化は実行可能にするためには最初に税制の優遇が必要である。石炭同時燃焼、既存石炭と既存HRSG技術で木材加工残材を利用したときの発電コストは、現行石炭を利用するよりも低かった。森林残材をある割合で利用する場合、石炭同時燃焼、既存石炭と既存HRSGではフィンランド、スウェーデン、ニュージーランドにおいてしきい値を超えないが、カナダとアメリカでは森林残材の運搬距離の増大により、ほとんどでしきい値を越えてしまった。 図7-5 先進国におけるCO?コスト供給曲線 7.7 感度分析 本節では、林業副産物を利用した発電における全体の経済的競争力/実現可能性において、また結果としてのGHG緩和における異なるオプションの影響について明らかにしている。5つのオプションが分析された−技術;税制;発電所能力(図7-1参照);経済分析で適用される割引率;そして燃料のタイプ(燃料の流通と運搬距離を含む)についてである。 7.7.1 燃料タイプと運搬距離 残材タイプとによるコスト差は、運送時に含まれる輸送距離と関係があった(4章)。残材コストの差は残材の運送コストの反映であり(付録)、木材加工からと森林収穫残材からの発電コストの差につながっている(表7-9)。加工残材(森林残材に関連して)による発電の低い方のコストは、最小の輸送距離の残材を利用する経済的利点を明らかにしている。ある発電所に対し、運搬距離の拡大は燃料の収集域を拡大し、そのため発電の潜在力を上げるが、(@)発電コストが上昇し、(A)GHG排出が増加し(tCO?相当、表7-4と7-5)、(B)GHG緩和の可能性を減少させ(表7-7と7-8)、そして(C)GHG排出減少のコストを増加させる(表7-2から表7-5)。 7.7.2技術 適切な技術選択の重要性は、以下のものに関する差異によって明らかでる。その差異は、(@)発電可能性(表7-3と7-4)、;(A)GHG排出(表7-5と7-6);(B)GHG排出回避レベル(表7-7と7-8);そして(C)発電とGHG排出削減のコスト(表7-9;と図7-2から7-5)におけるものである。石炭同時燃焼は最も効率的な技術であり、最大の電力可能性(全体で275TWh/y)、最小コストオプション、最小の排出(全体で43.7MtCO?/y)を達成し、またGHG排出削減に関して最大の可能性を導く(全体で最大177.9Mt/y)。一方で火格子ボイラーは最も効率の低い技術である。ガス化、流動床、そして火格子ボイラーは、林業副産物の利用において最も高価な技術オプションである。 7.7.3 税制度 4つの税制度が評価され、5ヶ国において異なるコストを導いた(表7-9)。図7-2から7-5は、林業副産物からのCO?回避コストを示し、またどの点で異なった技術が現行石炭火力発電所に対し競争力を失うかを表わしている。全ての残材を利用する全ての技術について、現行石炭発電所と競争力を持つことができるのは$500t/CO?体制のときである。運搬距離がそれぞれ510と980kmであるカナダとアメリカを除き、全ての技術は$100 t/CO?の税制度下で実現可能である。全ての国で、石炭同時燃焼、既存石炭および既存HRSGは税制度の優遇なしに全ての木材加工残材と、ある割合の森林残材を利用することができる。ガス化が競争力を持つのは、$100 t/CO?(以上)の税制度が適用されたときのみである。 7.7.4 発電所規模 6章において4種類の発電所規模について評価が行われたものの、この分析では30MW発電所を対象としている。アメリカだけについての発電所規模の影響は、図7-6で60MWと30MWを6種類の技術について比較する形で示されている。全体的に見て、60MW発電所は、(@)高い発電可能性を持ち、(A)現行石炭火力発電所より、高いGHG削減可能性によりGHG排出が少なく、(B)規模の経済と優れた効率によって、発電コストが僅かに低下する。 GHG回避は30MWと60MW両方にとって発電可能性を反映する。同等量の残材を利用する60MW発電所における高い発電可能性と高いGHG削減は、大きい発電所における高い効率が、低い排出につながっているということである。低い排出は、発電単位当たりで高いGHG削減を示す。60MW発電所における僅かに小さいコストは、小さい30MW発電所と比較したときの規模の経済による。 図7-6 アメリカにおけるCO?回避コストにおける発電所規模の影響 7.7.5 割引率 発電のコストとGHG削減コストの割引に対する感度は、北アメリカで割引率を10%と5%に設定された30MW発電所を比較することで分析された。高い割引率10%において、発電関連コストが高くなり、そのためGHG削減コストも高くなった。
強度の伐採、森林副産物の除去、と長期間の森林持続性についての問題に含まれるものとして、(@)侵食の危険;(A)水質−堆積負荷、養分の溶脱、化学残留物の流出;(B)養分の収奪;(C)地味の変化;(D)生物多様性;(E)サイト設置の実効;そして(F)地味維持のための廃棄物(灰、泥やその他物質)の適用、が挙げられる。 Evans(1990)が行った森林プランテーションの長期的生産についてのレビューによると、連続する森林プランテーションでの収量の減少は、詳細な研究の数が限られているものの、例外的であると結論付けられている。収量現象が観察される場合、主要ファクターは: ・ 輪伐期における有機物保全の失敗; しかし、輪伐期の間に収量が増加する場合もある。これに影響しているのは(@)管理によりサイトに生じた潜在性の変化。例えば排水や、リン酸およびホウ素など希少元素の投入による。イギリスでは、2度目のトウヒ植林において、1回目に植えたときのようにリン酸を加える必要はない。最初の収穫に対する一度の投入で十分であり、それは次回に持ち越されるのである;そして(A)樹の改良も生産性の向上に貢献している。 8.1 養分の収奪 樹の枝と針葉には重要な養分(N、P、K)が幹よりも高い濃度で含まれる。現行の収穫では、通常これらは地面に残され、分解され、含んでいた養分を放出する。これらは次の作物のために使われるか、または土壌から溶出する。 もし、伐倒のあとですぐに残材を収集すると、針葉の大半は、含んでいる養分とともに除去されてしまう。樹の地上バイオマスに含まれるNとPの25%が針葉には含まれる。残材が枯れるまで、数週間残されたとすると、針葉の大部分は枝から離れ、林床に落ちる。これが収穫されることはない。 市場向きの幹を樹皮がついたまま運び出すこと(現行の伐木搬出慣習)は、林地から45から50% のN、P、Kを持ち出すことになる。収穫された残材には幹と枝が含まれるが、枝の20%が全ての針葉とともに林地に残されれば、これは養分の30%が林地に残され、さらに20から25%が残材収穫で持ち出されてしまうことを意味する。 生物エネルギーのために伐倒残材を運び出すことは、必然的に林地の養分レベルを下げてしまう。これが致命的かどうかは、収穫の強度と、土壌の養分状態により、また酸性雨(南スウェーデン)など他の要因によることもある。フィンランドでは、スコッツパインの林地における残材の除去は、樹の成長に15年間何の影響も与えなかったことが分かっている(Kukkola & Malkonen, 1997)。残材が道の端に寄せ集められ、放棄され腐るということもある。生物エネルギーのためにこれを収穫することは、森林内問題とコストを減少させる。 ニュージーランドでは、10年間の3回の実験により、間伐残材の除去による、樹の生長に関する有意な影響はないと明らかにされた(Hunter-Smith et al. 1998)。養分状態の違いと、生産性の損失は、バイオマスの除去と土壌養分の状態から、3回の実験において予測された(Smith et al. 1997)。 伐倒残材の除去は、スウェーデンでは、多様性は影響されないものの、多くの土壌動物の数を減らすことが明らかになった。減少する動物相は、窒素の無機化に小さい影響しかもっていないものと判断された(Bengtsson et al. 1997)。収穫後に伐倒残材が腐るままに残される場合、小川のNO?-N濃度は6倍まで増加した。残材が焼かれて除去された場合は4倍であった。収穫作業は、小川に浮遊堆積物を増やした(Harr and Frederiksen, 1998)。 スウェーデンの2ヶ所における残材収穫は、収穫の5年後、土壌水の性質に影響を及ぼさなかった。処理に差はなく、養分レベルは正常だった。スウェーデンの4ヶ所で行われた強度の残材収穫でも、土壌中の窒素または炭素の量は影響がなかった。しかし、皆伐は、腐食層におけるCとNの減少につながった。他の養分枯渇の証拠は、皆伐後の植生(処置による)と土壌のC/N比の変化である。皆伐の除去によって、プロット内の種の多様性が減少した(Olsson, 1995)。 8.2 地味を維持するための廃棄物の追加 養分の除去は、グリーン・トンあたり$0.25から$2.00のコストをかけて灰を林地へ返すことによって部分的に解決される。灰の返還は窒素除去については解決できず、グリーン・トンあたり$3から$10かけて人工肥料を加える必要がある(Zundel et al. 1997)。 灰や人工肥料を撒くコストとともに、残材の収穫について計画するときは、サイトの自然の肥沃さを考慮すべきである。残材を除去し、養分のロスを埋め合わせる肥料を追加する価値があるかもしれない。 8.3 土壌の質と土地生産性 どんな収穫システムでもある程度の土壌撹乱を起こし、全ての地上での伐倒作業機(スキッダ/フォワーダ)は土壌を圧縮してしまう。土壌の圧密は、過剰になると樹の成長を阻害する。土壌の圧密は、よく設計された装備を用い、計画に従えば最小化できる。 余分に機械が伐採あとを通過すると考えられるところは(残材回収に関して)、可能ならば前の幹の収穫作業で作られた山道を通って、低接地圧車を利用すべきである。樹の生長とコストに関して、抽出トラックのリハビリをすることは実行可能だとされた。 肥料を与えることは、抽出トラックの回復を行うときに、単純かつ効果的な方法である。(Hall, 1995) 8.4 侵食の危険 ほとんどの伐倒残材の回収は、平坦からやや傾斜のある地形で行われる。この地形は通常深刻な侵食にさらされることはない。伐採後の土地から中程度の量の残材を除去しても、これが大きく変わることはない。侵食が問題になるような険しい地形では、地上用の機械が使えないために伐採地から残材を回収するのに適さない。また険しい地形での残材収穫にはコスト面での制約もある。険しいところでは、侵食危険性のための環境規制があり、残材の除去を限定していることもある。 架線集材での残材回収は、環境的に望ましい。残材は架線の荷揚げ地に積み重なり、作業スペース確保のために残材はしばしば押しやられてしまう。これらの積み重ねは大きく、しばしば険しく、不安定な土壌上に置かれる。それらが腐るにしたがって、それらは不安定になって、滑り落ちる(図8-1)。しばしばこれら地すべりは強い雨と関連付けられる。残材の除去と積み重ねが出来上がるのを回避することは、急傾斜地での伐倒の残材の大きな積み重ねとしばしば関連する、大規模な地すべりを減少させる(Hall, 1997)。 どんな残材収集作業においても、機械とコストの制限から、全ての残材が除去されるということは考え難い。常に留まる残材もある。あるパーセントで、またはヘクタール当たり体積で残材が伐採跡地に残されればサイトの養分を維持し、植物相と動物相に生息地を供給することができるかを、特定することも可能である。最大収穫密度と環境価値の維持の間には、トレード・オフの関係が成り立つ。 8.5 収穫と残材収集における環境インパクトを最小化するためのガイドラインの作成 先進国では森林が持続的に管理されるべきだということに関して同意(ヘルシンキ・プロセスおよびモントリオール・プロセス)がある。重要なのは土壌と土地の生産性と生物多様性である。 森林施業は、増大する精密さと圧力のもとで行われており、人工林がそれを免れるわけではないが、特に天然林において厳しくなっている。持続的な生物エネルギー生産システムは、地域レベルと世界レベルでの両方での適用、主要問題との関連性、工業と政府における進行中の発展に対する認識が必要である。また、新たな情報も組み入れていくべきである。 ガイドラインのために提案された枠組み(Smith and McMahon, 1997)では、6つの要素から成るレビューのサイクルをチェックするという仕組みであり、その要素は、(@)経営目的を定める;(A)計画;(B)実施と操業;(C)モニタリング;(D)レビュー;と(E)調査計画である。このアプローチにより管理職に知識ギャップを終えてもらうために情報収集の計画を練ってもらった。そして限られた情報で決断をすることに関してリスクを減少させた。 8.6 サイトの持続可能性についてのモニタリング 森林経営システムが持続可能なシステムを維持できているかについて確認するために、モニタリングは重要である。生物エネルギー生成システムにおいて、造林と操業上の能力測定のために、モニタリングが必要である。造林的モニタリングは、固定プロットに対して樹の栄養と成長率を繰り返し図ることも含まれる−このような実施は、たくさんの森林経営者によって毎日山にでなければならないほど仕事がある。 また、工業化国によってなされているかなりの量の調査があり、これは持続的経営のための、システムと森林に特別な指針を発見し、試験し、適用することを目的としている。持続性をモニタリングするためには、生物中心のアプローチが望ましいが、これは、経済的社会的な期待を押し付ける前に、まず必要なことを森林の生態学的存続の維持と認識するアプローチである(Burger, 1997)。 全ての生物学的、物理学的基準に対し、重要な変化を表わすに十分な感度の林地と土壌特異的な指標が必要とされている。これらの指標は測定や計算が、簡単で費用効果の高くなる必要があり、そしてシステムの変化に応じて修正されていく必要がある。 意味のある指標の開発とモニタリングが必要不可欠である。
新たな大規模発電の際に潜在的に利用可能な、大規模な森林産業を持つ先進国で利用可能な林業副産物(木材加工産業と森林残材)の潜在量を評価することによって、おおよそ270から275TWh/y(発電技術による)が先進国で発電できると見積もられてきた。これらの見積もりは、2000年に予測される持続可能な森林収穫に基づいている。最大の可能性を持つのが北アメリカで、最大155 TWh/y(世界トータルの56%)の発電を行うことができる。 この量の電気を生産するにおいて、GHG排出がでてくる。これは、最初は林業副産物の収集、輸送、前処理(すなわちチップ化)の間に出てきたもので、また、発電システムも必ず、GHG排出につながる外部エネルギー(化石燃料)を必要としている。発電の際に排出が増えるかもしれないが、本研究の目的において、バイオマスは炭素0排出燃料であるとされ、全てのコスト、質量とエネルギーの流れそしてそのため残材の「生産」における排出は主産物(材、パルプ、そして合板)に割り当てられるのである。GHG排出量は年当たり43から45MtCO?相当量の間で変化すると見積もられた。この排出は、他のバイオマス発電オプションと比較して低GHG排出の石炭同時燃焼利用の発電技術に影響される。 森林副産物を利用した電力が、石炭火力発電所からの電力に置き換わることを想定すると、世界規模でのGHG回避量の見積もりは年当たり、木材加工残材からのみの場合30から43.5MtCO?相当量の範囲となり、潜在的に利用可能と評価される全ての残材からの場合、116から178MtCO?相当量の範囲となる。可能性における変化は技術の選択、そして残材利用の強度による。最大のCO?回避可能性を持つ発電技術は、石炭同時燃焼である。 発電に森林副産物を使用する場合のコストの見積もりもなされた。コスト評価はある特定の国または統合された地域のレベルのみで行われた。これは、発電所の作られる国または地域の経済状態、利用されるバイオマス燃料の種類について分からなければ、バイオマス発電所の建設および運営のコストが決定されず、かといって世界のコストの平均をとるのは非現実的だったからである。見積もられたコストは変動が非常に大きく(約0.93から24.4c/kWh、割引率10%)残材の種類(木材加工残材または森林残材)と、利用発電技術と国によっている。最も安価な発電技術は石炭同時燃焼であり、最も安価な燃料は木材加工残材であり、これら原料は収集と取り扱いコストが最低限のため安い。森林残材を利用することは、運搬距離と利用技術の両方にもよるが、発電コストに約10%から50%の追加コストを加えることとなる。他の大きく異なるオプションのための資本コストと比べてきたが、このコストの変化は、残材収集の相対コストから発生する。 GHG緩和の相対コストは以下の間の通りである。それは、(@)異なる技術、(A)異なる国、(B)異なる残材タイプ、(C)異なる収集距離、これらについて発電のコストに反映される。 バイオマス発電の比較競争力を評価するために、異なる国について、バイオマス技術に基づく発電のコストを、石炭火力発電所からの電気コストと比較した。炭素税も、炭素回避に従う補助金のレベルも存在しない場合、異なる国における石炭発電によるコストは4.14から5.01c/kWhとなった。これらの見積もりに基づき、バイオマスを利用して作られた電力は、既存石炭発電所または複合サイクル発電所をベースとして石炭同時燃焼または平行供給を利用する場合、競争力を持つことになる。スタンドアロンのバイオマス発電所(火格子または流動床、ガス化技術)は石炭に対して通常競争力を持たず、$20/tonneCO?回避以上の税または財政支援が必要となる。$100/tonne CO?回避で、全てのバイオマス技術は競争力を持つが、運搬距離が例外的に長いカナダ(510km)、アメリカ(810km)は例外的に当てはまらない。 経済分析をするときに、電力は国の電力供給網に供給されるものとした。場所または国別の条件や、国のインフラにおける差異を考慮に入れることは出来なかった。しかし、たくさんの他のファクター、例えば地方における供給のアレンジなどは、バイオマス発電システムの競争力を大きく強化する可能性がある。 本研究では、特定の国のレベルと世界レベルで、森林副産物の利用に関連した電力量の潜在性、コストとCO?排出について表わしたが、CO?排出を相殺するために、発電においてバイオマスが化石燃料を代替するレベルに影響する多数の問題がある。2章においてはそれぞれの国のエネルギー産業についての概要が示された。それぞれの国は大きく異なったエネルギーの概略を見せた(すなわち全1次エネルギー供給での燃料源、エネルギー需要、そしてエネルギーの輸出入)。それぞれの国ではエネルギーの比較割合に際立った差異があり、すでに木質バイオマスからの供給を行っている部分もあった。5ヶ国において、林業副産物に由来する電力の持つかもしれない比較寄与について評価をするために、全エネルギー供給と電力供給の比較が表9-1に示されている。 表9-1 研究成果に基づく潜在的な新発電地域と、それぞれの国における全エネルギー供給と全電力供給の比較 エネルギー供給値は2000年の予測データに基づく。発電可能性のある値は石炭同時燃焼だけで、これは、最大のエネルギー生成可能量を持つからである。電力のパーセンテージは、2000年の予想全電力供給量に対して、林業副産物を利用する新しい発電の比較量に対応する。 代替について最大の可能性を持つ(コストや既存のインフラには関係なく)国はニュージーランド、フィンランド、スウェーデンであり、既存の全エネルギー供給の9から14%が新しい電力エネルギーとなる。しかし、これらの国々で可能性を最大限活かすことは難しい。これは、既存の石炭火力発電所の能力が不十分だからである。ニュージーランドには、大規模石炭火力発電所は1つしかない。アメリカのデータについてだが、林業副産物に基づく新しいバイオマス由来の電力の、全予想電力に占める割合は低い(3%)が、アメリカの電力の52%が現在石炭発電所で作られていることを考えると、そこには石炭同時燃焼システムの導入に非常に大きい好機があるかもしれない。 現在の木質バイオマス発電量と、可能性としての発電量の比較が表9-2に示されている。潜在的追加電力とは、石炭同時燃焼に基づいており、全ての潜在的森林および木材産業副産物が発電に利用された場合である。現在の電力値は、1996年のデータによる。 表9-2 木質燃料からの現在の電力生産と、森林副産物利用の新しい発電の可能性の比較 ニュージーランドは林業副産物に基づく潜在的全電力供給のパーセンテージの著しい増加を示している。これは、森林収穫の増加に伴い、林業副産物の利用可能になる量が大きく増加することによるものである。 林業副産物の利用に基づいた潜在的エネルギー生産の比較に加え、林業副産物の収集、輸送と利用の影響が全エネルギーに導かれるGHG排出にどのように効いてくるかを考察することも非常に有用である。表9-3に、現在の全エネルギー派生GHG排出と比べた、石炭同時燃焼における(また、全ての潜在的に利用可能な残材を利用)林業副産物利用から生じるGHG排出の比較割合が表わされている。 表9-3 全エネルギー生産からのGHG排出、そして木材加工または全森林副産物の利用から出てくるGHG 一般的に、森林副産物の利用は、既存の全エネルギー放出に比べて、GHG排出への寄与は比較的小さい量である。 もう1つの、バイオマス発電システムの導入に影響を与えるような重要エネルギー問題は、未来の燃料の供給である。各国のエネルギー環境の分析から、天然ガスの競争力と利用は未来の電力供給に取って非常に大事であることが明らかとなった。もし天然ガス供給が増加し、国際市場がこの資源に基づく電力のために発展したとすれば、未来の電力価格は下がるかも知れず、また化石燃料由来の電力の比較競争力を変化させる。 林業副産物を利用して生産される電力の潜在的可能量の分析をする場合、効率が良く有効な森林残材の再生が行われていることは一般的に仮定されている。しかし、このような再生は適切な造林的枠組みと収穫法;産業的木材生産の最適化;そして持続可能な森林管理システム、に依存している。この評価では、高品質の販売用木材を生産することが、森林資源の利用における最優先事項で、発電のためのバイオマスはシステムの副産物であると想定されている。これを考慮すると、忘れてはならないのは、エネルギーのための森林副産物の利用可能性は、ある程度は木材および木造品の競争的需要に依存する。林業木材生産品における木材コストが増加すれば、残材収集のコストも上がり、燃材を収集することで競争力を失うかもしれない。この評価で示されているコストは現在の収穫とその既存のコスト構造に基づいている。これらが将来どんな影響を受けるかは、まだ分からない。 バイオマスエネルギーが正味GHG削減に効果的に寄与するためには、原料は持続可能に経営されている森林から出たものでなければならない。現在の兆候で長期の生産性低下が起こる可能性がある。これは有機物のロス、物理的ダメージ、不十分な雑草コントロール、または養分の枯渇によるものだが、このような傾向は例外的である。森林副産物を収集することはバイオエネルギーの長期的枠組みに影響せず、進行中の森林の生産性と健康についてのモニタリングが重要となる。考慮の必要なさらなる環境問題は、森林残材が林床に残って、GHG排出をするのではないかという問題である。この件に関する評価は、適切な情報が入手できず、本研究では含まれていない。 さらなる研究に対する提案 森林副産物利用におけるさらなる研究は、以下の主要問題を含むべきである: ・ 生物エネルギーの枠組みの、本研究で行われたような石炭との比較ではなく、石油との比較。 筆者は、少なくとも2カ国を詳細に分析し、2カ国における発電所の位置を最適化し、電力コストとCO?排出を中央集中と地方分布のシナリオについて比較することをここに提案する。
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