T 制度・法律の動向
(3)ダイオキシン規制と木質バイオマスエネルギーの利用
 2002年を通して、木質バイオマス利用への機運は大きく高まっている。その背景には、一つに、2002年12月からの焼却施設の排ガスにおけるダイオキシン基準強化である。これにより、新しい排ガス規制に対応できない焼却炉の多くが休止・廃止に追いこまれている。
 このため木質系廃棄物の焼却費用が上昇する傾向にあり、従来、焼却処理されてきた木質系廃棄物のエネルギー利用に注目が集まっている。
 しかし、木質バイオマス発電やボイラーなどの導入には、石油などの燃料を使うものに比べ、設備の価格が割高であること、維持管理の人件費が高いこと、現時点では売電による収入がほとんど見込めないことなどの壁がある。
 また、建築廃材などを焼却する場合には、排ガスに対する住民の反対を生じかねないことや、間伐材など林業廃棄物の場合は、輸送コストがかさむといった問題がある。
 
 こうした状況の中で、木質バイオマス発電を軌道に乗せようという動きは、各地で出始めている。秋田県では、木材関連の企業・団体による出資で能代森林資源利用協同組合が設立され、杉を製材する際に出る樹皮などの廃材を発電や再資源として活用する森林バイオマス活用施設が、2003年2月の稼動を目ざして建設中である。施設は、出資企業の一つであるアキモクボード社の敷地内に設置され、森林組合員や非組合員から買い上げた廃材を乾燥処理して燃焼させ、発電する。発電した電気は、アキモクボード社の工場で使用する。*
 バイオマス・ニッポン総合戦略では、発電効率を上げるため、木質系廃棄物だけでなく、農業系廃棄物、一般廃棄物のうちの乾燥系バイオマスなどを地域で一括して集め、発電等に利用することを想定しており、木質系を含むバイオマス資源の利用促進の動きは、さまざまな問題を克服していく必要があるが、2003年にはさらに加速していくものと見られる。
 
    *出所:2002年5月10日付東京読売新聞    
 

 
 
   
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