民間・その他の動き


4.麻(ヘンプ)と素材利用の拡大

麻(ヘンプ)

 日本でも古来から衣服や縄に使われてきた麻(ヘンプ=大麻)は、近年、製紙、建材、自動車部品、化粧品、食用、エネルギーなど多様な用途に使える作物として、世界的に注目を浴びている。地球環境問題への対応や、先進国農業で競争力を持ちうる作物として、産業用大麻とも呼ばれる繊維用の大麻は、現在、日本と米国以外のほとんどの先進国で栽培が解禁されている。
 日本でも繊維や種子の利用は法的な問題がないため、大麻繊維製の断熱材をロックウール等の代替として採用する住宅メーカーも出始めている。

ヘンプオイル
 

 こうした動きの中で、2002年、麻の普及に取り組むNPO、企業などの協力により、ヘンプカープロジェクトが実施された。麻の実のオイルを改質したバイオディーゼルを燃料としたキャンピングカーが4ヵ月にわたり全国12,500kmを走破。各地でイベントや麻製品の販売を行った。
 こうした動きを受けて、全国各地で麻を使った地域開発の試みが行われ始めている。北海道の滝川市では「産業用大麻勉強会」が開かれ、農業関係者、企業、研究機関、行政などのメンバーが大麻の現状や特徴などについての理解を深め、産業化に向けての研究を進めていくこととなった。
全国を走破したヘン
プカー(CD-ROM
「ヘンプカープロジェクト
 2002」より転載)
 
 もともと麻布、美麻、麻生といった「麻」の名前のつく地名が多数見られるように、かつて麻は日本各地で栽培されていた。
 しかし現在、例えば広島県大朝町で麻を使った町おこしが企画されたが、マリファナの乱用をおそれるれる県が、栽培許可を出さないため、栽培ができないといった状況にある。*
 今後、食用、素材、エネルギーと総合的な利用が可能である麻(ヘンプ)が普及するためには、マリファナの乱用についての防止策と有用性への理解を深めていくことが不可欠となってこよう。
 
  参考:ヘンプカープロジェクトホームページ URL http://www.hemp.jp/hempcar.html
*2002年8月27日付中国新聞
 

 
 
   
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