2005年はEUの排出権取引制度開始で始まり、2月には、ようやく京都議定書が発効した。 EUのバイオマス普及の取り組みは群を抜いており、2004年のバイオディーゼルの生産量は193万tと前年比28.6%増。エタノールは49万t、15.6%増、ETBE(エタル・ターシャリー・ブチル・エーテル)は63万トンと大幅な伸びを見せている。バイオ燃料に関するEU指令では、2005年末に輸送用燃料の2%をバイオ燃料等にするよう規定しているが、この指令への対応のため、東南アジアでドイツのエネルギー会社がパームオイルを買い漁るという現象も見られた。
 米国のブッシュ政権は京都議定書からあくまで背を向け、8月に成立したエネルギー政策法でも、エネルギー業界への優遇が取りざたされている一方、国内のE85の普及促進などは進んでいる。

 中国では2005年2月、「中華人民共和国再生可能エネルギー法」が決議され、2006年1月に施行される。同法では、税、財政、価格面の優遇措置とともに、電力会社に再生可能エネルギー電力の購入が義務付けられている。中国の原油輸入の急増が原油価格高騰の一因となっており、省エネルギーや他の再生可能エネルギーも含めた対応策が国家の緊急課題となっている。
 2005年7月に先物市場で1バレルあたり70ドルを突破した原油価格高騰を受けて、東南アジア各国でも、バイオマス燃料の導入が熱心に行われているが、急激なパームオイル生産の拡大等による生態系破壊も懸念されている。