最近、中越地震や台風による水害、またパキスタン地震やスマトラ沖地震津波など大きな災害が相次いでいる。こうした災害時に被災者に必要なものの一つが「暖と灯り」である。電気やガスなどのインフラが遮断される災害時に備えて、薪などのバイオマスの備蓄は、有効な方法となろう。
 例えば、(有)モリネット*が開発した「防災倉庫イブリシンコンテナ」は、100人が救助体制が整うまでの3日間、最低限必要とする米、水、簡易トイレ、カマド、鍋、そして薪をコンテナにセットしたものである。阪神大震災や中越地震など実際の炊き出しの経験から生まれた。薪は、間伐材や製材廃材を木酢液に浸け燻製にし、火付きと保存性を上げたもの。こうしたコンテナを寺院に設置し、時折、訓練とイベントを兼ねて炊き出しを行うプロジェクトが進められている。
 「今の若い人は、火を熾(おこ)せない。コンテナというハード(モノ)だけ整えても、訓練していないといざという時、実際に使えない」境内にこのコンテナを設置した長寿院住職の篠原鋭一氏は、このように語る。「災害時に焚き火があれば、人が集まり、気持ちが癒される。非常時に人間を救うんです」
 バイオマスもまた、ハードと運用面のソフトが一体となってこそ、実際の役に立つのである。

防災倉庫 防災倉庫イブリシンコンテナ

*(有)モリネット tel:03-3783-3164