廃棄物発電



 日本では、多くの廃棄物はもともと焼却処理されている。焼却されている可燃ごみを「燃料」と考え、ごみを使って発電・熱供給を行うのが廃棄物発電である。
 ごみ焼却施設は都市またはその近郊に設置されるため、電力需要値に直結した電源となり、送電損失が少ない電源となる。
 全国にある一般廃棄物の焼却処理施設1900ヶ所のうち、1998年度末時点で9パーセントにあたる180カ所が発電設備を有している。ただし、大規模設備を中心に廃棄物発電が導入されているため、廃棄物焼却量比では8割近くに発電設備がある。
 同じく1998年度末時点での日本の廃棄物発電の設備容量は、一般廃棄物が78.6万キロワット、産業廃棄物が14.7万キロワットとなっている。産業廃棄物は、一般廃棄物の8倍程度の量が毎年発生しており、一般廃棄物に比べて、産業廃棄物処理場での廃棄物発電の導入が進んでいないのである。
 政府は、2010年の廃棄物発電の導入目標を500万キロワットと見込んでい る。

現在直面している課題

 廃棄物発電は、廃棄物を焼却する際に発生する塩化水素ガス等による金属腐食から蒸気条件を上げることができないため、発電効率が十数パーセント前後と低い。
 もう一つの大きな課題は、ダイオキシン対策と灰処理である。これら課題に対応するため、従来の発電技術の高度化の他、下表のような技術が開発され、導入されつつある。

名称 特徴
従来型 廃棄物の熱燃焼によりボイラーで蒸気を発生させ、その蒸気を過熱器で過熱し、蒸気タービンを駆動して発電する。
スーパーごみ発電
(リパワリング複合発電)
天然ガス等の補助燃料を使用し、廃棄物焼却炉の発生蒸気を再加熱し、発電効率の向上を図るもの。過熱源としてガスタービンの排ガスを用いる方法、独立過熱器を用いる方法などがある。
ガス化融解発電 廃棄物を熱分解し、熱分解ガスを燃焼させて蒸気を発生させると同時に、灰分解も行う方法。
RDF(固形化燃料)発電 ごみを固形化燃料(RDF)にして発電を行うもの。燃焼の安定化、添加したCaの効果等により排ガス性状が安定化し、高効率発電が可能になると言われている。

 表 主な廃棄物発電技術
 出典:NEDO資料(ホームページhttp://www.nedo.go.jp/intro/shinnene/haikibutu/1.html)より作成

 一般に廃棄物発電は、規模が大きくなるほど建設単価と発電単価が下がる(一般の火力発電も同じ)。しかし、廃棄物の場合、自治体毎に処理するべきであるという原則と、大量のごみを安定的に確保する必要があるという、ゴミ減量化、循環型社会構築とは逆行しかねない要素がある。実際、容器包装リサイクル法などの施行により、リサイクルが進むことによって、可燃性廃棄物発生量が減少し、発熱量が低下等することが予想されている。
 今後は、地域における一般廃棄物と産業廃棄物の混燃なども視点に入れつつ、環境負荷の低減と経済的な持続性をいかに実現していくかが課題となるものと思われる。

参考資料
資源エネルギー庁編『エネルギー2001』