中国の取り組み


 中国は、2年前にバイオマス、村落のハイブリッド電化システム、バガスコージェネなど再生可能エネルギーの商用化を促すための5ヵ年計画を策定し、このプロジェクト推進を支援するため、中国再生可能エネルギー産業協会(CREIA)が設立された。

 1999年3月、中国政府は、再生可能エネルギー導入拡大の阻害要因の克服を目的とする再生可能エネルギー早期商用化プロジェクトを発表した。このプロジェクト推進のための資金は2580万ドル(約28億円)で、中国政府が1150万ドル、国連が880万ドル、オーストラリアが253万ドルを拠出することになっている。

 CREIAは、新規技術開発、情報提供、産業界の教育訓練プログラムの提供等を行う。風力・太陽光発電と蓄電池を組み合わせた村落用ハイブリッド電力供給システムなどの他、バイオガスプラントの建設、中国南部の製糖工場におけるバガスコージェネの普及促進のために、フィジビリティスタディの実施などを推進している。

 中国は、嫌気性メタン発酵の実績を積んでおり、家庭用バイオガス発酵槽は600万個、企業規模のものが約500ある。しかし現在、メタン発酵しエネルギーとして利用しているのは、農業畜産廃棄物(液状有機廃棄物)の10%以下である。もし中小養豚業者の廃棄物をメタン発酵させると年間600百万m3のメタンが得られ、100MWの発電が可能となる。さらに、酒・食品関連作業の廃棄物をメタン発酵させると900百万m3程度のメタンガスが得られると想定されている。

 現在、バイオガスプロジェクトとして、商用プラントを3基建設中である。2基は大規模畜産業用、1基はアルコール製造業用である。後者は、年間18,000tのアルコールを製造する新鋭工場で、ここに建設するバイオガスプラントは、約1,500t/日の廃液を処理し、1日1万m3のバイオガスを発生させる。これら3基の建設費は300万ドルで、中国政府が200万ドル、国連のGEFが100万ドル拠出する。

 このプロジェクトにより、商用プラントの最適設計データを得て、中国に広く普及させようとしている。このためにプラント建設地域でワークショップを開催し、関係者の認知度を高め、事業投資の促進を目指している。

出所
NEF News Vol.8 No.3(2000年12月)