バイオマス資源は、途上国におけるエネルギー源として非常に有効であることが知られている。しかし、伝統的な薪炭材としての利用のままでは、持続的な管理がなされず森林破壊の一因となることもあり、さらに変換効率も低いため、将来性は乏しいのが現実である。 バイオマスエネルギーの利用は、今日、伝統的な利用から発展し、新しい技術の、実現可能性、実用的な面で大規模な範囲でのエネルギー供給が可能かどうかが重要である。 1-1.ガス化による熱と電力、メタノールと水素の生産 開発中のガス化装置を例にして熱分解によるガス化について議論する。応用分野についての議論では、発熱と発電、メタノールと水素を狙った合成ガスの生産を対象とする。今日商用化されている技術は、主に熱利用と発電である。 バイオマスのガス化により、非常に不均一な原料から均一なガス状燃料中間物を生産できるが、それらは信頼性の高い燃料として、暖房、工業プロセスへの適用、発電また液体燃料の生産などに使用できる。原料として利用できるバイオマスはさまざまなものがある。含水率50%の非常にクリーンな木質チップ、乾燥はしているが金属やその他の異物が混ざっている都市廃材、農業残渣、畜産残渣、汚泥、都市の固形廃棄物(MSW)中の有機成分などがそれだ。ガス化プロセスにより、これらの原料は炭素と水素を多く含んだ気体燃料に変換されるが、バイオマスの直接燃焼よりも、これらの気体燃料は利用しやすく、場合によっては効率や環境面で優位である。ガス化装置システムには、通常、バイオマス燃料処理システムと供給システムがあり、これがエアロック方式でガス化装置と連結している。通常、ガス化装置は耐熱加工された容器になっており、常圧あるいは高圧のいずれでも約850℃でガス化が起きる。 1-2.ガス化 ガス化に基づくプロセス設計は、ガス化の媒体、ガス化の圧力および反応装置のタイプに左右される。 ガス化の媒体 ガス化には、蒸気あるいは空気(または両者)中で、バイオマスを脱揮発成分化(devolatilise)し変換して、中あるいは低発熱量ガスを生産するプロセスが含まれる。空気を吹き込んだ、あるいは直接加熱されたガス化装置が、酸素と有機物間の発熱反応によりバイオマスを脱揮発成分化し、炭素を豊富に含んだ残渣炭を変換するのに必要な熱を供給する。これらの直接加熱ガス化装置では、加工処理を進める熱はガス化装置内部で生じる。空気が使用される場合は、結果として生成ガスは窒素で希釈され、一般的には約5〜6MJ/Nm3の乾燥基準カロリー値(dry-basis
calorific value)を持つ。 圧力 ガス化に基づく発電システムに二番目に重要な影響を及ぼすのが、ガス化装置の作動圧力である。これは、ガスタービンベースのサイクルを含むガス化発電システムの性能と経済面において特に重要である。通常、タービンは10〜20の圧縮比で運転され、タービン入口の圧力は1.0〜2.0Mpaになる。加圧されたガス化装置は直接タービン利用に適した圧力下でガスを生産し、その際効率が全体で最も高くなる。運転効率が最も高くなる圧力を適用するためには、多数の補助システムを開発しなければならない。信頼性のある高圧供給システムは、まだ商用化されていない。 1-3 ガス化装置のタイプ これまで開発された主要なバイオマスガス化装置システムは、以下の4種である:固定床装置、バブリング方式流動床装置、循環方式流動床装置、噴流床装置。 固定床: 固定床ガス化装置は、主に上向通風と下向通風に分類できる。上向通風は、最も旧式で単純なガス化装置である。上向通風ガス化装置は、固定ホッパー(大漏斗)や回転バルブにより供給原料が炉の上部から供給され、灰を取り除く火格子に下向きに供給原料が流れる逆流装置である。ガス化媒体である空気あるいは酸素または蒸気は、火格子の下から炉に入り、炉の上部から抜ける。通常、炉から出てくるガスの温度は80〜100℃である。 バブリング方式流動床: 気体−固体流動床では、ガスの速度が速いため固形粒子が広く分離し、自由に層を移動している浮遊粒状物質層をガス流が通過する。その過渡的な床の全体の循環サイクルとしては、ほとんど固体を含まないガス流は経路を上向きに流れ、固体のかたまりは下向きに流れる(Perry、Chilton
1973)。流動床は沸騰している液体のようで、流動性の物理的特性を持つ。流動床を用いたバイオマスのガス化では、空気、酸素または蒸気がガス化剤に使用され、流動床の固体粒子には通常、砂、石灰石、白雲石またはアルミナが用いられる。 循環方式流動床: バブリング方式流動床のガス流を多くすると、ガスの気泡が大きくなり、流動床に空所ができたり、かなりの量の固体が運び去られるようになる。このタイプの床は乱流層と呼ばれる(Babcock、Wilcox 1992)。循環方式流動床では、乱流層の固体粒子は回収されると共に、ガスから分離され、循環輪を形成しながら流動床に戻ってくる。循環方式流動床は、高密度の固体層と低密度の固体層が明確に分離していないことからバブリング方式流動床と区別できる。循環方式流動床の密度はおよそ560kg/m3で、バブリング方式流動床の密度はおよそ720kg/m3である(Babcock、Wilcox 1992)。低密度の流動床を実現するために、ガス比率がバブリング方式流動床の1.5〜3.7m/sと比較して9.1m/sまで引き上げられた。循環方式流動床の固体粒子残留時間は、固体粒子循環率、固体粒子の摩損および固体粒子分離装置の回収効率に左右される。 噴流床: 噴流床ガス化炉では、粉砕した供給原料を乾燥または泥漿状態で、比較的多量の酸素と一緒に空気流反応装置に連続的に投入する。追加酸素による高温が油やタールを完全に破壊する。高温(通常1,300〜1,400℃)なので、灰分もたいていの場合は液体スラグとして除去される。これらのガス化装置は石炭用に開発され、限られたバイオマスで試験したものが運転されている。バイオマスで応用するには不十分な理由が数多くあるが、供給原料の含水率を低いレベルまで下げる費用、および粒子サイズを小さくするための費用が高いことが主な懸念事項である(Larson、Katofsky 1992)。石炭用の噴流層ガス化炉は、Shell、TexacoおよびKoppers-Totzekにより開発された。 2.大規模ガス化装置 米国および欧州で、主に熱供給と発電分野を市場としたかなりの数の大規模ガス化装置が開発されている。Foster Wheeler低圧循環方式流動床ガス化装置は、フィンランドおよびスウェーデンで数年前から商用運転されており、石灰窯稼動用のガスを供給している(Wilen、Kurkela 1997)。以下の議論では、開発の途中にある多くのガス化装置についての簡単なコメントも含んでいる。 2-1.IGT/Carbona ガス技術研究所(Institute of Gas Technology / IGT)は、バイオマスを低または中程度の発熱量ガスに変換するRENUGASRガス化技術を開発した(Lauら
1993)。バイオマスは、加圧一段(single-pressurised)バブリング方式流動床ガス化容器に入れられる。不活性アルミナ粒が深部の流動床を形成し、安定した流動状態と必要な高温を供給する。これにより燃焼による放出エネルギーが効果的に転移され、吸熱脱揮発成分反応(endothermic
devolatilization)およびガス化反応が起きる。不活性物質の一段床(single-stage bad)を使用することにより、一酸化炭素への変換量が上がる。供給原料は、高速スクリューにより流動床内部へ供給される。このプロセスは、原料供給速度10.9Kg/日まで、圧力3.45MPaまでの安定状態運転で連続250時間以上テストされている。実験パラメーターには、ガス化温度、圧力、供給原料含水率、供給原料タイプ、投入蒸気、層触媒、流動床高さおよびガスの表面速度が含まれる。ガス化に使用される供給原料には、カエデチップ、一本の木を丸ごとチップにしたもの、カリフォルニア・ハイウェイの刈り込み材、藁、廃棄物派生燃料、樹皮および製紙工場スラグ、ハワイのバガスおよびアルファルファが含まれる。 2-2.Carbona/Kvaerner IGTのRENUGASR(Uガス)技術の変種が石炭用に開発され、その後様々なバイオマス供給原料用に拡大されていった。本来の開発者はTampella
Power, Inc.で、スウェーデン国営電力庁Vattenfallと共にEnviropowerと呼ばれたジョイントベンチャーにより開発した。1996年にTampellaは、Kvaernerに買収された。Tampellaのガス化分野で働いていた社員たちは、Carbona
Corporationという小さな会社を設立した。Kvaerner/Carbona加圧型流動床ガス化装置の試験的工場は、IGTのUガスガス化装置に基づいており、研究用、構成要素テストおよびIGCC(統合石炭ガス化複合サイクル)応用プロセスの完成のためのあらゆる基本的単位(モジュール)を含む。最大熱投入量は、15MWである。ガスタービンでの燃焼に適した低発熱量ガスを生産する加圧一段流動床ガス化装置は、最高3.04MPa、1,100℃で運転させることができる。3,000Mg以上の、木質中心のバイオマスのガス化は、9,000時間以上運転されている。 2-3.Foster Wheeler Energia OY (Ahlstrom) Foster Wheeler Energia OY(旧A. Ahlstrom OY, フィンランド)は、加圧循環方式流動床ガス化装置を数年にわたって開発してきた。この開発は、スウェーデンのVarnamoで、ついに実証ユニットが建設され、運転が開始されている。ユニットの設備能力は、およそ82トン/日で、高温ガスの浄化にセラミックフィルタを用いる。複合サイクル運転による工場の発電能力は、Alstom
Gas Turbines Ltd.(旧Europian Gas Turbines)のTyphoonシリーズガスタービンによる約4MWe、ボトミング(bottoming)蒸気タービンによる2MWeである(Stahl、Neergaard
1998)。およそ9MWthの温水も地域熱供給用につくられている。1993年からガス化が開始され、1995年の秋には最初のタービン運転が始まった。 2-4.Thermiska Processor The Thermiska Processor(TPS)ガス化装置プロセスは、低圧、空気吹き込み、循環方式流動床で、主なガス化段階の後に二次循環方式流動床分解装置へと続く。分解装置では、ドロマイト(dolomite、マグネシウムと炭酸カルシウムの混合物)がタールをガスや低重量分子の気化ガスへと変換させる触媒として用いられる。タール分解装置は、水冷作動中に生成ガス蒸気から取り除かれた有機物量を減少させ、そのため利用可能な生産物の回収を最大化し、水処理費用を最小化する。TPSプロセスは、もう何年も開発の途中にある。1992年、イタリアのAsaldo
Aerimpianti SpA(Barducciら 1997)が二層ユニットを商用化のためにイタリア、Greve-in-Chiantiに設置した。Greveユニットは、ペレット状に固めた廃棄物派生燃料を燃焼させ、30MWthの複合発電能力を持つ。廃材や農業廃棄物を利用した限定運転も行われている。工場で生成された燃料ガスは、発電用の蒸気発生用ボイラで燃焼されたり、隣接した石灰窯運転の燃料として使用される。 2-4. Battelle Memorial Laboratory 1977年からオハイオ州のColumbusにあるBattelle Memorial Laboratory(Paisley、Overend
1994; Paisleyら)は、the Battelle High Throughput Processと呼ばれる間接加熱式バイオマスガス化プロセスを開発してきた。オハイオ州West
Jeffersonで2MWthのガス化装置が1980年から運転されてきた。Battelleガス化プロセスでは、ガス化段階において、空気や酸素を使用せずに中発熱量ガスを生成する。このプロセスでは、バイオマスを中発熱量ガスと残渣炭に変換させるガス化反応装置、および残渣炭を燃焼させる燃焼反応装置(残渣炭は燃焼してheat
sandとなり、ガス化に必要な熱を供給するために循環した後、ガス化装置に戻る)の2つの反応装置を使用する。Battelleプロセスでは、バイオマス供給原料が持つ高い反応性を利用するため、循環方式流動床反応装置を使用しており、3.90kg/s-m2以上の処理量を実証している。 2-5. Producer Rice Mill Energy Systems Producer Rice Mill Energy Systems(PRM)は、主にコメの籾殻加工に焦点を合わせたガス化システムを開発した。PRMのシステムは完全に商用化されたガス化システムで、米国、オーストラリア、コスタリカ、マレーシアの国々で13の施設(30〜300トン/日規模)が運転されている。規模に幅があるため、PRMガス化装置は、大規模施設と小規模施設の両方に分類できる。PRMガス化装置は穴あき火格子(perforated grate)の下に3つの空気層を持つ撹拌床を使用し、通常はボイラに密閉連結型(close-coupled)になっている。大鋸屑、樹皮およびMSWを含むその他の供給原料についても研究されている。 3.小規模ガス化装置 多くの小規模ガス化システム−本議論の目的では5MWe以下のもの−は第二次世界大戦の開始以来開発されてきたが、成否は様々であった。第二次世界大戦中、欧州諸国の多くは化石燃料の入手が困難であったため、民間輸送を小規模ガス化装置に頼っていた。その当時、100万基以上のガス化装置が使用されていた(Reed、Gaur
1998)。第二次世界大戦後は、石油製品を利用する方が便利で経済的になったため、バイオマスを用いた小規模ガス化は廃れていった。1970年代半ばの石油価格の急騰で、主に途上国での利用と欧州での地域熱供給用として小規模ガス化に対する関心が再び戻った。 3-1.Bioneerガス化装置 Bioneer ガス化装置は、輸入燃料を泥炭や木材といった費用の安い国産燃料で代替するために、フィンランドのVTTによって1970年代後半に開発された。研究開発は1980年代半ばに行われ、1985〜86年には多くのBioneer施設が立ち上げられた。Foster Wheeler Energia OYによる別の施設が1996年に建設された。Bioneerガス化装置は固定床、上向通風型で、高レベルのタールを産出する。Bioneerガス化装置システムにはガス冷却装置および浄化システムを取り入れておらず、ガスエンジンあるいはガス分配利用に適していない。全システムにおいて、高温生成ガスはすぐさまガスボイラで燃焼され、地域熱供給用の蒸気または温水をつくる。 3-2.Rural Generation Limited アイルランド北部のLondonderryにあるRural Generation Limitedは、発電と穀物・木材の乾燥および家庭暖房用の熱生産を目的とした暖房熱電併給システムとして、下向通風ガス化装置(もともとアイルランド北部のEnniskillenで開発された)を商用化してきた。ガス化装置で生成されたガスは、IVECOディーゼルエンジン用の燃料として二元燃料(ディーゼルとバイオガス)モード(dual fuel mod)で使用される。ガスの浄化は、サイクロン、水噴水(water bubbler)、乾燥フィルタと連続して行う。原料として木材残余物を80kg/hrの割合で供給しているが、1999年冬にはヤナギ(willow)へ転換する。発電量は115kWh/hrで、うち80kWh/hrがバイオガスである;バイオガスの比率は許容エンジン入口温度で制限されており、燃焼するガスもある。ユニットは今日までにおよそ1,500時間運転されている。 3-3.Brussels自由大学/Dinamec Brussels自由大学(Free University of Brussels)とDINAMECは共同で、間接加熱式ガスタービンを動かすためにガス化システムの原型を建設・運転している。事業の規模は500MWeで、廃材を燃料としたコジェネレーション方式である。バイオガスはガス化装置で生成され、その後密閉連結型燃焼器に供給される。燃焼器からの高温煙道ガスの熱は、熱交換器によりガスタービンの圧縮機から排出される空気に与えられる。加熱加圧された空気は、その後発電用に拡張タービンへ送られる。熱交換器を出た煙道ガスは、地域熱供給用の温水を温めるために使われる。タービンから排出された空気は、燃焼器の燃焼用空気として使用される。このシステムの利点は、タービンの汚染がないことである。不利な点として可能性があるのは、ガスを燃料とした直接タービンシステムと比較した場合、効率が低い点である。 3-4.インドのガス化装置 1980年代から90年代にかけて、インドの非従来的エネルギー源省(Ministry of Non-Conventional Energy
Sources)の実地教授プログラムが牽引力となって、数多くのガス化装置がインドで開発された。何百もの小規模下向通風ガス化装置(シャフトパワーの規模が4〜500kW)が、主に熱エネルギー、シャフトパワーあるいは発電用の圧力エンジンの燃料として建設・運転されてきた。主に、灌漑用水の汲み上げなど農業分野で利用されてきた。インドにおけるガス化研究に関わる機関は、国立技術研究所(India
Institute of Technology)(ボンベイ)、国立科学研究所(Indian Institute of Science)(バンガロール)およびAnkur
Scientific(バロダ)である。インドでのバイオマスのガス化システムについては、IITのParikh教授が良く総括している(Parikhら
1994)。インドにおけるガス化開発に関するその他の参考文献には、Mukundaら(1993)、Parikhら(1989)、Gaurら(1985)がある。 3-5.中国のガス化装置 小規模ガス化システムの開発は、山東省科学アカデミー(Shandong Academy of Sciences)により行われてきた(Overend 1998)。バイオマス(木材、廃材、麦や米の藁および肥料)は、下向通風ガス化装置により低発熱量ガスに変換される。汚染粒子・タールの除去後、小規模村落用の集中ガス供給システムにより各家庭に配給される。山東地方では、14基のガス化システムが運転されており、北京地域では100〜200世帯用の実証システムがある。XFF-2000下向通風ガス化装置は時間あたり500Nm3のガスを生成し、効率は72〜75%と報告されている。圧縮エンジンとスターリングエンジン発電機を利用した発電についても研究されている。 4.メタノールおよび水素の生産 このセクションでは、バイオマスからのメタノールと水素の熱化学的生産について再考し、そのプロセスの経済性について短く論じる。合成ガスを生成し、それから触媒反応によりメタノールおよび水素を生産するバイオマスのガス化技術が、現在の見込み、短期的な影響の可能性および産業界の関心の大きさなどに基づき研究・開発されている。蒸気改質の触媒化学、水性ガスシフト(water gas shift)およびメタノール合成の詳細については述べられない。それらのプロセスに関する触媒化学についは、Twigg(1989)を参照のこと。合成ガスの液体燃焼への変換に関する一般論についてはMills(1993)を参照のこと。 4-1.メタノール生成技術の特徴 バイオマスからの熱化学的メタノール生成には、メタノールの触媒反応により変換されるH2およびCOを多く含んだ合成ガスの生成も含まれる。合成ガスは熱分解によるガス化作用により生成される。バイオマスからのメタノール生成に含まれるユニット作業は、次の分野に分けられる:1)供給原料の準備、2)ガス化、3)合成ガスの調整、4)メタノール合成および精製。 4-2.メタノールのエネルギー収支と経済性 このセクションでは、バイオマスからのメタノール生成の予備的なエネルギー収支および経済性について紹介する。生成コストは、石炭用の商用化ガス化装置の実現可能性を考慮した値、およびバイオマス用に特別に開発されているガス化装置が商業利用で成功すれば得られる将来的な値で表される。バイオマスからのメタノール生成の経済性は、Chem
Systems(1990)が旧太陽エネルギー調査研究所(Solar Energy Research Institute)、現在の国立再生可能エネルギー研究所(National
Renewable Energy Laboratory / NREL)のために実施した研究に基づいている。この研究の中で、予備的経済評価は二つのメタノール生成システム、LPO
指定のKoppers-Totzek(K-T)ガス化装置を使用したもの、もう一つはHPO指定のIGT-RENUGARガス化装置を使用したもの、用に開発された。さらにNRELは、BCL指定のBattelle
Columbus Laboratory(BCL)のガス化装置(Bain 1991;Wan、Fraser 1989)に基づいた間接的メタノール生成システムの予備的経済評価を開発してきた。これらの経済評価はまた、Princeton大学(DeLuchiら1991;Larson、Katofsky
1992)が開発した経済評価と比較された。Princeton大学の研究は、IGTプロセス、BCL、Wright MaltaおよびShellのガス化装置を対象とした。 4-2.水素生成 水素生成は、石油精製工業分野では商用化された技術であり、天然ガスや精製燃料ガス、液化石油ガス/ブタン、ナフサなどの軽重量の炭化水素を、水素処理用、水素分解用、あるいはその他の精製用、石油化学用、治金用、および食品加工用の水素に変換するために蒸気改質および精製技術が用いられている。Foster
Wheeler、Haldor-Tapsoe、Haword Bakerといった多くの製造業者が、ユニットを提供している(Hydrocarbon
Processing 1992、1994)。燃料石油などの重い炭化水素も、Texacoが行っているように部分的酸化加工(Gary、Handwerke
1984; Hydrocarbon Processing 1994)により水素を生成する。合成ガスの変換については、蒸気改質も選択肢として考えられる。
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