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トピックス バイオマス発電の拡大と影響

1 再生可能エネルギー電力固定価格買取制度(FIT)導入後の概観

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1. FITによるバイオマス発電の拡大と課題

FITが2012年7月に開始されて、3年が経過した【*1】。当初、太陽光発電に集中していた認定・稼働だが、しだいにバイオマス発電も増加し、2015年3月末時点で認定件数は280件、認定容量は200万kWに上り、そのなかでも未利用木材と一般木質バイオマス発電が約170万kWと8割以上を占めている(下表)

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表:FITにおけるバイオマス発電稼働・認定状況

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出所:経済産業省HP【*2】

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2. 未利用木質バイオマス小規模の買取価格区分の新設

FITのバイオマス発電では、規模別の買取価格となっておらず、特に規模が大きくなるほどコストが低くなる直接燃焼の木質バイオマス発電では、5,000kW以上の規模でなければ採算を取りにくいが、10万㎥程度の木質チップを必要とするため、導入できる地域が限られていた。

そのため、より小規模で買取価格の高い買取り区分の設置を要望する声が多く上がり、2015年4月より、未利用木質バイオマスに2000kW未満で40円/kWh(税別)という区分が新設された。小規模の木質バイオマス発電は、ドイツなどでは増加しているが、日本ではまだ導入数は少ない(下表)。

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表:日本で導入された小型木質バイオマス発電機の事例

(報道資料等よりバイオマス産業社会ネットワーク作成)

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この他、三菱重工のグループ企業となったターボデン社のオーガニックランキンサイクル(ORC)発電システムや、ティッセンクルップ社の2000kW未満の木質ガス化などの参入も始まりつつある。

このうち、木質ガス化発電は、小規模でも発電効率が高いがペレットやチップなどの高い燃料品質を要する傾向がある。木質バイオマス発電はまだ技術的困難も大きいため、これまで木質バイオマス利用が行われていなかった地域では、より導入が容易な、ボイラー、ストーブ等の熱利用から経験を積む方がリスクが少ないと考えらる。

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表:2012年以降に稼働・建設・計画されている主な木質バイオマス発電事業

作成:バイオマス産業社会ネットワーク 出所:経産省資料、事業体HP、報道資料等

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規模の単位は、kW。黄色部分は稼働。PKS:オイルパーム(アブラヤシ)の残さであるパームヤシ殻。
作成:バイオマス産業社会ネットワーク 出所:経産省資料、事業体HP、報道資料等

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3. 接続保留問題とバイオマス発電

FITによる再生可能エネルギー発電設備認定容量は、2015年3月末時点で8,768万kWに急増し、その約9割が非住宅太陽光である。2010年の日本の電力容量の合計は約2億kWであり、その半分近くに相当する。太陽光のように不安定な電源が急増したことから、安定的な電力供給が困難になるとして、2014年9月、九州電力は再生可能エネルギー開発事業者の系統接続申請に対し、「回答を保留する」と発表した。北海道電力、東北電力、四国電力も後に続き、沖縄電力も再生可能エネルギー発電設備の接続申込みの接続可能量の上限に達したと公表した。

これを受けて経済産業省は、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会系統ワーキンググループを開催し、新たな出力制御ルール・FIT運用見直しについてとりまとめた。その核心部分は「接続申込量が現行ルールでの接続可能量を既に上回っている又は上回ると見込まれる電力会社に対しては、無補償での出力制御を受ける可能性があることを前提に接続することを可能とする」としている。

こうした制度では、再生可能エネルギー事業者の収入が確定しにくくなり、(実際には無補償の接続可能量がそれほど多くないとしても)事業の見通しが立たず、金融機関からの融資を受けることが困難になる可能性がある。このとりまとめで、バイオマスはこれまでこの出力制御で、真っ先に出力抑制の対象となる化石燃料火力と同様の扱いだったのだが、今回、①(バイオマス混焼を含む)火力発電 ②バイオマス専燃発電 ③地域バイオマス発電 ④太陽光、風力 の順となった。出力制御の困難な地域バイオマス発電は制御の対象にならない【*3】。

太陽光の突出した増加を調整し、経済的・社会的コストを最小化しながら、再生可能エネルギーを増していくことが重要であろう。

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4. 長期エネルギー見通しにおけるバイオマス発電

2015年6月にまとめられた長期エネルギー需給見通しにおいて、「自然条件によらず安定的な運用が可能な地熱・水力・バイオマスにより、原子力を置き換えることを見込む。立地面等の制約を踏まえつつ実現可能な最大限まで導入することを見込むが、こうした制約の克服が難航した場合には導入量の伸びが抑えられる」として、2030年のバイオマス発電の導入見通しは602〜728万kWとなっている【*4】。この中でも特に、一般木材・農作物残さの区分で274万〜400万kWと大きな部分を占めている(下表)。

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表:2030年におけるバイオマス発電の導入見込み量

表:2030年におけるバイオマス発電の導入見込み量

出所:長期エネルギー需給見通し小委員会第10回会合資料

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400万kWの木質バイオマス発電では、8,000万㎥程度の木材が必要となる計算になる。パームヤシ殻(PKS)等の作物残さの輸入可能量もそれほど多くなく(コラム①参照)、世界の木材貿易量12,7000万㎥(2013年)程度のうち、、日本がすでに輸入している5,000万㎥を加えると、世界の木材貿易のほぼ全量を日本が輸入することになるという、非現実的な数字である。

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