バイオ燃料の持続可能性に関する要請を関係各省に提出 「輸入バイオ燃料に、環境・社会面のガイドラインを」

                                                      2006年6月5日

国際環境NGO FoE Japan、財団法人地球・人間環境フォーラム、森の生活、日本・ブラジルネットワーク、
グリーンピースの5団体及び13個人(泊みゆき/NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長ほか)は、
本日、内閣府、農林水産省、経済産業省、国土交通省に対し、バイオマス燃料利用の推進に当たって、
①国産・地域産のバイオマスの利用を優先すること、②バイオマス燃料の輸入に際しては、生産地および
加工過程における環境・社会問題のより少ないものを優先すること、③原料調達の際のサプライチェーンの
把握と透明性の確保などを柱とするガイドラインを作成すること――などを求める要請書を提出した(別紙)。

環境団体等は、「バイオ燃料の急激な輸入の拡大は、原料の生産地において大規模な森林の減少などに
拍車がかかるなど、温暖化防止対策に逆行し、持続可能性に反するさまざまな問題を生みかねないおそれ
がある」としている。

現在、日本政府は、温暖化防止という観点からバイオマス利用の促進のため50万キロリットル(原油換算)
のバイオマス輸送用燃料の導入を見込んでいる。しかし、このバイオマス燃料の大部分(90.8~92.8%)は
輸入になる見込みであると、環境省の「エコ燃料利用推進会議」が試算している。

海外ではガソリン代替のエタノール(原料:サトウキビ等)やディーゼル代替のBDF=バイオディーゼル燃料
(原料:パーム油等)の原料である植物をプランテーションで大量に生産し、自国での消費に加えて輸出する
動きが見られるが、この大規模なプランテーションの開発が生産地において環境・社会問題を引き起こして
いることがある。

例えば、バイオマス燃料として有望視されているパーム油の生産のためのオイルパーム・プランテーションの
急速な拡大は、東南アジアにおける森林減少の要因の一つとされており、大規模な森林生態系の転換、
用地取得に伴う地元住民の権利の侵害、不適切な農薬の使用による水質・労働者の健康への影響、
低賃金・危険作業等の労働問題、廃水問題などの環境・社会問題が生じている。

今回の要請書は、こうした生産地の問題について警鐘を鳴らしたものである。
なお、環境団体等は、先月12日、同様の要請書を、環境省に提出している。

 

別紙:バイオ燃料の持続可能性確保に関する要請~特に輸入バイオ燃料に関するガイドライン策定など

添付資料1:パーム油生産の環境・社会影響について

添付資料2:RSPO 持続可能なパーム油のための原則と基準(仮訳)

添付資料3:議論を呼んだプランテーション開発の事例-カリマンタン国境における巨大プランテーション事業

 

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