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2011年の動向
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2011年の動向

3. マテリアル利用の動向

世界的な石油価格の上昇リスクの備えという視点から、2011年はバイオマスのマテリアル利用の研究や実用化が大きく進展した年であった。

バイオマス・プラスチック分野では、トウモロコシ由来のポリ乳酸が主流だったが、ブラジルのブラスケン社によって生産能力20万トンと量産化が始まり、日本でも輸入され、レジ袋やポリ袋が製品化された。原料は、サトウキビを搾った時に発生したかす(廃糖蜜)からバイオ・ポリエチレン(PE)を製造している。日本バイオマス製品推進協議会によると、国内の市場でバイオPEが5万t、ポリ乳酸6,000tとバイオPEの利用が一気に普及した感がある。バイオマス由来の製品は、バイオマスマーク及びバイオマスプラマークの新規登録も着実に点数を増やしている。例えば、コカ・コーラのお茶やミネラルウォーターに約30%の植物由来樹脂を使ったバイオPET(ポリエチレンテフタレート)がある。この原料は、サトウキビの廃糖蜜を発酵・精製してエタノール、エチレンを経てつくられている。

植物由来のプラスチックの代表格であるポリ乳酸には、耐熱性が低く、成形性に劣るという課題があり、石油系樹脂の代替として使うことが難しい側面があった。しかし、帝人では結晶構造を変えることで石油系ポリエステル(PBT,PBT)に匹敵する融点、210℃以上を有した「バイオフロント」を商品化し、マツダの水素エンジン車のシート、メガネフレーム素材等に採用されている。また、山中産業は、ユニチカの協力により従来のナイロン製の紅茶のティーバックをポリ乳酸「テラマック」に変え、耐熱性や強度を同様にし、生分解性をもたせたものを販売している。

石油系樹脂の単純な代替だけでなく、高機能なエンジニアリング樹脂分野を植物由来にする動きも盛んである。大手のデュポンでは、遺伝子組み換え微生物でプロパンジオールを発酵生成したあと、石油由来のテレフタル酸と鎖状に重合させてPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)を製造している。この原料は、トヨタのプリウスαのエアコンの吹き込み口に採用されている。また、トウゴマから採れるひまし油由来のポリアミドは、300℃を超える高融点(耐熱性)のある素材が開発され、デンソーのラジエータタンク等に採用されている。

様々な国内のバイオマス原料からのプラスチック製造も進められており、例えば、バイオマステクロノロジーが進めるお米のプラスチックでは、九州地域でコストと農業振興と地域循環を目指した事業計画が進められ、ユニオン産業では、小麦のフスマや竹を配合した樹脂を展開している。

写真:米と麻を混合したINASO樹脂でつくられた団扇

写真:米と麻を混合したINASO樹脂でつくられた団扇

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研究開発では、木質バイオマスの一種のヘミセルロースから中間原料のフルフラール(FRL)を製造する技術を王子製紙が担当し、様々な化学品の原料となるテトラヒドロフラン(THF)の製造プロセスを三菱化学が担当するプロジェクトも進められている。

木質資源をベースとした林業と化学産業の連携は、原料の生産量に応じた中小のバイオマス・プラスチックの製造拠点ができることが望ましいと考えられる。様々な国内のバイオマス原料からプラスチックを製造する試みは、地域の活性化に役立てられることが期待される。

<赤星 栄志(Hemp-revo,Inc. COE)>

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コラム4 バナナ・テキスタイル・プロジェクト

バナナは世界120以上の国・地域で、年間約1億トン(実)が生産されているが、同時に10億トンもの茎や葉が廃棄されている。

多摩美術大学は、バナナの偽茎から薬品を使用せず繊維を抽出して糸をつくり、織布を生産する技術開発やデザイン研究を行い、途上国に発信する「バナナ・テキスタイル・プロジェクト」を行っている。

教員の研究活動として2000年から始まったこのプロジェクトは、様々な分野の支援や参加を得ながら拡大してきた。2006年からは「地球環境問題とデザイン教育」を連携させた環境教育として開講。授業では、学生の専門分野であるデザインに重点を置きながら、地球環境問題、途上国へ支援のありかた、問題点の把握などを学んでいる。

2008年のアフリカ開発会議(TICADⅣ)の際には、学生が各国の国旗や象徴をモチーフにデザインしたバナナ織布の法被を、バナナ産出国の大統領に贈呈。これをきっかけに、ウガンダ、ルワンダ両国大統領から招聘され、プロジェクトメンバーは両国を訪問し、セミナーやワークショップを実施した。その後、ウガンダから2名、ルワンダから3名の研修員が訪日し、近い将来、ウガンダ国内にバナナテキスタイル研究所が設立されることが期待されている。ウガンダ国内のブサバラでは80人の女性が持続可能な経済活動に携わっており、ここでバナナテキスタイル製品も扱う予定である。

これまでに、研修員の来日やワークショップ開催などで、ウガンダ、ルワンダ、エチオピア、ケニア、タンザニア、ラオス、フィリピン、ドミニカなど多数の国々と協力を行ってきた。

例えばラオスでは、青年海外協力隊員がバナナ・テキスタイル・プロジェクトのホームページを見たことをきっかけに、国際協力機構(JICA)からの依頼を受け、多摩美術大学の学生たちが、一村一品プロジェクトとして、農村の女性たちにバナナ繊維の製品制作の指導を行った(写真)。現地の織機をつかったバックやプレースマットなどの生産が始まり、村の販売所やラオス国内のイベントで好評を得て、小売店から定期的な注文を受けるまでになった。

ラオスの農村の女性たち1
ラオスの農村の女性たち2

写真提供:多摩美術大学

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こうした活動は、学生にとっても非常によい経験となり、持続可能な社会づくりへの確実な一歩となるだろう。


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