NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
2004年の動向
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 下の表は、2004年の国の主なバイオマス利用推進策をまとめたものである。
 2004年は、2年前に決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」を受けて、バイオマス利用推進に向けての具体的な政策が本格的に動き始めた年となった*1。自治体、事業者、NPOなどのバイオマス利用事業に関連する助成制度も、バイオマス等未活用エネルギー実証試験事業・同事業調査、バイオマス利活用フロンティア推進事業など多数あり、2005年度からは、バイオマスの環づくり交付金、クリーンエネルギー地域内自給支援、再生エネルギー高度導入地域整備等の新設も行われることになっている*2。


表 2004年の各省庁の主なバイオマス利用推進策
官  庁
推    進    策    の    内    容
内 閣 府
総合科学技術会議の開催等
農 水 省
バイオマスタウン構想
自治体がバイオマスタウン構想書を策定、それを広く一般に公開し、バイオマスの環づくり交付金により支援
農 水 省
バイオマス生活創造構想事業 H16〜18 バイオマス由来のプラスチックの利活用を推進するための技術・研究開発、普及啓発や導入支援
林 野 庁
木質ペレットの規格化 2005年度に業界に研究会を発足させ、2、3年かけて自主的にまとめる予定
木質バイオマスの利用推進 急傾斜地用の伐採搬出機械の開発推進、木材チップ安定供給体制構築に向けた指針の作成・普及等
経済産業省
新エネルギー産業ビジョンの策定 新エネルギーの市場環境整備により産業として競争力を高める政策への転換
経 産 省
国 交 省
環 境 省
バイオマス燃料導入の推進 バイオマス燃料導入の課題等の取りまとめ、バイオディーゼル燃料規格化、バイオエタノール3%混合ガソリン(E3)実用化に向けた給油実験等(経産省)、バイオディーゼル燃料専用車の安全・環境性能についての評価実施(国交省)、E3普及のためのロードマップに基づく普及策促進(環境省)
国土交通省
循環型社会構築の形成に向けてのバイオマスの有効活用 積雪寒冷地のおけるバイオガスプラント技術の普及に向けたマニュアル等の取りまとめ、ディスポーザー普及時の影響についての委員会の開催等
環 境 省
環境と経済の好循環のまちモデル事業 環境と経済の好循環を実現し、その取り組みを国の内外に普及させるモデル事業の実施
廃棄物処理の合理化 小型焼却炉設置(200kg/h未満)の基準を緩和

文部科学省

一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化実証プロジェクト H16〜18 廃棄物・バイオマスの再資源化のためにエネルギー変換効率の高いガス化実証プラントを開発、実用化と普及のための社会システム設計に関する研究開発の実施
経 産 省
愛知万博(2005年3月開幕) 生ごみのバイオガス利用、バイオマス・プラスチック製食器の利用、バイオガス発電・燃料電池・太陽光発電などを組み合わせたマイクログリッドの構築
経 産 省
環 境 省
CDM/JI(海外における温暖化防止事業) CDM/JI事業の政府承認申請の受付を開始。バイオマスの利活用に係わるJI/CDM事業の実現可能性調査の実施、CDM認証モデル事業
*1 バイオマス・ニッポン総合戦略について詳しくは、 バイオマス白書2003および
    http://www.maff.go.jp/biomass/index.htm等を参照のこと
*2 2004年度のバイオマス関連助成制度は、 「バイオマス関連補助制度等ガイドブック2004
    (九州地域バイオマス関係機関連絡会議)等参照


文科省のプロジェクトで千葉県・袖ヶ浦に建設されたバイオガス化実証プラント

図 バイオマスタウン構想の実現に向けて(出典:バイオマス情報ヘッドクォーター)


 バイオマス・ニッポン総合戦略が閣議決定されてから二年が過ぎた。この二年間、バイオマスという言葉はあちらこちらで聞くようになり、それなりに浸透してきたと感じるが、産業として成立するところまでにはもう一歩。まだまだかかりそうというのが正直なところだろうか。
 幾分まどろっこしい思いをしながら、国の施策を見続けてきた者としては、まだまだ何にも変わらないという思いと、国もなかなかやるじゃないかという気持ちがない交ぜになっている。
 ここ二年で総合戦略決定時から状況が変わったものとしては、たとえば、バイオマスエタノールがあげられるが、ガソリンスタンドの保安措置で相変わらずの縦割り振りを見せつけているかと思えば、協力して技術実証に取り組んでいる地域もある(らしい)。
 どこを押せば各省が連携して事業を始めるのか、外部からはうかがい知ることができないのが気になるところ。そういえば、国のバイオマス・ニッポン総合戦略アドバイザリーグループ会合で堂本千葉県知事がバイオマスの変換施設だけじゃなくて利用施設や収集施設も一つの事業で助成対象にしてほしいと要望を出してから、実際に農林水産省の事業が上流から下流までできるようになるまで一年以上かかっている。もっと早く、明瞭に、メッセージを伝えてほしいと思うのは私だけだろうか?

〈みきお・やまもと〉