RPS法施行とバイオマスエネルギー利用

 2003年4月に施行されたRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)では、電気事業者は、毎年度その販売電力量に応じ、一定割合以上の新エネルギー電気(風力、太陽光、バイオマス、中小水力等を変換して得られる電気)の利用を義務づけられている。電気事業者は、義務を履行するに際し、@自ら発電する A他から新エネルギー電気を購入する B他の電気事業者に義務を肩代わりさせることができる。経済性その他の事情を勘案して、最も有利な方法を選択することができる。
 その義務量は電力10社計で2003年度33億kWh(経過措置)、2010年度には122億kWhとなっており、年度ごとに順次上昇することになっている。廃棄物発電については、これを新エネルギーに含めることに異論もあって、バイオマス資源分のみカウントする仕組みとなっている。
 新エネ発電設備の登録件数は、2004年初頭で12万件前後で、家庭設置分の多い太陽光発電設備が件数では99%以上を占めている。バイオマス発電設備は212件で、そのほとんどは廃棄物発電施設である。法施行後から2003年10月までに記録された「新エネルギー等電気相当量」は電力10社計で約5億kWhとなっており、義務量の達成には大きな差があるのが現状である。

 2003年10月までに記録届出された「新エネルギー等電気相当量」の内訳は、以下の通りである。バイオマス発電が全体の6割近くを占めているが、当初から「新エネルギーの趣旨にそぐわないのでは」との声も一部にあった、既存の廃棄物発電におけるバイオマス分が大半を占めているものと思われ、今後の動向が注目される。

 RPS法の施行からまだ1年を経過していないが、新エネルギーの普及を推進する側と電力資源の安定確保、安定供給を志向する電気事業者側との思惑の違いもあって、売電価格の問題など様々な問題が懸念されている。政府や電気事業者の努力は勿論のこと、新エネルギーサイドも組織化や、構造改革特区制度の活用など様々な工夫が必要になってこよう。

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