








2012年に始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)だが、近年、自立化へ向けて舵を切っている。2022年度より、売電収入にプレミアムを上乗せした金額が再生可能エネルギー売電事業者に支払われるフィード・イン・プレミアム(FIP)制度が開始されたが、バイオマス発電においても原則、新規認定はFIP制度へ移行することとなる。具体的には、2027年度以降は50kW以上では廃棄物発電の一部を除き、FIPのみが認められる(図1)。また、輸入バイオマス等を燃料とする一般木質バイオマス発電の1万kW以上では、2026年度以降、新規認定はFIT/FIP制度による支援の対象外となるが、既存のFIT認定案件のFIP制度への移行は認められる。バイオマス発電の各区分の買取価格は、2025年度、2026年度で変更はない。物価上昇等により、今後設定されるFIT/FIPの調達価格/基準価格が過去のものより高くなる可能性があるが、変更認定申請を行った場合も価格は据え置きされる【*1】。

FIP制度の活用状況については、バイオマス発電では2025年12月末時点において新規認定で12件7.4万kW、移行で43件68.9万kWと増加している【*2】。

FIT/FIP/入札の対象(バイオマス)のイメージ
経済産業省バイオマス持続可能性ワーキンググループは、2025年度に4回の会合を開催し、以下について整理した。●ライフサイクルGHGを確認できる第三者認証スキームとして、PEFC(輸⼊⽊質バイオマス)及びMSPOのCoC認証(PKS等)を追加。●ライフサイクルGHG既定値について、⼀律の値としていた加⼯⼯程のLCA電⼒排出係数を、各⽣産国の電源構成等を反映した値に⾒直すと整理。●2024年度は、発電出⼒ベースで対象事業者の約58%が⾃主的取組に参加(図2)。全てのデータで50%削減⽔準を下回ることを確認。70%削減水準を上回るデータは存在する。●引き続き、業界団体等が中⼼となって普及促進を進め、ライフサイクルGHG算定体制構築や燃料サプライチェーンの最適化、発電効率の向上など取組状況のフォローアップを⾏う。

ライフサイクルGHG自主的取り組みの参加状況

また、2031年以降のライフサイクルGHG基準について議論が行われ、2026年度のWGで検討を進めることとなった。
輸入木質バイオマスの持続可能性基準等の整理については、表1のような確認項目と参考基準がまとめられた。

表1:輸入木質バイオマスの持続可能性の証明方法に係る確認項目と参考基準
| 環境 | 土地利用への配慮 | ■炭素ストックや生物多様性への影響に留意し、原則として、森林が他用途に転換されないこと、及び一定時期以降に原生林等の保護価値の高い土地が植林地に転換されないこと。 |
|---|---|---|
| ■土壌の過剰な浸食や流出を回避し、土壌の質や環境的な価値を保護・管理するための計画が策定され、実施されるものとすること。 | ||
| 温室効果ガス等の排出・汚染削減 | ■中長期的に炭素ストックを維持又は増加させるための計画や、森林施業等に伴う温室効果ガス等の排出、水質等への影響を回避・管理するための計画が策定され、実施されるものとすること。 | |
| 生物多様性の保全 | ■中希少種や絶滅危惧種の生息地など高い保護価値を有する地域を特定し、これらを保護・管理するための計画が策定され、実施されるものとすること。 | |
| 社会・労働 | 土地使用権の確保 | ■事業者が事業実施に必要な土地使用権を確保していることが証明されること。 |
| 児童労働・強制労働の排除 | ■児童労働及び強制労働がないことが証明されること。 | |
| 業務上の健康安全の確保 | ■労働者の健康と安全が確保されること。 | |
| 労働者の団結権及び団体交渉権の確保 | ■労働者の団結権・団体交渉権が尊重または確保されること。 | |
| ガバナンス | 法令遵守(日本国内以外) | ■原料もしくは燃料を調達する現地国の法規制が遵守されること。 |
| 情報公開 | ■認証取得事業者が関係者に対し適切に情報提供を行うことが担保されること。 | |
| 認証の更新・取消 | ■認証の更新・取消に係る規定が整備されていること。 | |
| サプライチェーン上の分別管理の担保 | ■発電事業者が使用する燃料が、サプライチェーン上において認証スキームに基づかない燃料と混合することなく分別管理されていること。 | |
| 認証における第三者性の担保 | ■認証機関の認定プロセス、及び認証付与の最終意思決定において、第三者性が担保されること。 | |
| ■認定機関がISO17011に適合しており、認定機関においてISO17011に適合した認証機関の認定スキームが整備されていること | ||

2026年4月、林野庁は「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」を改正した【*3】。改正されたガイドラインでは、輸入段階における持続可能性(合法性)を証明するためとして、森林認証制度に基づき由来を証明する場合は、FSC、GGL、PEFC、SBPの森林認証制度で認められた木材である旨を示す書類を求めている。また、森林認証以外に個別企業等の独自の取り組みによる由来証明も認めており、同ガイドラインのQ&Aにおいて、表1の参考基準を示しているほか、森林認証制度に基づく由来証明では、マスバランス方式を認めている。
1) 2025年FIT/FIP制度のバイオマス発電の概況
2012年に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が開始して以来、バイオマス発電の稼働容量【*4】は急増した。2022年4月よりフィード・イン・プレミアム(FIP)制度も始まり、2025年末時点でFIT/FIP制度により、計773カ所、641万kWのバイオマス発電所が稼働し、同じく997カ所701万kWが認定されている。2024年より、63万kWが新たに稼働した。増加分の83%は、輸入バイオマスを主な燃料とする一般木質バイオマスである。また稼働容量の76%、認定容量の73%は同じく一般木材バイオマスの区分となっている(図3、表2)。認定容量は134万kW減少し、稼働容量との差(未稼働分)は大きく減少した。

再生可能エネルギー固定価格買取制度におけるバイオマス発電(新規)の稼働・認定状況
(新規・2025年末時点)
出典:資源エネルギー庁資料【*5】よりNPO法人バイオマス産業社会ネットワーク作成


表2:FIT/FIPにおけるバイオマス発電(新規)の稼働・認定状況
(新規・2025年末時点)

| メタン 発酵 |
未利用木質 | 一般木材 | リサイクル 木材 |
廃棄物 | 合計 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2000kW 未満 |
2000kW 以上 |
||||||
| 稼働 件数 |
302 | 115 | 57 | 118 | 11 | 170 | 773 |
| 認定 件数 |
354 | 231 | 66 | 146 | 16 | 184 | 997 |
| 稼働 容量 kW |
114,451 | 74,211 | 534,299 | 4,878,413 | 158,082 | 648,123 | 6,407,578 |
| 認定 容量 kW |
149,817 | 151,744 | 609,638 | 5,147,968 | 204,547 | 742,492 | 7,006,204 |
出典:資源エネルギー庁Website【*5】よりNPO法人バイオマス産業社会ネットワーク作成
2) 木質バイオマス発電の苦境
バイオマス燃料の高止まりや発電に係るコストの上昇もあって、木質バイオマス発電の苦境は続いている。
2026年4月、経産省は再生エネ特措法に基づき、2025年度に認定計画違反や関係法令違反などが確認された再エネ発電案件55件にFIT/FIPの認定を取り消したと発表した。バイオマス発電所は4件で、いずれも取り消し理由は非バイオマス燃料の使用であり、賦課金の返還命令が適用された【*6】。
レノバはFIT/FIP制度で大型バイオマス発電が支援対象外となったため、バイオマス発電の新規開発を凍結した【*7】。2026年4月、セイコーエプソンは長野県飯田市で計画していたバイオマス発電所の建設を中止した。投資費用や運営費が上昇し、経済性や継続性が確保できなくなったことが理由と見られる【*8】。

2025年12月、岡山県笠岡市で木質バイオマス発電所および大規模菜園を運営していたサラは、負債総額約15億円で民事再生法を申請した【*9】。大阪ガスは、子会社である中山名古屋共同発電が保有する名古屋発電所について、2027年3月末をめどに廃止することを決定した【*10】。同発電所は、木質ペレット等を混焼する14.9万kWの石炭発電所。
2026年2月、中部電力は静岡県裾野市、群馬県渋川市、長野県長野市および新潟県上越市で計画していた4件のバイオマス発電事業から撤退すると発表した【*11】。剪定枝などを主燃料とする2MW規模のバイオマス発電だったが、当初想定していた運転時期が遅延する見通しとなるなど、事業性の確保が困難との結論となった。また、米子バイオマス発電事業からの撤退を決定し、順次撤去工事を実施する【*12】。
広島県安芸高田市のバイオマス発電所について、地元住民は住宅に近く騒音や振動、車両の往来に不安があるとして、建設予定地の変更を求めている。安芸高田市市議会で「安芸高田バイオマス発電所事業計画に伴う意見書」が可決された【*13】。
また、国産材を使うバイオマス発電所や関連施設において、岡山県真庭市、三重県多気町、福島県飯館村、新潟県十日町市、北海道石狩市などで火災が相次いだ。



2025-2026年にかけて稼働した主な木質バイオマス等の発電事業は、表のとおりである。
仙台港バイオマスパワーと田原バイオマスパワーはともに、11.2万kWと木質バイオマス発電としては最大規模であり、いずれも輸入木質ペレット等を燃料としている。
大阪ガスの子会社が運営している袖ヶ浦バイオマス発電は、2023年1月に貯蔵サイロで火災が発生し、鎮火に4カ月を要した。原因は想定以上に長期間保管されていた木質ペレットの自己発熱・蓄熱による温度上昇。再発防止策として貯蔵期間に基づく時間管理や窒素発生装置などを常設した。
吉田産業の北乃股発電所は、年間約10万㎥の木材加工を担う工場で発生する廃木材を燃料とするものである。電力は工場内で使用し、余剰分は九州電力に売電。排熱は木材の乾燥に利用する熱電併給であり、高い利用効率が見込むことができる。

表:2025-2026年に稼働した主な木質バイオマス発電等
| 所在地 | 発電事業者名 | 規模(kW) | 稼働時期 | FIT 認定 |
備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 石狩市 |
石狩地域バイオマス発電 | 9,950 | 2026.2営業運転開始 | 未利用材 | 丸紅グリーンパワー、大成建設。2026.1に火災 |
| 北海道 苫小牧市 |
苫東バイオマス発電所 | 50,000 | 2025.2営業運転開始 | 一般木質 | イクイスグループ、北電。ペレット(インドネシア、ベトナム)、PKS、CCUS等検討 |
| 岩手県 矢巾町 |
矢巾バイオマス発電所 | 1,990 | 2026.5営業運転開始 | 中部電力、稲畑産業、古里木材物流。未利用材 | |
| 宮城県 仙台市 |
仙台港バイオマスパワー | 112,000 | 2025.11営業運転開始 | 一般木質 | 住友商事、東京ガス、北陸電力、住友商事東北。ペレット、チップ |
| 山形県 米沢市 |
米沢バイオエナジー | 7,100 | 2026.1営業運転開始 | 未利用材 | タクマ、岩堀建設工業 |
| 茨城県 神栖市 |
鹿島工場バイオマス発電 | 1,500 | 2026.4稼働 | 昭和産業。建設廃材。GHG削減目的。 | |
| 茨城県 神栖市 |
リージョナルパワー | 9,990 | 2025.7稼働 | 一般木質 | 中国木材の敷地内。樹皮、乾燥オガ、製材端材、建築廃材、間伐材等 |
| 群馬県 渋川市 |
福島商店 | 49 | 2025.7稼働 | 未利用材 | |
| 千葉県 袖ヶ浦市 |
袖ヶ浦バイオマス発電 | 75,000 | 2025.7営業運転開始 | 一般木質 | 大阪ガス子会社。木質ペレット。2023年に火災 |
| 長野県 伊那市 |
伊那木質バイオマス発電所 | 50 | 2025.6稼働 | 伊那市。流木、松枯れ枯損木 | |
| 静岡県 小山町 |
FOREST CYCLE | 495 | 2025.9稼働 | 未利用材 | ブルクハルト165kW×3 廃熱はペレット乾燥に利用 |
| 愛知県 田原市 |
田原バイオマスパワー合同会社 | 112,000 | 2025.9営業運転開始 | 一般木質 | JFEエンジ、中部電力、東邦ガス、東京センチュリー。木質ペレット |
| 愛知県 田原市 |
田原グリーンバイオマス合同会社 | 50,000 | 2025.8稼働 | 一般木質 | 伊藤忠、九電みらいエナジー、東急不動産。木質ペレット等 |
| 奈良県 生駒市 |
株式会社BPSいこま | 9,980 | 2025.4営業運転開始 | 建築廃材 | NTTアノードエナジー、住友林業、長谷工コーポレーション他。木質廃棄物、未利用材 |
| 和歌山県 御坊市 |
和歌山御坊バイオマス発電合同会社 | 50,000 | 2025.8営業運転開始 | 一般木質 | 大阪ガス、エネサンス、SMFLみらいパートナーズ。ペレット、PKS |
| 広島県 福山市 |
福山バイオマス発電所合同会社 | 52,700 | 2025.7営業運転開始 | 一般木質 | 中部電力、稲畑産業、太平電業他。ベトナム・インドネシア等産ペレット、国産チップ |
| 山口県 周南市 |
東ソー周南事業所バイオマス発電 | 74,000 | 2026.5稼働 | 木質ペレット、建築廃材、RPF | |
| 熊本県 阿蘇市 |
阿蘇バイオマス合同会社 | 900 | 2026.3完工 | 未利用材 | GIキャピタル、西部ガス他。ガス化450kW×2 |
| 宮崎県 串間市 |
北乃股発電所 | 3,000 | 2026.1売電開始 | 一般木質 | 吉田産業。製材端材。廃熱は木材乾燥に利用 |
| 宮崎県 川南町 |
みやざきバイオマスリサイクル第2発電所 | 9,500 | 2026.5営業運転開始 | 廃棄物 | 九電みらいエナジー、宮崎バイオマス利用組合他。鶏糞。焼却灰は肥料原料へ |
| 鹿児島県 大崎町 |
OTN | 49 | 2025.10稼働 | 未利用材 | 49kW×4件。25.3に49kWが稼働 |
| 鹿児島県 大崎町 |
PMS | 49 | 2025.10稼働 | 未利用材 | 49kW×2件 |
| 鹿児島県 志布志市 |
LAアセット | 49 | 2025.6稼働 | 未利用材 |
出所:経済産業省 事業計画認定情報Webサイト他より
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク作成



国産材の木質バイオマス発電事業を取り巻く環境は厳しくなる一方である。一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会が19の木質バイオマス発電所に対して実施した調査報告【*】によると、表に示す通り、資本費は平均15万円/kWの増、運転維持費の平均は計画時比111%、燃料費の平均は計画時比124%、設備利用率は平均89%となっており、木質バイオマス発電事業者にとっての事業環境は厳しく、8割以上の発電所が今後、経営が厳しくなるとしている。

表:木質バイオマス発電の事業費の変化
| 2012年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 建設費 | 41万円/kW | 56万円/kW |
| 運転維持費 | 3万円/kW | 111%(3.33万円/kW) |
| 燃料費 | 1.2万円/t | 124%(14.88万円/t) |
| 設備利用率 | 93%(8,147時間/年) | 89%(7,796時間/年) |
出典:一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会
注:運転維持費、燃料費の()内の数字は2012年度に対して、2025年度の上昇率を乗じたもの

こうした事業変化の中であまり注目されていないが、大きな課題になっているのが保険料の高騰である。その背景にあるのは近年頻発している木質バイオマス発電所の事故で、経済産業省の報告【**】によれば近年15件の火災事故が発生している。その原因については以下のように分析されている。『燃料又は燃料から生じた粉塵がベルトコンベア等の可動部から発生した摩擦熱等の着火源により引火・火災が発生。(中略)長期間の保管等によって、燃料又は粉塵の自然発酵・自然発火により火災が発生している。』これは一度に大量の燃料を入荷し、一定期間保管が必要となる大型発電所の特徴と合致しており、比較的燃料の入荷と使用がバランスしている国産材を主体とする発電所では発生しづらいと考えられる。特に近年、国産バイオマス燃料は燃料調達の困難さから保管期間が短くなっているため、火災のリスクは低い。実際、経産省の報告にある15件のうち、国産材を主体とする発電所は1基のみで、大半が輸入燃料を使用している大型発電所である。

こうした状況があるにもかかわらず、保険料の算定においては規模や燃料を問わず、木質バイオマス発電は一様に保険料が高騰している。筆者の聞き取りではこれまでの保険料と比較して最大で6倍近い保険料を提示された事例もある。こうした状況の中で、補償内容を削って保険料を抑える事業者や、中には保険に入らないことを検討する事業者も出ており、事業性に大きな影響を与えていることがわかる。
保険料は損害保険料率算定機構が定めた保険水準を基にリスク実態に応じて各保険会社が設定するものである。ある発電事業者が損害保険料率算定機構に上記の実態を報告したが、十分な回答は得られなかった。国産材を主とする木質バイオマス発電所は他の発電と比較して事業規模が小さいため、細かい条件設定をする必要性が大きくないことも理解できる。


このような状況を打破するのは容易ではないが、例えば、地域資源バイオマス発電設備の認定を受け、地域に貢献する木質バイオマスに対しては別枠の保険料設定が行われるような制度設計があればよいと筆者は考える。

<森のエネルギー研究所九州営業所長 佐藤 政宗>





